子どもが1歳半や2歳になると、「おむつはいつまでに卒業するもの?」と悩むママパパも多いでしょう。おむつの卒業時期には個人差があり、3~4歳で外れる子が多い一方、5歳を過ぎるケースもあります。本記事では、おむつ卒業の目安やトイレトレーニング成功のコツを、現役保育士が実体験を交えて解説します。

Summary

⚫︎おむつ卒業の時期には個人差がある
⚫︎トイトレ開始を焦らない。子どもの発達段階に合わせて始める
⚫︎「おもらしするのが当たり前」とおおらかに構えよう


おむつは何歳まで使うもの?


おむつ交換
おむつが何歳まで必要なのかについては、子どもの成長によって異なります。おむつ卒業の平均時期と、個人差について詳しく見ていきます。

おむつの卒業時期は子どもによって異なる

王子ネピア株式会社が2023年に行った調査によると、子どもの成長に関する親の悩みの第1位は「トイレがうまくできない・おむつはずれが遅い」(30.8%)でした。特に第一子を持つ親の多くが、おむつ卒業のタイミングについて不安を抱えていることがわかりました。
調査では、おむつ卒業の時期に関して、次のような結果が出ています。

●1歳0ヶ月~2歳11ヶ月:11.9%
●3歳0ヶ月~3歳11ヶ月:45.6%
●4歳0ヶ月以降:42.3%

この結果から、3歳を過ぎてからおむつを卒業する子どもが多いことが分かります。

参考:王子ネピア株式会社「子育て当事者『おむつはずれ』に関する調査」

現役保育士が見る、おむつ卒業年齢の傾向

現役保育士の実感としては、10年前と比べると、おむつが外れる年齢が高くなっていると感じます。以前は、3歳児クラスに進級した時点で、ほとんどの子がおむつを卒業していました。しかし、現在では3歳児でもおむつをしている子がほとんどです。
おむつ卒業のタイミングが遅れている理由の一つは、育児に対する考え方の変化です。以前は2〜3歳を目安におむつを外すことが多かったものの、最近は「子どものペースに合わせる」ことが重視されています。このように、考え方の変化に伴って、保護者から「そろそろパンツにしたい」と声をかけられる機会は減ってきました。

子どもの発達段階とおむつ卒業のタイミング


笑顔の子ども
おむつを外すタイミングは、子どもの発達状況によって異なります。無理に進めると子どもがストレスを感じてしまうため、発達段階を見極めながらトイレトレーニング(トイトレ)を始めることが大切です。

トイトレ開始の目安となる5つのポイント

トイトレをスムーズに進めるには、子どもの心と体が成長し、トイトレを始める準備ができているかを見極めることが最も大事です。以下のポイントを満たしていれば、トイトレを始められるタイミングが近いと判断できます。次の項目をチェックしてみましょう。

☑ 便座に安定して座ることができる
☑ 尿意が分かる(おしっこをしたいと言える)
☑ 1時間半以上、膀胱に尿を貯められる
☑「おしっこ」「トイレ」など、言葉で伝えられる
☑トイレに行くことを嫌がらない


トイトレが成功しやすいタイミング

保育園では、子どもの発達に合わせてトイトレを進めています。実際に、始めるタイミングとして適した場面があるので、ご紹介します。

【タイミング1】夏の時期

夏は水分補給をする機会が増えるため、おしっこに行く回数も増えます。そのため、トイレに行く回数が冬に比べると多くなります。また、夏は気温が高く、洗濯物が乾きやすい時期です。トイトレに失敗はつきものです。おもらしをしても、洗濯物が乾きやすいため、ママパパの負担は軽くなります。

【タイミング2】周りで、トイレに行く子が増えたとき

子どもは友だちと同じ行動をしたがる傾向があります。周りでトイレに行く子が増えると、「自分もやってみたい」とトイレに興味を持ちやすくなります。そのタイミングで、トイトレを促す場合が多いです。排泄がなくても、友だちと一緒に楽しみながらトイレへ座ることが、トイトレのスタートとなります。トイレに座った時に偶然おしっこが出ることで、排尿の感覚を覚え、トイトレに繋がる場合もあります。

【タイミング3】パンツに興味を持ったとき

「かわいいパンツを履きたい」と、布パンツへ憧れを抱いたことをきっかけに、トイトレが進むことがあります。自分で選んだパンツの方が効果が大きく、大人が「かっこいいね」「おねえさん(おにいさん)だね」と声をかけることで、さらに意欲を持ってトイトレに取り組めるようになります。


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おむつ卒業の時期に影響する要因


悩む母親
おむつが外れる時期には、さまざまな要因が影響しています。かつては2〜3歳での卒業が多かったものの、近年は3歳を過ぎてもおむつを使用しているケースが増えています。その理由について、詳しく見ていきます。

●考え方の変化

ママやパパは、テレビや育児雑誌、インターネットを通じて育児情報を得ることが多いです。かつては「2〜3歳を目安におむつを卒業させるのが一般的」とされていましたが、近年では「トイトレは子どもの成長に合わせて進めるべき」という考え方が主流になっています。しかし本来、「子どもに合わせる」とは、子どもの発達に合わせる、という意味です。ところが、「子どもが自然とトイレで排泄するようになるのを待つ」と解釈する親が多いように感じます。その結果、気がつくと「いつまでも子どもがトイレに行きたがらない」と悩み、トイトレを始めるタイミングが遅れてしまっているように感じます。

●ライフスタイルの変化

時代の変化に伴い、親のライフスタイルも変わってきています。共働き世帯が増えたことで、親は仕事や家事、育児に追われ、トイトレに十分な時間を取るのが難しくなっています。

●情報が多すぎること

スマートフォンで簡単に育児情報を得られる時代であることも、ある程度影響していると考えられます。見聞きする情報が多すぎて、何を信じればよいのか迷ってしまうためです。実際、育児の専門家や経験者の話を参考にしようとしても、どれが正解なのかわからなくなることも少なくありません。
その結果、「いろいろと試してみたものの、どれが正しいのかわからない」と混乱し、結局トイトレを先送りにしてしまうケースもあります。

●おむつの進化

おむつの品質が向上したことも、おむつの卒業時期を遅らせる要因のひとつです。近年のおむつは履きやすく、心地の良いものへと改良が重ねられています。尿が出ても、肌に接している面はサラサラして、不快感を感じさせません。また、吸収力もアップして、漏れにくい構造へと進化しています。そのため、おむつ交換の回数が減り、大人も子どもも排泄に対する意識が薄れてしまいがちです。
おむつの進化によって便利になった反面、快適さが増したことで、子どもが「おむつをやめたい」と思うきっかけが減り、トイトレを始めるタイミングが遅れやすくなっていると考えられます。

トイレトレーニングを成功させるためのポイント


微笑む子ども
トイトレが長引くと、大人にとっても子どもにとってもストレスになりかねません。なるべく短期間でおむつを卒業するためのポイントを3つご紹介します。

【ポイント1】適切なタイミングで始める

トイトレは、子どもの身体と心の準備が整ったタイミングで始めます。準備ができたら、子どもと一緒にパンツを選び、トイトレを進めていきましょう。トイトレを早く始めすぎると、おもらしの回数が多くなり、都度対応する親の負担が増します。また、一日に何度もトイレへ連れていかれるうちに、子どもはトイトレに嫌気が差してしまいかねません。
小さいうちはトイレへ行くことが遊びのような感覚ですが、成長すると生活の一部になります。おむつをしていればトイレへ行く必要がないので、大きくなってからトイトレを始めようとすると、「おむつの方が楽」だと感じ、トイトレが進まないことがあります。トイトレは早すぎず、遅すぎず、子どもに合った適切なタイミングで始めるのが理想です。

【ポイント2】失敗を責めない

トイトレ中は、失敗がつきものです。おもらしを繰り返しながら、どんな感覚になったらトイレに行けば良いのか学んでいきます。ところが、おもらしをして怒られ続けると、子どもは大人の機嫌を気にするようになり、自分の感覚に集中しづらくなります。また、怒られることを怖がり、もらした事実を伝えられない、ということも起こってきます。失敗を責めないためには、親の心づもりが必要です。「もらした際にどう対応するか」を常に考えておき、掃除道具や着替えを事前に用意しておきます。おもらしをしてしまったときも、「大丈夫だよ。お着替えしようか」と落ち着いて対応することで、子どもも安心してトイトレを進められます。

【ポイント3】成功体験を積み重ねてもらう

子どもは、成功体験を積み重ねていくことで、自信をつけていきます。トイレでおしっこやうんちができたときには、一緒に喜ぶことで、トイトレへの意欲が高まります。しかし、トイトレに慣れてくると、トイレへ行くことをめんどくさがる子もいます。その場合は、子どものモチベーションを維持する工夫が必要です。おすすめは「シール」の活用です。トイレで1回排泄するごとに、お気に入りのシールを1枚選んで、台紙に貼ります。台紙をトイレの壁に貼っておけば、自分がどのくらいトイレで成功したのか分かり、次への意欲に繋がります。

保育園でのトイトレ成功事例
トイトレを進める際、子どもがトイレを嫌がるケースは少なくありません。保育園での成功事例をもとに、トイトレの工夫を紹介します。
保育士に「トイレに座ってみようか」と声をかけられると嫌がるAちゃん。発達の状況を見ると、トイトレを始めてもよい時期でした。毎回「やだっ!」と逃げ回るので、保育士はなぜ嫌がるのか、Aちゃんを観察してみました。すると、お気に入りのお人形が他の子に取られてしまわないかが心配なようでした。そこで保育士はトイレの近くにお人形を座らせておける椅子を設置し、Aちゃんに次のように伝えました。
「お人形さんね、Aちゃんがおしっこできるか、この椅子に座って見ててくれるって。誰にも連れていかれないよう、先生もちゃんと見てるよ」それからAちゃんは、お人形を椅子に座らせて、安心してトイレへ行けるようになりました。成功体験を繰り返し、今では自信満々に布パンツを履いています。


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現役保育士が実践しているトイトレへの取り組み方


子どもと向き合う母親
保育園では、多くの子どもたちがトイトレを経験します。トイトレをスムーズに進めるには、適切なサポートを行うことが大切です。保育士が実践しているトイトレの進め方を3つのステップに分けて紹介します。

【トイトレSTEP1】トイレに興味を持つ

まずは、子どもがトイレに興味を持てるように工夫することが大切です。トイレの近くでおむつ替えをして、他の子がトイレに行く姿を見られるようにすると、トイレってどんなところだろうと思ってもらいやすくなります。興味を持って自分からトイレに座った時に、偶然にもおしっこが出ることがあります。これを繰り返すことで、トイレでおしっこをする感覚を学んでいきます。

【トイトレSTEP2】タイミングを見て保育士がトイレに誘う

トイレに座れるようになったら、食事や午睡の前後など、タイミングを見てトイレに誘うようにします。いつも同じタイミングで誘うと、トイレへ行く習慣がつきやすくなるからです。トイレを流したり、手を洗ったりする習慣も同時に身につけられるように声をかけています。トイレットペーパーを使って、「自分で拭けた」という成功体験を積むことで、自信がついてきます。

【トイトレSTEP3】子どもが自分で行くようになる

トイレでの排泄に慣れてくると、自分で「おしっこ行ってくる!」とトイレへ行くようになります。最初のうちは間に合わずにおもらしをすることもありますが、「次はできるといいね」と声かけをしながら進めています。おしっことうんちが同じタイミングでできるようになる子もいれば、うんちの時だけおむつに替える子もいます。焦らずに進めることが大切です。

夜間のおむつ卒業とおねしょ対策


眠る赤ちゃん
昼間のおむつは卒業できても、夜は外せない、というお子さんもいます。ここでは、夜間のおねしょ対策についてご説明します。

夜間のおむつ卒業時期

眠っている間は、尿を膀胱に貯めておく必要があります。そのため、7〜10時間程度は貯めておけるくらいになるまで、身体の成長を見守りましょう。

夜に履いていたおむつが朝に濡れていないことが増えてきたら、パンツに移行してもよいタイミングです。個人差がありますが、3〜4歳頃になれば、夜もパンツで眠れるようになってきます。

おねしょ対策とおすすめアイテム

夜におもらしをすると、その後の片付けや洗濯が大変です。少しでも負担を軽減するために、おねしょ対策に役立つアイテムを紹介します。

●防水シーツ
ベッドや布団に敷いて使う防水シーツです。洗濯して繰り返し使える物もあれば、使い捨てタイプもあります。

●おねしょズボン
おもらしを吸収してくれるズボンです。色や柄も豊富で、普通のズボンのように履いて就寝することができます。

●吸水パッド
パンツの内側に付ける吸水パッドです。朝にパンツから外せば良いだけなので、取り扱いが簡単です。

おねしょ対策のアイテムを使いながら、トイトレを無理なく乗り越えていきましょう。

親が知っておくべきトイレトレーニングの心得と悩みへの解決法


家族
親の反応は、トイトレに大きな影響を与えます。焦らず、おおらかに構えて、子どものおむつ卒業を応援しましょう。最後に、トイトレを行う際に親が知っておきたい心構えをご紹介します。

失敗するのは当たり前

生まれてからずっとおむつで生活してきただけに、トイレで排泄をするのは子どもにとって大きな変化です。最初は排泄前の感覚がよくわからず、もらしてしまうこともあるでしょう。トイトレ中の子どもに、おもらしはつきものです。もらしても叱ったりせず、柔らかな表情で対応しましょう。そのためには、親が焦らず、穏やかに接することで、子どもは安心してトイトレに取り組めます。

行きたくない時はしょうがない

トイトレを進めるうちに、子どもが「今は行きたくない」と言うことがあります。その際には、無理にトイレに連れて行かず、気長に待つことも必要です。大人の都合でトイレのタイミングを決めてしまうと、子どもがトイレへ行くこと自体を嫌がってしまうおそれがあります。「行きたくないなら、仕方がない」と、子どもの気持ちを受け止めます。子どもが何に夢中になっているのかを観察し、「その絵本が読み終わったら、トイレに行ってみようか」というふうに誘ってみましょう。いったん自分の気持ちを受け止めてもらった後は、大人の提案も受け入れやすくなります。

トイトレは楽しく乗り越えよう

子どもは楽しそうだと思うことをやりたがります。そのため、トイトレも子どもが楽しくできるように工夫をしましょう。まずはトイレの照明を明るくします。子どもの好きなポスターを貼ってもいいですね。トイレに関する絵本もたくさん出版されています。子どもと一緒に読んでみましょう。大好きなお人形が励ましてくれたら、トイレへ行く気になるかもしれません。声色を変えて、演じてみましょう。子どもの興味に応じて、楽しく誘いながら、安心してトイレで排泄する習慣がつけられるといいですね。

トイトレは焦らず。必要に応じて、ベビーシッターを頼ろう


同じくらいの年の子がパンツになっていると、つい焦ってトイトレを進めてしまいがちです。大切なのは、わが子に合ったタイミングとやり方で進めることです。
なかなかうまくいかないときは、「大人になってもおむつをしている人はいない」と考え、いったんトイトレを手放してみるのも一つの方法です。また、「どうしてもトイトレを続けたい」「もうどうしたら良いのか、わからない」という場合は、自分で抱え込まず、ベビーシッターによる自宅サポートを活用するのもおすすめです。

キッズラインのベビーシッターの中には、保育士資格を持つ人も多く活動しています。トイトレの悩みを相談したり、手伝ってもらったりすることで、負担を軽減しながら、よりスムーズに進められるでしょう。トイトレが思うように進まないと、つい深刻に考えてしまうこともあります。しかし俯瞰して考えてみれば、トイトレは一時期のことです。親だけで抱え込まず、保育士やベビーシッターの力を借りながら、楽しく進めていきましょう。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


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