イヤイヤ期は個人差もありますが、一般的には1歳6ヶ月から3歳ぐらいとされています。主に「なんでも自分でやりたがる」「自己主張が強い」といった特徴があり、自我の芽生えと自立の始まりです。どのように対応したらいいのか、多くの親御様が頭を抱えてしまう時期でもありますね。そこで、今回はイヤイヤ期を乗り越えるヒントを紹介します!

イヤイヤ期とはどんな時期?



イヤイヤ期は「幼児前期」と言われる子どもに起こる成長過程の時期であり、一般的に1歳6ヶ月から3歳ぐらいまでを指します。この時期は言葉を話し、自分の足で歩くようになります。これまで大人や周囲にしてもらっていたことを自分でできるようになり自律性が養われます。オムツが外れ、自分で排泄し、スプーンを使って自分で食事できるようになります。


<特徴>
・自己主張が強くなる
・手先が器用になり、できることが増える
・言葉で表現する能力が足りず、身ぶり手ぶりで伝えようとする
・「イヤ」と「はい」の境界を自分なりに探っている
・大人のやることに興味を持ち、自分でも同じことをやってみたがる
・「自分でやりたい!」という思いが強まる
・気まぐれでやりたくないと「だだをこねる」
・言葉で自分の気持ちをうまく伝えられない


●知っておきたい6つの対応ポイント
① 子どもが自分でチャレンジするチャンスを与える
② 危険なことはその場で「だめ」と伝える
③ うまく表現できなくても気持ちを汲み取って代弁する
④ 子どもが「自分で」といったことは否定しない
⑤ 子どもがやるところを見守る
⑥ 子どもの「イヤ」は自己表現の一環と理解する


イヤイヤ期だからこそ伸ばしたい子どもの非認知力


非認知力とは、読み書きや計算などとは異なる、数値で測れない能力のことをさします。まさにイヤイヤ期は非認知力を伸ばす時期。自尊心や自己肯定感、自立心、自制心、自信など、生きる土台作りになるのです。


【イヤイヤ期の非認知力を伸ばす6つのポイント】
① 社会性・協調性:遊びのルールを理解し友達と仲良く遊ぶ
② 共感する力:他者の気持ちを想像する
③ 意欲・持続力:失敗してもいいから挑戦してみる
④ 動機づけ:「できた!」という体験をたくさん経験する
⑤ 好奇心:どうしてそうなるの?という疑問を持つ
⑥ 忍耐力:あきらめないで、苦手なことにもチャレンジする


【イヤイヤ期の非認知力を伸ばすために大人ができる3つのポイント】
① 子どもが「安心できる環境」を作る
「これ、なあに?」「これはやだ」と子どもが言える環境を作ることも大切です。


② 子どもが自ら興味を持って取り組んでいる時間を「邪魔せず見守る」
自己主張が強く自分でやろうとしますが、思い通りにできないこともたくさんあります。また、子どもは自分の思い通りにいかないことを学びます。そして、泣いたり、かんしゃくを起こしたり、反抗したりすることもあります。大人が手伝ってしまった方が早い場合も多くありますが、ここは我慢。「自律性が育っているな」と子どもの意欲を見守りましょう。いくつかの選択肢を提案したり、「じゃあ、どうする?」と子どもに考えさせてみましょう。


③ 本人が何かをやり遂げたり、成功したり、失敗したら「共感する」
子どもがうまくできないと時間もかかるため、ついイライラしてしまいがち。手を差し伸べたくもなりますし、「早く!」と急かしたくもなりますよね。しかし、この時期はできるだけサポートは最小限に。子どもが「達成感」と「満足感」を得られるように関わっていきましょう。

イヤイヤ期はいつから始まるの?いつまで続く?

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子どもの発達は個人差が大きく、イヤイヤ期は1歳半から2歳ごろから始まると言われていますが、どんなに遅くとも5歳ごろまでには終わる場合が多いでしょう。


●こんな成長が見られたらイヤイヤ期のゴールも間近!
・言葉が発達してやり取りができるようになる
・因果関係が理解できるようになる
・少しずつ我慢もできるようになってきた


言葉数が増えると、自分のやりたいことや嫌なことが伝えられるようになります。相手にうまく伝えられないというストレスからも解放され、だんだんイヤイヤも落ち着いてきます。また、子どもの成長を応援するためにも、親の声がけが一層大切になる時です。子どもが伝えたいことをできるだけ汲み取ってあげましょう。そうすることで、イヤイヤ期で一方通行だった会話から、親子のコミュニケーションが楽しめるようになります。さらに、少しずつ我慢も覚えていく時期でもあり、それらができるようになってくるとイヤイヤ期のゴールも間近といえるでしょう。

イヤイヤ期の対応はどうするといいの?

イヤイヤ期は言葉通り子どもがなんでも「イヤ」と言う時期。でもどんな時に「イヤ」と言われるのか知っておくだけで、いざという時の心積りにもなりますよね。また、突然イヤイヤされて即座に反応したものの、余計に子どもが感情的になってしまった、ということもありえます。そうなる前に、対応の仕方についても事前に知っておきましょう!


【イヤイヤ期によくある行動】
・歯みがきを嫌がる
・気に入った服ばかりを着たがる
・帰る時間になっても帰ろうとしない
・電車やレストランなどで騒ぐ
・友達のおもちゃを取る
・友達を叩く
・まだうまくできないことでも、自分一人でやりたがる
・眠くなると何を言っても聞かない
・奇声をあげる
・オムツを替えたがらない
・ご飯を食べない
・ご飯で遊ぶ、わざとこぼす
・お風呂に入りたがらない
・ベビーカーや自転車に乗りたがらない
・買い物に行って「お菓子を買って」と泣きわめく など......


【イヤイヤ期の対応6つのポイント】


① リピート・クエスチョン・リクエスト
子どもが言った言葉を「リピート」する。子どもが「イヤ」と言ったら親は「イヤなのね」とリピートするだけ。

「どうしたいの?」と質問する(クエスチョン)

選択肢を提案し「どれにする?」と子どもに選ばせる(リクエスト)


② 子どもの状況を親が言葉で実況中継
子どもは自分で何にイライラしているのかをわからない時があります。「一人で靴が履けなくてイライラしたのね」と、状況を言葉にしてみましょう。それによって子どもは、自分の行動を客観視し、自分の感情に結びつきます。


③ 代弁する・子どもの気持ちを言語化する
イヤイヤ期の子どもは自分の気持ちを言語化することが難しい時期です。そのため、自分の欲求を上手く伝えられないことにイライラしがち。そんな時は、「何で怒っているの?」「自分でやりたいのね」と子どもの思いを言語化してあげましょう。大人の声がけによって自分の気持ちを理解してもらえ、安心感に繋がります。


④ 子ども扱いせずにちゃんと向き合って話す
「今日は用事があるから終わりにしよう。あと1回遊んだら帰ろうね」「ママは今日は疲れたからおうちに帰って早くお風呂に入りたいな」など、事情やママの気持ちを話してみましょう。幼いから理解しないだろうと思っていることも、きちんと伝えてみると素直に聞き入れてくれることもあります。子どもは大人のごまかしや子どもだましを見抜きます。子ども扱いをせずに、きちんと話してみましょう。


⑤ 時間に余裕を持って行動する
忙しい朝に玄関先で「自分で靴をはく!」と主張するのはよくあること。「早く」と急かすのではなく、時間に余裕を持って準備してみましょう。


⑥ 反対の選択肢を子どもに言ってみる
「保育園や幼稚園に行きたくない」という時などは、反対の意見を言ってみましょう。「じゃあ、行くのはやめようか」と言うと、保育園や幼稚園に足を向けてくれる場合もあります。どうしても動かない場合は、別の話題で気をそらせるのも効果的です。


【注意!イヤイヤ期に親が控えたい5つのポイント】


① 頭ごなしに叱りつける
② 委縮させて無理やり従わせる
③ 癇癪を起こすからと言って、なんでも子どもの言いなりになる
④ 子どもと決めた約束やルールを破る
⑤ 「どうして?」「なぜ?」という質問に適当に答える


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イヤイヤ期がない子もいるの?



イヤイヤ期の時期や程度は個人差があります。子どもによってはイヤイヤ期がほぼなかった!なんていう場合も。しかし、イヤイヤ期が大変でない分「もっとイヤイヤさせるべきだったかな」と気を揉んでしまう親御様もいらっしゃるかもしれません。例えば、次のようなタイプはイヤイヤ期をやり過ごしてしまうかもしれません。


・性格的におとなしい
・親がサポートしていてうまく自立が促されている
・親の顔色を伺っている


イヤイヤ期がないことは、特別おかしなことではありません。子どもそれぞれの特性を受け止めて、その子に合ったコミュニケーションや対策をとっていきましょう。

イヤイヤ期を乗り越えるために知りたい男の子と女の子の特性と対処法



ここまでイヤイヤ期についてみてきましたが、男の子と女の子でもイヤイヤ期の行動や対応は異なるのでしょうか?男の子と女の子それぞれの特性から、大人ができる対処法をご紹介します!


●男の子の特性
・体を大きく動かすことが好き
・動きのあるものを見ることも好き
・情動的
・集団が好き
・比較的怖がらず刺激にも強い

 
〈男の子のイヤイヤ対処法〉
・感情的にならず、冷静に伝える
・なぜだめなのか理由を伝えて納得させる
・命令口調ではなく、「一緒に○○してみない?」「競争する?」と言ってみる
・スキンシップで甘えさせる
・別の場所に行く、別の遊びをするなど気分転換する
・成長に必要な挑戦に伴う「リスク」か、成長につながらない「ハザード」か見分ける
ベビーシッターを活用して、親とは違う大人と接して気分転換する


●女の子の特性
・ママなどのまねをするのが好き
・手先が器用
・聞き上手
・アイコンタクトが多く、表情をよく見る
・相手の表情から気持ちを読み取るのが上手い
・おしゃべりのスタートが早い


〈女の子のイヤイヤ対処法〉
・服は親ではなく自分で選ばせる
・子どものプライドを尊重する
・人格は否定せず、「行動」を指摘する
・一緒に買い物や美容院など非日常な空間に行って気分を変える
ベビーシッターを活用して、親とは違う大人と接して気分転換する

子供のイヤイヤ期で親が疲れないための対処法を知っておこう



子どもの成長過程で、自立に向けたとても重要な時期とわかっていても、イヤイヤ期は親もヘトヘト。「もう手に負えない」「疲れる」「いい加減にして!」とくじけそうな気持ちにもなることもありますよね。そんな時はぜひリフレッシュすることがオススメです。1人時間を持つ、夫婦水入らずで美味しいものを食べに行くのも良いですね。そんな時にお願いできる、頼れるサービスをご紹介します!


<子どもを預かってくれるサービス>


・子育てひろば(地域子育て支援拠点)
乳幼児を中心とした親子が対象。交流の場を提供しています。また、子育て相談や子育てに関する講座なども実施しています。


・トワイライトステイ
残業などで帰宅が遅くなるとき、児童福祉施設などで17時以降22時頃まで子どもを預かってくれます。夕食・入浴の提供など、生活の援助をしてくれます。


・ショートステイ
保護者が育児疲れや病気・出産・出張などの理由で、子どもの養育が困難な時に利用できます。児童福祉施設などで子どもを預かります。短期間(7日間程度)宿泊が可能です。


・ファミリー・サポート・センター事業
乳幼児や小学生等の子どもを同じ子育てママなどが、預かってくれる相互援助活動。1時間700円で利用でき、急な残業のときに限らず、歯医者や買い物等の外出でも利用できます。


キッズライン
子育ての方法やしつけに悩んでいる、イヤイヤ期・反抗期の子どもとの関わり方が分からない。そんなときは、子育て経験のあるベビーシッターや保育士資格や幼稚園教諭資格のあるベビーシッターに育児相談をしたり、子どもの保育をお願いして気分転換しましょう!

まとめ

子どものイヤイヤ期は、何を言っても「イヤ」と言われたり、自分でやろうとして癇癪を起こすなど、どうにも上手くいかない日々に「もうお手上げ!」と投げ出したくなることもあるでしょう。子供の成長期であるとわかっていても、辛い時もあります。ぜひ今回のイヤイヤ期の子どもの特性や対処法を参考にし、少しでも抱えている気持ちが楽になっていただけれな幸いです。「子どもの育て方に自信が持てない」「自分の子育てが間違ってる?」「私って母親失格?」と一人で抱え込まず、大変な時はできるだけ周りの人に頼ってみましょう!