産後の女性の体は大きくダメージを受けており、回復が必要です。しかし、赤ちゃんのお世話や家事などで毎日忙しく過ごしていると、なかなか体を休めることができませんよね。いかに早く体力を回復させるには、食事が大事になってきます。今回は、管理栄養士が産後の女性に積極的に摂ってほしい栄養と、簡単にできる栄養満点な作り置きレシピをご紹介します。

産後の女性は出産で大きくダメージを受けている?!



一般的に出産をすると『交通事故並のダメージを受ける』と言われています。産後の女性は妊娠中から赤ちゃんを自分の子宮の中で10ヶ月間育て、自分の栄養を優先的に赤ちゃんにあげています。そのため、妊娠中からたくさんの栄養が必要です。また、ホルモンバランスで体つきも大きく変化します。そして出産時には、出血などもする関係から産後の体は大きくダメージを受けます。また、帝王切開で産んだ場合は、傷口もしばらくの間痛みます。


産前産後はホルモンバランスの変化により、精神的にも不安になることが多いともいわれているため、マタニティブルーや産後鬱も深刻です。それらをできるだけ軽減するためには、しっかりと休養し、栄養バランスが取れた食生活が大切です。

産後の女性にはどのような栄養が必要?

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産後の女性の体を回復させるためには、一体どのような栄養が必要なのでしょうか。


●タンパク質
タンパク質は、体を作る上で欠かせない主な栄養の1つです。血液や皮膚、筋肉、内臓など、これら全てにはたんぱく質が欠かせないため、体の回復には重要な栄養素です。母乳育児をしている女性は、母乳の原料にもなるため、特に意識をして多めに摂るようにしましょう。


20代〜40代の日本人女性は、1日の推奨量が50gとされていますが、産後はこの量に加えて20g多く摂ることをオススメします(※)。


タンパク質を含む食材:肉・魚・卵・豆腐や納豆などの大豆製品


●鉄
鉄には全身に酸素を運ぶ働きがあります。また赤血球の原料でもあります。鉄が不足すると体中に酸素がうまく運べなくなり、貧血状態になってしまいます。そのため、疲れやすい方は鉄不足の可能性も考えられるのでしっかりと摂りたいですね。


妊娠中の検診では貧血の検査があるので注意しやすいですが、産後も貧血になる可能性は十分にあるので気をつけましょう。鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がります。一方でコーヒーや緑茶に含まれるタンニンにより吸収が抑制されるので一緒に摂らないようにしていただくと良いでしょう。


鉄を含む食材:豚レバー・牛レバー・鶏レバー・ほうれん草・小松菜・大豆など


●ビタミンB1
糖質の代謝を助ける働きがあるのがビタミンB1です。主食のご飯や麺類、パンやお菓子などの糖質類と一緒に摂取することをオススメします。ビタミンB1が不足すると、全身の倦怠感やむくみが起こります。むくみがあったり、疲れやすい時はビタミンB1を摂るとよいでしょう。


ビタミンB1を含む食材:豚肉・玄米・蕎麦など


●ビタミンB2
脂質の代謝を助ける働きがあるのがビタミンB2です。脂質の摂取だけでなく燃焼させる働きもあります。もし産後のダイエットを考えている場合は、ビタミンB2を意識して摂ると、余分な脂肪が体に溜まりにくくなります。口角炎や口内炎ができる時は、原因の1つとしてビタミンB2不足であると考えられます。


ビタミンB2を含む食材:豚レバー・うなぎ・ぶりなど


●葉酸
ビタミンの一種で赤血球を作るときに必要な栄養素です。別名『造血ビタミン』とも言われています。葉酸といえば妊娠中に必要なイメージが強いのですが、血液の成分を作るのに欠かせないため、産後も特に授乳中の方はしっかりと摂っていきましょう。


葉酸を含む食材:ほうれん草・菜の花・ブロッコリー・いちごなど


●ビタミンE
強い抗酸化力を持つビタミンで、エイジングケアにもオススメのビタミンとも言われています。産後の体の回復にも摂っていただきたい栄養素の1つです。


ビタミンEを含む食材:卵・アーモンド・アボカドなど


他にも、ビタミンCは抗酸化力があり怪我をしたときに必要な栄養素なので、産後に摂ると傷の回復を助けてくれます。また、ビタミンDは菌類に多く含まれており、骨や歯の健康が気になる時はカルシウムと併せて摂ることがオススメです。妊娠中から産後にかけてはホルモンバランスで虫歯ができやすかったり、骨がもろくなりやすくなるので、積極的に摂取しましょう。


※) 厚生労働省・平成29年度「妊産婦等への食育推進に関する調査」

産後の女性にオススメの栄養満点な食材とは?



具体的に必要な栄養をしっかりと摂って体を回復させるためには、どんな食材を使うと良いのでしょうか?しっかりみていきましょう!


●たんぱく質が含まれる食材
たんぱく質は大きく分けて2種類あります。肉や魚、卵などの動物性たんぱく質と、豆類や豆腐、納豆などの植物性タンパク質です。体の主原材料になるので、両方のたんぱく質をバランスよく食べることが大切です。


●鉄が含まれる食材
肉や魚などの動物性食材には、ヘム鉄という、体へ吸収されやすい鉄が含まれています。また、大豆やほうれん草などの植物性食材には、非ヘム鉄という、ヘム鉄に比べると吸収しにくい鉄が含まれています。また、鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がります。調理の際に鉄製のフライパンや鍋を使用することで調理器具からも鉄が摂れますので、産後の鉄不足が気になる方は、調理道具を見直してみるのもオススメです。


●ビタミン類が含まれる食材
ビタミンが摂れる食材は幅広くありますが、肉(内臓類含め)、魚、卵です。特に卵には、ビタミンC以外のあらゆるビタミンが含まれています。また野菜類には、ビタミンA、E、Cなどが多く含まれています。しいたけやしめじなどの菌類には、ビタミンDが豊富です。ビタミンの1種である葉酸は、とうもろこし、ほうれん草、いちご、キウイなどに含まれます。


【見出し4】

栄養素満点!ストックできる作り置きレシピ

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『ミックスベジタブルとビーンズのツナ入りスパニッシュオムレツ』


産後女性の体の回復に欠かせない栄養素をふんだんに含んだレシピをご紹介します!ピックアップした食材の栄養ポイントは以下です。


【材料の栄養学的ポイント】


・ツナ缶
動物性たんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEなどが含まれています。


・ミックスビーンズ(大豆・いんげん豆・白いんげん豆のものを今回は使用)
大豆は、植物性たんぱく質が豊富です。他にもビタミンB1、ビタミンE、葉酸、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛など栄養がとても豊富なため、別名「畑の肉」と呼ばれています。いんげん豆はビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などが含まれます。


・ミックスベジタブル(グリーンピース、にんじん、とうもろこしのものを今回は使用)
ミックスベジタブルの野菜は葉酸、ビタミンA、食物繊維などが含まれます。今回はグリーンピース、にんじん、とうもろこしの入ったものを使用しましたが、ピーマンや玉ねぎなどが入っているミックスベジタブルもありますので、そちらもオススメです。


・卵
アミノ酸スコアが高く、卵自体が「完全栄養食」といわれるほど栄養価が高い食材です。
動物性たんぱく質はもちろんのこと、ビタミンC以外のあらゆるビタミン類、ミネラル類などが含まれます。以前はコレステロールが高くなるので1日1個までと言われていましたが、現在はそのような概念はなくなっています。


・牛乳
動物性たんぱく質、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれます。そのまま飲むのも良いですが、料理の味をまろやかにしてくれるので、卵料理やスープ、味噌汁などに入れて栄養価をアップさせるのもオススメです。


【レシピの嬉しいポイント】


① 調理が簡単!
フライパン1つでき、ミックスベジタブルを使用するため包丁やまな板を使用する必要がありません。そして調理時間はわずか15分!


② 栄養が豊富!
体の回復に必要な動物性たんぱく質(ツナ・鶏卵・牛乳)と植物性たんぱく質(ミックスビーンズ)、たんぱく質以外にも必要なビタミンやミネラルなどの栄養がまとめて摂れるため栄養バランスが良い!


③ 材料のストックが利く!
ミックスベジタブル、ミックスビーンズ、ツナなど冷凍食品や缶詰を使用し、家庭で常備しやすい食材ばかり!


④ 作り置きができて便利!
出来立てを食べるのはもちろんオススメですが、冷ましてからラップに包んで冷凍しておけば、おかずのストックに。まとめて作っておいて、冷凍しておけばいつでも食べられて便利!


■材料(直径20cmのフライパン1つ分 3~4人分)
・卵           3個
・牛乳          大さじ2(30cc)
・ツナ缶         1缶(内容量70g 油を絞ると約60g)
・冷凍ミックスベジタブル 50g
・ミックスビーンズ    1パック(内容量50g)
・コンソメのもと     小さじ1杯と1/2
・調理油 適宜


■作り方
卵は割りほぐして牛乳大さじ2を入れます。さらにコンソメで味を付けておきます。ツナ缶は適度に油を絞っておきましょう。ツナは水煮ならば炒めるときに油はねしないように水をしっかり切っておきましょう。


フライパンに少量の油を入れて冷凍ミックスベジタブルを炒めます。テフロン加工のフライパンの場合は調理油は不要です。ミックスベジタブルは電子レンジで予め解凍しておいてフライパンで炒めると、時短になります。


②のフライパンへミックスビーンズとツナ缶を入れて、少し混ぜ合わせながら軽く炒めます。


①で割りほぐして調味した卵液をフライパンへ流し入れて、ふたをして約8分間焼きます(こげないように火力や時間は調整してください)。


スパニッシュオムレツにある程度火が通ったら、裏返して軽く表面を焼き、完成です!


※ここですぐに食べる場合は、お好みでトマトケチャップをかけてお召し上がりください。


【冷凍保存する場合】
粗熱を冷まして、1切れずつカットしラップに包み、ジップロックに入れて冷凍保存しましょう。食べる際は電子レンジで温めれば、ふっくら美味しく食べられます。


●簡単アレンジ!
最近では冷凍のカット野菜がスーパーでよく売られています。冷凍ほうれん草、冷凍小松菜、冷凍ごぼうなどを材料として入れるのもオススメです。栄養面では、冷凍ほうれん草や小松菜は葉酸が含まれます。ごぼうには抗酸化作用が期待できるポリフェノールや食物繊維が多く含まれるので、さらに健康に嬉しい一品になりますよ。

まとめ

産後は赤ちゃんのお世話で手一杯になり、ママ自身のケアがままならないことも多いでしょう。しかし、まずはママ自身の体を回復させることがとても大切です。今回は産後に必要な栄養が手軽にまとめて摂れて、冷凍保存もできるレシピをご紹介しました。ただ、それでも料理をするのが難しい場合は、買い物から作り置きまでサポートしてくれる家事代行サービスを利用するなど、無理をせず周りに頼りながら過ごしてくださいね。




■管理栄養士・高岡 由貴
2011年管理栄養士免許取得。大学卒業後、保育園•病院•食品メーカーに勤務し、献立作成•栄養管理•食育講師などを担当。現在はフリーランスとしてコラム執筆•食事相談•レシピ開発などをしている。プライベートでは一児の母。