Goodpatchでマネージャーとして活躍する高野葉子さんに、家事に対する考え方や、女性がキャリアを築く上での仕事と家庭の両立、その中で家事代行をどのように活用していけるかを伺いました。経済と社会の構造が今のまま変わらないのであれば、仕事と家庭の両立は、女性にとってだけでなく男性にとっても無理だという「不都合な現実」があるからこそ、両立について新たな視点から捉え直す必要があるのでは、と語るその真意とは?
▼家事は効率化して最低限に。家事代行はやりたいことをやりきるための選択肢の一つ
今、結婚して2年半なのですが、家事に関しては夫婦の役割分担を明確に決めています。私が繁忙期の際には夫が私の分まで巻き取ってくれることもあります。
具体的には、私が料理とお風呂掃除と拭き掃除、夫が洗濯機や食器洗い機を回すのと、ルンバをつけるといった形です。夫の担当分は自動化した家事が多いのですが、それは夫がPDCAを回して効率化していった結果です。夫がミニマリストなのと、仕事でプロジェクトマネジメントをしているので、そのノウハウを家庭に持ち込んで改善提案をしてくれたりします。手放せることは手放して、最低限の家事に抑えています。
まだ2人暮らしのため正直そこまで家事は発生しおらず、家事代行も現状は使ったことはありません。ただ、周りで使っている友人が多く、皆すごく自然に日常的に利用しているので抵抗感はないですね。夫とも選択肢の一つとしては必要だねと話していますし、今後子どもを持つという選択をしたときには絶対に使ったほうが良いと思っているんです。家事や育児をアウトソースしないと、自分たちがやりたいことがやりきれないので。
家事代行を使うとしたら、平日の夕食の作り置きや、3ヶ月に一度の本気のお風呂掃除など、時間がかかってコミットが必要なことをお願いしたいです。デイリーで使うなら「自動化できない家事」。例えばメニューを考えて料理の材料を買ってくるとか、作るとかはお願いしてみたいです。
▼結婚当初感じていたバイアスとソーシャルプレッシャー
今はうまく夫婦で家事の役割分担をしていますが、結婚当初は「女性が家事をしなければならない」というバイアスを抱えていました。
仕事にも本気で取り組みたい時期でもあったので夫に両立ができていなくて罪悪感を感じている話をしたら「僕は君に家事をしてもらいたくて結婚したわけじゃない」と言ってくれたんです。夫は価値観が世界基準で、例えば家で料理を作って食べることについて、中国では家でご飯なんてめったに食べないし、フランスやアメリカだってそうでしょ、と。料理を作って食べるのなんてエンターテイメントで、それを楽しむためにやるのであって、無理してそうする必要はなくない?と。
それを聞いて「何でも1人でやらなきゃいけない」「結婚したから女性が家事をするべき」と思っていた呪いが溶けて、すごく気が楽になって。自分自身が「こうあるべき」というバイアスと、周囲のソーシャルプレッシャーを感じてしまっていたことに気づきました。そこから、役割分担したらいいんだとかやり切れないことはアウトソースすればいいんだという考え方になりました。
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▼本来の目的を見直せば、家事代行は単なる一つの手段
結婚当初に感じていたバイアスでは、家事の目的と手段が入れ替わっていたなあと思います。例えば料理に関して言えば、食事は目的ではなく手段ですよね。ここで目的となるのは「空腹を満たすこと」や「大切な人と一緒に豊かな時間を過ごすこと」。
平日にものすごく凝った食事って本当に求めているんだろうか?と考えると違うなと。本来の目的に立ち返ると、手段である食事は自炊、レストラン、ファーストフード、家事代行などいかようにでも考えられます。一部では、家事代行なんて贅沢だと考えられていたりもしますが、あくまで手段の1つであって、外食をするのと同じですよね。
▼物事をグラデーションで考え、求める基準を決める
また、物事を「グラデーションで考える」ことも大切にしています。これはGoodpatchで多様性(ダイバーシティ)を学んでいく中で得た考え方です。私たちは物事を白か黒か、0か10かなどの両極で考えてしまいがちですが、そうではなくて、その中間があってもいい、どんな物事もレベルが分かれているものだという考え方です。
料理でいえば、0が全く料理をしない、5がすごく手の込んだ料理といった感じだとして、そのレベルの中で自分や家族が求めるレベルを基準にして、それが実現できないのであればサポートを求めればいいのではないかなと。
どのレベルを基準にするかに関しては本当に人それぞれ違いますし、違っていていいんです。周りの基準に合わせる風潮がありますが、自分基準で、時と場合、気分によって基準をスイッチすればいいと思います。
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▼仕事と家庭は両立できない!という「不都合な現実」
キャリアを築く女性たちが家事代行をどう活用していけるかですが、まず「女性のキャリア」を築いていくという切り口で、対照的で面白い2冊があります。
フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOが、働く女性の意識改革を訴えて全米大ベストセラーとなった『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』(原題:“Lean In: Women, Work, and the Will to Lead”)。そしてこの本が出版された後に発売された、アメリカの国務省政策企画局長も務めたアン=マリー・スローター教授の『仕事と家庭は両立できない?-「女性が輝く社会」のウソとホント』(原題:Unfinished Business: Women Men Work Family)です。
スローター教授の書籍では、経済と社会の構造が今のまま変わらないのであれば、仕事と家庭の両立は、一部の特殊な職業を除いて、女性にとってだけでなく男性にとっても無理だという「不都合な現実」ということに気づいたと主張しているのです。もう女性のキャリアは性別の問題としてではなく、「競争とケア」のバランスの問題と捉えなければならないと。
つまり、現在の社会はキャリアを築くとかお金を稼ぐといった「競争」のほうに重きが置かれる構造になっていて、家事や育児といった「ケア」とのバランスが悪いので、もうこれは性別は関係なく、社会構造上、仕事と家庭の両立をすることはできないという主張です。
この書籍の日本語版でスローター教授が寄せた文章に、次のような一文があります。
この本の核になるのは、男性の平等が達成されなければ女性の平等もないという視点です。
そして、男性の平等には、その役割を作り直し、養い手であると同時にケアの担い手として大切な存在になることが欠かせません。男性は競争の側面が過剰に発達している半面、ケアの側面は発達不足です。現代の社会は、競争に勝ち、多くを成し遂げ、カネを稼いだ男性に価値を認めています。
もし日本がこれまでの男女の役割にこだわれば、つまり男性が支配する世界にこだわっていると、他国の成果の上に自分たちの成果を積み上げることも、イノベーションを起こすこともできなくなってしまいます。日本の女性と男性のみなさんが、何千年もの歴史を持つ日本の文化を問い直し、新しいロールモデルを見つけ、男女が平等に働き、愛する人を平等にケアできるような生き方を発見することを願っています。
これを読んだ時に、私の中での蓄積されてきた違和感が核心に変わりました。性別というラベルとは関係なく、愛する人々を大切にしながら同時に自分の成功も追い求め、ヘルシーで幸福で生産的な暮らしを送れるよう、これまでのバイアスを壊す時期にきているのだと。
「やる気さえあれば仕事と家庭は両立できる」「良いパートナーを見つければ仕事と家庭は両立できる」というレベルの話ではありません。全てを自分だけの力で手にすることは難しい。キャリアを築くために時間が必要なのであれば、完璧な家事を自分だけですることは諦め、まずは取捨選択をして「任せられること」を見つけ、「やらないことを増やす」ことが必要です。
その任せられる先の一つに、家事代行がある。そういうことなのではないではないでしょうか。家事は1人ではなく家庭というチームで取り組む、そして家事代行の方もチームの一員として仕事を任せる。そういった意識で利用すればいいのではと思っています。
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