キッズラインで活躍するサポーターの皆さんに、やりがいや働き方の工夫について伺うインタビュー企画。ご紹介するのは、キッズラインアワード2026でエリアスター賞を受賞された菅原雅子さん。山形県庄内地方で活動し、2025年には地域における依頼の半数以上を担う活躍ぶりです。「祖父母に頼るのが当たり前」という土地柄で、当初は「ニーズがないのでは」という不安もあったそうです。
しかし、地域特有の事情に誠実に向き合い、SNSでの地道な発信を続けたことで、多くのご家庭から厚い信頼を寄せられる存在になりました。約30年続けた保育士の仕事を思い切って辞め、新しい働き方に踏み出した菅原さんに、挑戦のきっかけ、働き方の変化、そしてこれから描く未来について伺いました。
保育士を辞めた後、模索した中で見つけた働き方
ー長い保育士経験を経て、ベビーシッターに挑戦することになったきっかけを教えてください。
一番のきっかけは、30年の園勤務を通じて「もっと一人ひとりの生活リズムに深く入り込んだ、きめ細やかな支援がしてみたい」という思いが強くなったことです。
保育園は社会性を育む素晴らしい場所ですが、集団保育という特性上、どうしても全員が同じスケジュールで過ごすことになります。そんな中、ふと「もし一日の終わりの数時間を、その子のおうちで、その子の好きな遊びをしながらゆったり過ごせたら、もっと心が安らぐ時間を作れるのではないか」と考えるようになったんです。
園での活動的な時間と、ご自宅でのプライベートな時間。その架け橋となり、お子様一人ひとりのペースに100%合わせて寄り添う。そんな「もう一つの保育の形」を追求したいと感じ、ベビーシッターという道を選びました。
ー保育士だった頃に、働き方について何か思ったことはありますか?
保育士だった当時は目の前の保育に全力投球で、自分自身を後回しにして駆け抜けていました。保育の現場はやりがいが大きい分、非常にハードです。休憩時間中も連絡帳の記入や行事の準備など、常に気を張っていなければなりません。
保育士として働き始めて30年という節目を迎え、また自分の子どもが自立して家族の形が変わったとき、「これからはもっと自分のペースを大切にしながら、目の前の一人のお子様と、より深く、丁寧に関わっていきたい」という気持ちが自然と湧き上がってきました。
ただ、具体的に次を決めてから辞めたわけではなく、「一度しっかりリセットしよう」と退職したのが先でした。その後の模索期間の中で、これまで培った経験を一番活かせ、かつ自分らしく無理なく働ける答えがベビーシッターだったんです。
SNSでの地道な発信が、地域にベビーシッターを広める鍵に
ーキッズラインを選んだ理由は何でしたか?
今後を模索する中で、以前SNSを通じて知り合った「フリーランス保育士」の方とオンラインでお話しする機会があり、そこで初めてキッズラインのサービスの存在を詳しく教えてもらったんです。
実際に活動している方の生の声を聞き、自分一人でベビーシッターを始めるよりも、まずはこうした仕組みの中で学んでみようと決意しました。30年同じ環境にいたので、新しい世界への挑戦には怖さよりもワクワクが勝っていましたね。
ーお住まいのエリアで活動するにあたって、不安はありませんでしたか?
私の住む庄内地方は、おじいちゃんやおばあちゃんを頼れるご家庭が多く、そもそも子どものケアを家族以外の人に依頼する習慣があまりありません。正直に言えば、ベビーシッターのニーズはほとんどないのではないか、という不安がありました。だからこそ、ベビーシッターの活動を始めるにあたっては、まず地域の方にベビーシッターの存在を知ってもらう必要があると感じました。
そこで自治体が主催するSNS活用講座に通い、インスタグラムでの発信をスタートしました。インスタグラムでは、(※)実際にお子様が楽しく過ごしている様子を投稿することで、「利用しているご家庭が本当にあるんだ」という安心感を伝えたかったんです。それが功を奏したのか、今では地域の親御様同士の口コミでご縁が繋がるようになり、地道な発信の大切さを実感しています。
(※)お子様のお写真の投稿には、事前にキッズラインのシステム上で、親御様へのご確認が必要です。
自分のペースで働けるようになり、心に余裕が持てるように

ーベビーシッターとして活動を始めてみて、どのような変化を感じますか?
一番の変化は、自分のスケジュールを自分で決められる自由さです。園勤務時代は、常に人員や時間の調整に追われ、気を抜く暇のない毎日でした。でも今は、自分のペースで働くことができます。働き方が変わると、こんなにも気持ちの持ちようが変わるのかと驚きました。
自分のペースを守れることが、そのまま心のゆとりにつながっています。
長年の保育士経験で培った感覚は今のサポートにも活きていますが、それを相手に押しつけるのではなく、あくまで経験という「引き出し」として使っている感覚です。
また、園では見えなかった子どもたちの家庭での姿に触れられたことも、大きな発見でした。保育園でしっかり者の顔を見せている子が、家では思いきり甘えている。そのような姿を見られるのは、先生でも親でもない、ベビーシッターという立場だからこそだと感じています。
ー利用者の方の特徴や、接するうえで大切にしていることを教えてください。
ご依頼くださるのは、頼れるご家族が近くにいない他県出身の方や、親御さんが高齢でお願いしづらいという方が中心です。
私が心がけているのは、「アドバイスをする立場」にならないこと。保育士時代は指導する側でしたが、今はまず「お母さんはどう考えていますか」とお聞きするようにしています。ご家庭によって、子育て観は異なります。それを尊重し、寄り添うことを徹底しています。
ベビーシッターが当たり前の選択肢になってくれたら嬉しい
ーこれから実現したい夢や、地域でどのような存在になりたいかといったお考えはありますか?
実は、今の活動は「自宅で一時預かりの場所をつくる」という夢の途中でもあります。子どもたちが巣立ち、夫婦二人の暮らしになったので、ご家庭に伺う形だけでなく、いつか自宅でも安心してお子様を預けていただける場所をつくれたらいいなと思っています。
あわせて、私と同じように現場で悩んでいる保育士の方たちに、「こういう自由な働き方の選択肢もあるんだよ」と伝えていきたいです。保育士として働いていた頃は、仕事にやりがいを感じてはいたものの、いろいろと思うことがありました。でも今は、自分の手綱でスケジュールを決め、「より良く生きるために、自分らしく働く」ことができています。
私の住む地域は「おじいちゃんやおばあちゃんに頼れるから、ベビーシッターは必要ない」と考える方がほとんどです。だからこそ、本当にサポートを必要としている方に届く存在でありたいですし、私の姿を通して、ベビーシッターが地域にとっても、保育のプロたちにとっても当たり前の選択肢になってくれたら嬉しいですね。
30年というキャリアを「勢いで辞めてしまった」と、笑顔で語る菅原さん。その言葉から、長い年月をかけて積み重ねてきた経験と、自分の感覚を信じる覚悟を感じました。
保育士としての確かな土台を持ちながらも、それを押し出すのではなく、自分の中の「引き出し」として静かに携えている。その姿勢が、ご家庭にとっての安心感につながっているのだと感じます。
ベビーシッターという働き方がまだ身近ではない地域で、SNSを通じて一歩ずつ信頼を積み重ねてきた菅原さん。これからも地域の家族を支える、頼れる存在であり続けるのだと感じました。
▼菅原雅子さんのプロフィールページはこちら


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