国際政治学者と女性経営者。どんなイメージを持たれますか?

今回は、テレビのコメンテーター等で大活躍する一方、赤裸々な内容の自伝的エッセイも話題になり、8歳の娘さんのママでもある国際政治学者の三浦瑠麗さんと、10年以上にわたり会社経営をしながら子育てしてきたキッズライン代表・経沢香保子。

鉄の女(!?)のイメージもある二人が語る「仕事と子育て」「女性の未来」とは?

子どもが欲しくてしょうがなかった。産後30日で働き出したけれども・・・

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経沢)はじめまして、今日はよろしくお願いします。まず、三浦さんの会社の「山猫総合研究所」って、何を研究しているんですか? 素人みたいな質問ですみません(笑)。

三浦さん)私のやっている個人事務所みたいな感じです。肩書きは、国際政治学者ですが、本来私は物書きなので、本を出し続けるのが主戦場ですね。

経沢)お子さんは、おいくつですか?

三浦さん)娘は8歳です。

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経沢)うちは10歳です。三浦さんの本『孤独の意味も、女であることの味わいも』を読んで「娘さんのミルクの匂いがなくなって涙した」とか、すごく母性に溢れていらっしゃるんだと、イメージとのギャップにびっくりしたんです。

今日お聞きしたかったのは、仕事と子育ての両立にすごく悩んだと書かれていて、どうやって乗り越えてこられたのかなと。私はどちらかというと、仕事が中心で、すぐ働き出した方です。

三浦さん) 私も産後30日で働き出しましたが、産後の女性ってホルモンの影響もあってすごい母性が溢れ出しますよね。面倒を見なければ!という衝動は強かったです。

あと、うちの子は、哺乳瓶拒否だったんです。当時は必然的に母子一体にならざるを得なくて。どんな場所へも連れて行き、常にスリングに入った状態で仕事をしていました。

そういうしんどい部分もあったけれど、やっぱり、もともと子どもが欲しくてしょうがなかったんでしょうね。

両立がつらくて仕事をやめたいと思った時、気づいたこと

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経沢)エッセイの中で、「仕事を辞めようと思った」と書かれていたことに驚きました。

三浦さん)両立があまりにツラかった頃、「こんな非正規をやって子どもにも手をかけられないでいるくらいだったら、辞めた方がいいのかな」と思っていたんです。

でも、それは実は肩書とかタイトルの問題じゃない。仕事は一生自分についてまわるものですが、子どもはいつか育って出て行ってしまうんです。もっと自由が必要だっただけなんだ、と気付いて。

どのくらい稼げるかは別として、子育てとは別の独自の「自分の生きる道」は持っているべきだと思いました。

女性が働き続ける上で、両立が辛い時期でも「辞めたい」と思わないような、働くことの満足感や誇りを抱きやすい環境を作っていけるといいな、と思いますね。

経沢)たしかに、「一生懸命両立しているのに、やっている仕事はそれほどの価値があるのだろうか」と言う悩みはよく聞きます。「やりがいがあれば仕事も続けられるのに」と。

日本人の女性はお金を節約しすぎ?

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三浦さん)1つ考え方を変えるべきなのは、日本人の女性はお金を節約しすぎるんですよね。自分ですべてやろうとしてしまうけれど、それは本当にあなた自身がやることが必要な作業でしょうか、ということを考えてほしいと思います。

経沢)なるほど〜!


三浦さん)「仕事の価値」ってよく言うけれど、たとえば、仮に月給が16万円の仕事だったとして、両立が辛い時は「16万円のためにこんな」と思うかもしれません。でも、「16万円あったら何ができるのか?」という発想も重要。

シッターさんを雇って、さらに子供にとてもいい教育を授けることができて、自分も月に1回くらいエステに行く、こともできる。

減らして削っていくんじゃなくて、増やして足して行く。そういう生活を考えたら、もし嫌なことがあっても、自分によりよい環境の会社を探し出して働こうという考え方になると思うんです。

育児に自信が持てると、仕事も「やっていける」と思える

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経沢)三浦さんがおっしゃるように、いつか子どもは離れて行ってしまうから、自分の人生の軸をコツコツ作っていくという視点は健康寿命が延びている現代には必要な視点かもしれません。でも、その発想を持っている人はまだまだ少ない印象もあります。

三浦さんのように、軸を持ち続けるにはどうすればいいですか?

三浦さん)もともと自分の精神世界が広かった、というのはあるかもしれません。さすがに育児のごく初期には、母性に浸されて狭いところで生きていたと思います。けれども、子どもが5歳にもなれば、自然にもとの自分が戻ってきました。

育児で自信が出てくると、これでやっていけるんだと思えるようになると思います。

経沢)カテゴライズするのは申し訳ないんですけど、私が就職するときは、「女性が男性化しないと成功しない」というイメージでした。国際政治学者って・・・。

三浦さん)ああ、男社会です(笑)。

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経沢)でも三浦さんは実際にお会いすると更にお美しいし、女性らしい方だなと。どうやって男性化しないでやってこられたのでしょうか?

三浦さん)もともと理系出身で、さらに政治学全般も男社会でした。女であることによって苦労をする点があるとすれば、仲間に入れてもらえない消極的な差別を受けるということなんですよね。単に少数派であるだけで、見える風景はずいぶんと違うんだということです。

だから、女性は特に専門性を狭く定義して自分の領分を作ったり、抑制的に振舞った方が合理的な行動になってしまうんです。私の場合は、なるべくお行儀よくしないようにしていますけど。個であるということはリスクも責任も伴いますが、それが自分らしいのであればそうしたらいいと思う。

例えば、働く女性はメンズライクなスーツがプロフェッショナルだと考えますが、そこはあえて好きな服装で行くとか。

経沢)なるほど、オンリーワン戦略ですね。

0歳からシッターさんにお願いすればよかった

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経沢)教育方針で心がけていることはありますか?

三浦さん)娘は、私が小さい頃に読んでいた『世界少女文学全集』のようなやさしくした古典が好きで、私と本の趣味や、没頭の仕方がそっくりなんです。他方で、父親に似て図鑑や伝記本も好き。自主性や好きなことは大事にするようにしています。母子の交流の中で重要な部分を占めるのが、温泉やベッドの中などで私が創作したお話を聞かせる時間です。

経沢)ママの創作脚本だ。

三浦さん)はい。そうした情操教育は大切にしていますが、日常の家事はほとんどしないですね。週末のごはんや朝ごはんを作ったり食洗機は回すけど、昼・夜は作らないし、お風呂もあまり入れない。うちの子はわりと自立していて、料理の下ごしらえを手伝ったり、洗濯物を仕分けて洗濯機を回すこともできます。基本、平日はナニーさんに来てもらっています。

経沢)そうなんですね。私の会社で運営するキッズラインはシッターさんをマッチングするサービスなのですが、まだまだシッターさんに頼むことに抵抗がある方も多いようです。

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三浦さん)私は娘が10ヶ月になったときに保育園に入れましたが、1歳半で転園してからは、最大22時まで預けられたので、保育園でカバーできていました。

でも、実は0歳のときからナニーさんを雇っておけばよかったと思っています。睡眠不足とか、離乳食とか、自力でぜんぶやっちゃったんですけど。

当時は、どうやってナニーさんを面接したらいいかとか、どうお願いしたらいいかわからなかったんですよね。本格的にナニーさんにお願いするようになったのは小学生になってからです。

経沢)「小1の壁」ですね。どういうシーンでもっと前から使っておけばよかったと思いました?

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三浦さん)まずは産後すぐの大変な時のサポートが欲しかったですね。それから、保育園ではお散歩に行くとはいえ、子どもの行動の自由がないですよね。だから、彼女のやりたいことに制限があったと思います。たとえば、「バレエをやりたい」となると、私が仕事を抜け出して送迎のために往復し、パソコンを広げてやきもきしながら外で待つ、とか(笑)。

自分の時間を犠牲にして行くか、子どもに諦めてもらうかしかなかったので、早くお願いすればよかったなと思います。

なぜか「集団保育の方が安全」だと思っていた

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三浦さん)あと、当時は1対1よりも集団の目がある方がいいんじゃないか、と思っていたんです。

経沢)それはよく言われます。集団の安全神話は信じられ続けていますよね。

三浦さん)でも、安全かどうかは「集団か」「1対1か」の二項対立ではなく、人によるじゃないですか。

シッターさんを使うことが「みんながやっていること」になれば、どんどんママ友の間で知見も広まりますよね。

保育園の時のママ友も、お受験のあたりからシッターさんを利用する人が増えて来て、情報交換できるようになってきました。

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経沢)周りが使っていると使い方のノウハウもたまっていきますよね。

三浦さんは、ベビーシッターを利用するハードルを下げるためにはどうすればいいとお考えますか?

三浦さん)まずサービスを使ってみて、人との相性を見てみないとわからないですよね。

シッターさんにお願いすると、親は自分の知らない子どもの一面を知ることもできるし、相談もできますよね。同じ方に頼んでいて、「今日はこういうことをした」とかを聞くとすごく参考になる。

自分の子の嫌な面は知らなかったりすることもある。でも他人の冷静な目で「こんな悪いことをしていた」と聞くと、一旦ショックは受けるものの、気付かされることもある。それは逆もそうで、良かったことを聞くこともあれば、子どもからナニーさんに関する不満を言われることだってあります。子どもやシッターさんとのコミュニケーションをはかっておくことで、いろんなことがプラスに働きます。

娘の悩み相談は、手紙でやりとり

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経沢)お子さんからは、悩み相談はされますか? 

三浦さん)友だちが遊んでくれないとかそういうことは、ちょこちょこと回避する術を教えます。「校庭に出てみたら?」とか、「ひとりで自分の好きな本を読んだら?」とか。自分の側の愛情が溢れているのに、相手が冷たいと悩んでいるときなどは、「相手は違う人間で、いつも自分と同じ気分なわけじゃない」とか「来てほしかったら、かえってしつこくしすぎない方がいい」など、人間関係の機微にわたることも様子を見つつ教えます。

もっと深い対人関係についての悩みだと、彼女は手紙を書いてくるんですね。私は帰りが遅いので、夜帰ってきても、必ずその日のうちに返事を娘に書いています。

経沢)深い悩みを文章にするなんて、精神的に大人なんでしょうね。

三浦さん)そうですね。「ナニーさんのことは好きだけど、合わないところはどうすればいいの?」とか。「ママは我慢しなさいと言うと思うけど、我慢できない場合はどうすればいいの?」とか。

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経沢)大人ですね(笑)。

三浦さん)大体の場合、友だちとかでもそうですけど、助言なんてたいして求めてなくて。話を聞いて「大変だったね」と言ってもらえることが大事なので、受け止めます。そのうえで、相手の気持ちを思いやる訓練も必要ですし、それとなく教訓になるように、自分の経験も書きますね。

経沢)いい話!私もそれやろうと思います。「受け止めて、自分の経験を書く」



後編では、さまざまなハードルを乗り越えて、育児と仕事を両立してきた二人が、
人生の困難の乗り越え方について語り合います。

■三浦瑠麗:国際政治学者。東京大学農学部を卒業後、同公共政策大学院及び同大学院法学政治学研究科を修了。博士(法学)。東京大学政策ビジョン研究センター講師を経て、山猫総合研究所代表取締役。テレビでも活躍する一方、執筆、言論活動を続ける。第18回正論新風賞受賞。『孤独の意味も、女であることの味わいも』は初の自伝的著作。

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(取材・執筆)まよっこ (@mayomura0911