保育士資格を持ってはいるものの、出産などの理由で休職したり別の業種に転職して、現在は保育士として働いていない方もいるでしょう。そこで、保育士として復職をお考えの方に向けて、資格を生かした新しい働き方をご紹介します。

潜在保育士とは?復職しない人はどれくらいいる?


保育士の仕事
厚生労働省は2022年時点で、約95万人の潜在保育士がいると公表しています。


潜在保育士とは「保育士の資格を持っているけれど保育士として働いていない人」のことをいいます。保育士としての勤務経験がある人、保育士として一度も働いたことのない人、両方が該当します。

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保育士が離職した理由は何が多い?


保育士の退職理由は何が多いのでしょうか。厚生労働省の資料では、多い理由として以下が挙げられています。

①人間関係の悩み
②雇用条件に不満
③理念・方針への不満
④職場における本業以外の業務負荷


一つずつ詳しく見ていきましょう。

①人間関係の悩み
保育士の仕事は一人では出来ません。現場では他の職員と協力しながら日々の保育活動や清掃、行事の準備などを行い、さまざまな場面で関わることがあります。その際にお互いの保育に対する考え方が大きく異なったりすると言動に不満が出てくることも少なくありません。勤務中はほぼ毎日顔を合わせるので、ストレスを抱えてしまう方もいます。また、保護者との対応でトラブルが起きた場合に、上司や園長が全く頼りにならず不満が募るということもあります。

②雇用条件に不満
令和2年の「賃金構造基本統計調査」(※1)によれば保育士の平均年収は約374万円。全職種の年収の中央値は約399万円なので、保育士の年収は全職種平均を下回っています。昨今、保育士の給与は改善傾向にあるとはいえ、全体的な給与水準は低く、長年勤めて経験を積んでも年収が大幅にUPすることは難しいのが現状です。正社員でなければ賞与や手当が貰えないこともあります。そのため、給与や雇用条件に不満を抱く方もいるでしょう。

(※1)賃金構造基本統計調査 令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)

③理念・方針への不満
理念・方針は、園長または経営者の価値観が色濃く反映している園もあります。新卒保育士や他の園から転職してきた保育士にとっては疑問に感じる慣習がある場合もあります。納得できないルールがあまりにも多いと、園に対しての不信感がつのり「何のためにこのようなルールがあるのだろう」と不満が溜まる要因になります。

④職場における本業以外の業務負荷
フルタイム勤務の保育士は基本的に8時間勤務です。しかし残業も多く時間通りに帰れないこともあります。特に発表会や運動会などの行事前は子どもが帰ってから作業をするため、遅くまで残ることもあります。
感染症対策のために送迎時の保護者の入室を不可にした園もあり、そのぶん保育士が子どもたちの荷物を一つずつロッカーに入れ、タオルをタオルハンガーにかけるなど、日頃の支度にも以前より時間がかかるようになりました。業務量がどんどん増えてしまい、時間がいくらあっても足りない状態に陥ることも少なくありません。

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保育士に復職しない理由は?何がハードル?


保育士が希望する勤務形態
潜在保育士ガイドブック|厚生労働省によると、現在保育士として就業していない人が希望する勤務形態はパートタイム「60.2%」と圧倒的に多いことがわかります。フルタイムの求人に対して、復職希望者の多くがパートタイムを希望しているために、雇用のミスマッチが起こっている現状が復職に至らない要因の一つにあるようです。
その他保育士として復職しない理由を、一つずつ詳しく見ていきましょう。

【復職しない理由1】子育てと両立できないから

保育士の仕事は早朝勤務や遅番などのシフト制であることが多く、自身に子どもができると、家庭との両立が厳しいという方も多いです。またクラス担任を持つと書類仕事やママパパとの面談、制作物、お便りの作成などの仕事が増え、持ち帰りや残業をすることもあります。小さい子どもがいる潜在保育士にとっては復職しにくい要因です。

【復職しない理由2】賃金が見合わないから

保育士と他業種の求人情報を比べると「他の仕事のほうが収入がよい」と感じることがあります。給与、福利厚生などの待遇面が自分の希望に見合っていないと、保育士としての復帰をためらってしまいますね。責任をもって長く働くためには、納得できる賃金が必要です。

【復職しない理由3】集団保育では理想の保育ができないから

保育園では、保育士1人で複数の子どもを見なければいけません。時には、子ども個人よりもクラス全体の「流れ」を優先しないといけないこともあり、「子どもの希望や、要望を十分に聞いて関わる保育」を理想とする保育士にははがゆく感じることもあります。

このように、潜在保育士が復職しない理由にはさまざまあり、問題の一つが解決したからといって、すぐに復職しようという気にはなれないのが現状のようです。

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保育士の復職を支援する、行政の取り組み


それでも、保育士資格を持っている方の中には、いずれは保育士として復帰したいと考えている方もいるでしょう。そこで、保育士の復職を支援する取り組みについて、一部をご紹介します。

「再就職支援貸付金」

保育人材の確保を図ることを目的として潜在保育士の再就職支援を図るため、再就職に当たり必要な費用を貸し付ける制度があります。東京都では貸付額は40万円以内(一人一回限り)です。

潜在保育士の再就職支援事業|東京都社会福祉協議会

「処遇改善等加算」

「処遇改善等加算」とは、保育士の賃金を上昇させるための国の補助金制度です。長時間労働や業務過多にも関わらず給料が低いことが離職原因の一つであることから、賃金を引き上げるために設けられています。

保育士・幼稚園教諭等を対象とした処遇改善について|内閣府


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保育士の復職は保育園以外で働く道もある


保育士
保育園で正社員として復職するのは難しい、けれども保育士資格や保育の経験を生かした働き方をしたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
実は、保育園で働くことだけが保育士の働き方ではありません。保育園以外での働き方の一つに、ベビーシッターがあります。保育士資格を活かして無理なく働きたい方には、オススメの仕事です。
ベビーシッターは、主に0~12歳頃の子どもの保育を依頼者の自宅や指定の場所で行う仕事です。依頼者は、仕事をしている親だけでなく、産後の手助けが欲しい方、孤独な育児に悩まれている方、多胎児育児に奮闘している方など、さまざまです。
ベビーシッターの中には、英語やスポーツ、音楽など自身の特技を生かして、保育中にオプションで習い事も教えるという活動をしている方もいます。

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保育園での仕事とベビーシッターの違い


ベビーシッター
ベビーシッターの仕事は保育園での仕事とどこが違うのか、また、どんな経験を活かすことができるのでしょうか。給料や働く時間など、ベビーシッターという働き方についてみていきましょう。

【1】その子に合わせた個別保育ができる!

保育園は集団保育ですが、ベビーシッターは個別保育なので、目の前の子どもの成長に合わせた保育ができます。1人の子どもと深く接し、変化や成長をより間近で見守ることができます。

【2】すきま時間でも働ける!

すきま時間や自分の子どもが幼稚園に行っている合間など、スケジュールに合わせた働き方ができます。自分のペースでスケジュールを組めるので、家庭がある方でも生活に影響が出にくく、希望に沿った時間や日にちに仕事ができます。

【3】時給を自分で決められる!

マッチング型のベビーシッターは自分で時給を設定します。シッティング経験や回数を積んでいくことによって、時給を段階的に上げていくことも可能です。資格や経験に基づいた時給を自分で設定することで、責任と誇りをもって保育という仕事に向き合えます。

【4】自分のスキルを活かして働ける!!

英語が得意であったり、リトミックを教えられるなど特別なスキルがあると、その分オプション設定ができます。また、保育以外の業務(事務的作業、複数の親への対応や、紙での報告など)を行うことが日常的には発生しないため、子どもと密に関わる時間をしっかりと持てます。

保育士資格を活かして自分らしく働こう


保育士はれっきとした国家資格。ご自身が努力して取得した保育士資格は、とても価値があり、素晴らしいものです。保育士の求人と自身の希望がマッチしないことで、保育の現場に戻ることを躊躇するのであれば、働き方を変えてみるという手もあります。
ベビーシッターは時給や働き方を自分で設定することができるため、再び保育士の資格を生かして働きたいと思う方には、復職しやすい働き方です。


「保育士資格を活かして働きたい」と思う方は、ぜひ一度キッズラインのオンライン無料説明会で話を聞いてみませんか?

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