キッズラインで活き活きとお仕事をされているサポーターの方に、働き方の工夫ややりがいについてお伺いする連載企画。第5回目は、サポート回数426回、キッズラインでの活動歴2年2ヶ月のベビーシッター&家事サポーター・吉村真理子さんに取材。東京と沖縄を行き来しながら、料理と保育の高度なスキルで子育て家庭を支える吉村さんのお仕事ぶりに迫ります。



料理と保育、悩んだ末に保育を選択



――保育士と幼稚園教諭の資格をお持ちなんですね。

保育系の大学に進んで、両方の免許を取得しました。料理も好きだったので進学時に悩んだのですが、保育科ならば歌や演奏など自分の好きなことを仕事に生かせそうだと思い、まずは保育の道を選びました。



――保育士として働いていた頃のお仕事はいかがでしたか?

保育園で仕事をしていたのは2年と短かったのですが、小さなお子さんのお世話をするのは楽しかったですね。日々変化に富んだ毎日で、他の先生方と一致団結して保育を担いながら、自分のスキルアップができたのは、とても良い経験でした。


保育現場ではシフトがしっかりしていたので、時間外勤務はなく、快適に働けていました。ただ、低年齢児のクラスでは随分体力を必要としました。とはいえ、子どもたちは疲れも吹き飛ぶくらいの可愛さで、毎日驚きの成長を遂げる姿を間近で見られることは喜びでもありました。



結婚を機に退職。独学で学び、料理教室を主宰



――退職後はどうされましたか?

結婚を機に退職し、専業主婦になりました。その後すぐに長男を出産。次男、三男と続き、しばらくは男子3人の母として、子育て一辺倒の毎日を過ごしました。その子どもたちも今では全員が成人し、手が離れました。



――育児に奮闘されながら、料理教室を始められたんですね。

三男が2歳になったのを機に、料理教室を始めました。最初の8年は有名デパートの料理教室を請け負う形で開催させていただき、その後は自宅を改装して自宅兼料理スタジオに。主宰する発酵料理教室『mari’s kitchen studio』は、今年で16年目になります。その間、NHKの料理番組にも6年ほどレギュラー出演させていただきました。



――料理はどのようにして習得されたんですか?

料理の方は育児の傍ら、独学で身につけました。教室を始めてからも、スキルアップのために東京へ何度も出向いたり、野菜ソムリエの資格を取得したりと、日々の努力は欠かせませんでした。沖縄の伝統野菜についても勉強し、ユネスコ無形文化遺産である和食を広める活動も行っています。


今もシェフや企業向けに勉強会を開くなど、常に情報をアップデートしながらスキルを磨いています。最近は麹(こうじ)や味噌など昔ながらの発酵に着目し、「発酵プロフェッショナル」として、料理を通じた健康増進にも取り組んでいます。




息子の進学を機に東京へ。新たな働き方にチャレンジ



――素晴らしいご活躍ですね!キッズラインを知ったきっかけは何だったのですか?

自宅は沖縄なのですが、一番下の息子が東京に進学することになり、私も沖縄と東京とを行き来する生活を始めました。それが約2年前、2020年のことです。


料理教室は沖縄で今も毎月行っているのですが、東京にいるとスキルを活かす機会がありません。そこで、何かできることはないかと探していたところ、キッズラインを紹介している番組をたまたま見たんです。


今までパーティ、イベント、出張料理教室なども依頼を受けていましたので、ご利用者のご自宅に伺ってお料理をするのなら、自分のスキルですぐに始められそう!と思い、心が躍りました。



――キッズラインにはすぐに登録されたんですか?

思い立ったらすぐ行動に移すタイプなので、すぐに登録会に参加しました。保育士の資格は持っていましたが、長年お料理を仕事にしてきたので、料理をメインにしたくて、まずは家事サポートだけで登録しました。



――最初のご依頼は覚えていらっしゃいますか?

初めてのお仕事は、2人のお子様のいるご家庭で、お子様たちに料理を教えてほしいとのことでした。


その時はまだベビーシッターに登録していなかった為、お母様とお子様に作り方を教えるというスタイルでお料理をしました。料理の最中、お子様たちはとても熱心に質問してくださり、和気あいあいとした時間に。もう待ちきれないとばかりに、出来立てのスイーツをお召し上がりいただき、大絶賛していただけました。


初めてお料理を教えたお子様たちは、今ではスーパーお料理キッズに成長されています。



「ママたちを応援したい」と思い、ベビーシッターにも登録


ベビーシッター

――ベビーシッターはどういったきっかけで始められたんですか?

最初のご依頼がきっかけで、「可愛いお子様にもっと料理を教えたい」と思い、その後すぐにベビーシッター登録会に参加し、キッズ向けのお料理レッスン(※)を始めました。私自身、3人の男の子を育てる中で、育児に苦労した経験があり、仕事と育児を両立しようと頑張っている後輩のママたちを応援したいという思いもありました。



――3人の息子さんたちを育てている頃は、どんな生活でしたか?

本当にてんやわんやで、大変でした。毎日の睡眠が3時間程度しか取れないこともありました。子どもが寝てくれている夜の時間は、唯一集中できる時間だったので、睡眠時間を削って仕事のテストキッチンをしてレシピに起こす作業をしていました。子どもと一緒に寝落ちしてしまい、深夜に慌てて起きて残った家事をすることもしばしばありました。小さなお子さんを抱えているママたちの苦労は、身に染みて痛いほどわかります。



時給アップ後も定期の方は全員継続していただいた



――時給に関してお伺いします。最初はおいくらの設定で始められましたか?

家事代行は2500円、ベビーシッターは2000円で開始しました。登録会では1000円台後半から始められる方が多いということでしたが、料理経験を考慮して少し高めに設定させてもらいました。



――その後時給を上げた理由はありますか?

今年の春あたりに上げさせていただきました。キッズラインでのお仕事を始めた時は感染症の流行時期で、1ヶ月のうち沖縄にいる期間の方が多かった為、定期の方々も毎月私のスケジュールに合わせて予約を入れてくださっていました。本当にありがたいことですよね。


流行が収束してきたのに比例して、お仕事の依頼がどんどん来るようになりました。依頼される方からも「予約が取りにくい」とおっしゃっていただくようになったため、家事代行とベビーシッターともに500円ずつアップさせていただきました。



――時給を上げる際にはどのようなコミュニケーションをされましたか?

定期の方には時給をアップする1ヶ月前までに、直接お話させていただきました。現在は定期と単発と7対3程の割合の依頼数なのですが、定期の方で時給アップ後に終了された方はお一人もいらっしゃいませんでした。長いお付き合いをさせていただいており、毎回伺うのが楽しみなご家庭ばかりです。



――収入面については今後どう考えられていますか?

実はお料理のご依頼の場合は、ご家庭にお伺いする前にも、時間を有効活用できるようにシミュレーションをしたり、数千種類のレシピの中からご家庭に合うものをチョイスしたりと、さまざまな下準備に時間を費やしています。


キッズラインは自分で時給を設定して働けるというところが魅力なので、今後はスキル面でも収入面でももっとレベルアップを目指していきたいと思っています。



それぞれのご家庭の雰囲気に合わせた料理サポート


料理1

――ご自身で「ここが強み」と思うところはありますか?

長く料理を仕事にしてきましたので、料理サポートはご満足の声を多くいただいています。料理サポートは、ただ単にご自宅にある材料を使って料理するのではなく、ご依頼を受けたご家庭の雰囲気に合わせて料理を作るようにしています。


例えば、小さなお子様がいるご家庭ではベースを薄味で作り、取り分けてピリ辛にアレンジして食べられるメニューなど、召し上がる方全員が楽しめるように工夫しています。



――大人用の味があるのは嬉しいですね!料理サポートは他にどんな依頼がありますか?

ホームパーティで友人をもてなすためのパーティ料理のご依頼や、子どものお弁当のおかずのつくり置きなどがあります。食物アレルギーに対応した料理も作りますし、年末はおせち料理も頼まれますね。


先日は、婚約食事会でのおもてなし料理の依頼も受けました。人生の門出をお祝いする料理を私に任せていただいたのは、料理サポート冥利に尽きるなぁと思いました。とても嬉しかったです。



――素敵なご依頼ですね。料理以外のサポートもされていますか?

整理整頓も大好きで得意分野なので、子ども部屋の整理や家族の衣替えを頼まれることもあります。クローゼットやキッチンの収納のアドバイスなどもさせていただいています。



保育サポートの際も“食育”の視点をプラス



――ベビーシッターとしてはどんなサポートが多いですか?

年齢では2~3歳から小学生のお子様をお預かりすることが多いです。安全第一で見守りつつ、可能な年齢の子には食育の視点をプラスしたシッティングも行っています。



――シッティングの中で食育をするというのは、具体的にはどういったことでしょうか?

お散歩ができるくらいのお子様とは、お魚屋さんに行って、一緒にお魚を観察することもあります。そのお魚を買って帰って、保護者の帰宅後に料理サポートに入ってお料理することも。その一連の流れから、生き物の命をいただいているということを、お子様に理解してもらうことができます。


また、シッティング中にピザの生地を粘土のように一緒にこねておいて、保護者のご帰宅後にピザを作ると、お子様は「自分が作った」という意識が芽生えるようです。


2歳以降のお子様であれば、オプションでキッズお料理レッスンも行っています(※)。仕事で忙しい保護者の方だと、なかなかお子様に料理を教える時間がないので、親子ともに喜ばれています。



仕事とプライベートのバランスは臨機応変に



――ベビーシッターと家事サポートどちらでもご活躍ですが、休日はとれていますか?

私の場合は沖縄と東京を行き来していますので、東京にいる間だけキッズラインでのお仕事をしています。2拠点生活をしていても、好きな仕事ができるので、とてもハードですが、フレキシブルに活動させていただいています。ご依頼が続くこともありますが、半日は休んでバランスをとるようにしています。



――ご家族の反応は?

夫は「楽しくやれているなら何より!頑張りすぎて身体を壊さないように」と言ってくれています。息子たちも手が離れていますので、この働き方を応援してくれています。夜のサポートが続くときには、息子がご飯を作ってくれていることもあります。



「嫌いなものが食べられるようになった」保護者と一緒に感動


料理2

――ベビーシッターや家事サポートのやりがいはどこにありますか?

保護者の方からは「子どもの好き嫌いが無くなった」「食べられなかった物が食べられるようになった」と言っていただくことがあります。食を通じてお子様の成長を感じ、保護者の方と一緒にその成長を喜び、感動することができるというのが、この仕事のやりがいだと思っています。



――具体的に嬉しかった言葉はありますか?

久しぶりのご依頼の際に「吉村さんのお料理が恋しくなったので」と言ってもらえた時は、この仕事をやってよかったと思いますね。「子どもが食べられるものが増えて、また来てくれるのを待っている」と言っていただいたこともあります。私の作る料理の味が、ご家族の笑顔につながっていると思うと、毎回気合が入ります。



保育と料理、どちらも生かせる自由な働き方が魅力


家事サポ

――フリーランスという働き方については、いかがですか?

料理教室を主宰して個人事業主としてのキャリアが長かったこともあり、フリーランスという働き方は、私にはベストな働き方です。また、2拠点生活の中で時間を調整しながら、料理と保育のスキルを生かせるのが何よりの魅力です。



――今頑張っているママに伝えたいことは?

「全部、大丈夫だよ」という言葉をかけてあげたいですね。私も子育てで大変な時期を乗り越えてきました。子育ての最中は忙しくて、子どもにちゃんと向き合えているか、落ち込むこともあります。でも、そう思うことこそがもう立派に子育てをしているということです。


料理と子育ては、切っても切れません。子育ての半分は「何を食べさせるか」だからです。私が自分の育児の中でひとつだけ自慢できることは、料理は最大の愛情だと信じ、手を抜かなかったことです。サポートの際は、その時と同じ気持ちで、『美味しい手作りのおうちGOHAN』をお作りしています。なので、子どもの食事が気がかりという時には、ぜひ助けを求めていただければと思います。



――今後はどのようなご予定ですか?

大きな目標としては、「輝く女性が増えること」を応援したいと思っています。そのために子育てや家事、料理などでより多くのご家庭を支えていきたいですね。昔はベビーシッターや家事サポートはありませんでしたが、今はいつでも誰かに頼れる時代です。これからの世代を育てるサポート役として、私も頑張っていきたいです。東京にも笑顔いっぱいの美味しい料理を!




――インタビューを終えて――

物腰が柔らかで優しさがあふれる雰囲気の吉村さん。3人のお子さんを育てながら、料理のスキルを身につけた芯の強さと、新たな働き方にチャレンジするポジティブさに勇気づけられました!吉村さん、貴重なお話をありがとうございました!



※現在キッズラインでは料理レッスンと食育の提供範囲について方針を設け、ご利用者の方々には別途ご案内を予定しております。ご不明な点等ございましたら、サポートデスクまでお問い合わせください 。

吉村真理子さんのプロフィールページはこちら

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