お箸は何歳頃から使い始めればよいのでしょうか。実は「早ければ早いほど良い」というものでもありません。今回の記事では、子どもの発達をもとに、お箸の始め方について保育士が解説します。正しいお箸の持ち方を教えていきましょう。
お箸はいつから?子どもにお箸を持たせるタイミング
お箸をスタートする時期は、子どもによって異なりますが
大体4歳頃がおすすめです。4歳くらいになると、お箸を扱うための十分な基礎力がついてくるからです。そこでまずは、お箸を持たせるタイミングについて解説します。
お箸を持つ前に必要な発達チェック
お箸を持つ前に以下の2点ができるか、確認しましょう。
●鉛筆が正しく握れる
●スプーンやフォークを使って、鉛筆と同じ持ち方で食べられる
お箸を使うためには、指がそれぞれ別の動きをしなくてはいけません。箸先を開いたり閉じたりするので、
指の筋肉を調整し、動きをコントロールする力が必要になります。
そのため、遊びや生活を通して指先の使い方が発達していることが大切です。お箸を使うためには鉛筆の持ち方が基本となるので、まずは鉛筆やスプーン・フォークが正しく使えているかを確認しましょう。
【年齢別】発達の目安
食事の仕方は発達によって異なります。おおまかな発達の目安は以下の通りです。
9ヶ月〜 手づかみで食べる
1歳半〜 スプーンやフォークを上から握って使う
3歳〜 スプーンやフォークを鉛筆持ちで使う
4歳〜 お箸とスプーン・フォークを併用する
5歳〜 お箸を上手に使えるようになる
お箸を使うためには食事のマナーに従う必要もあります。簡単な決まりを意識して行動できるようになるのも大体4歳頃です。
焦らずわが子のペースで進めよう
4歳という目安はありますが、発達には個人差があるので、子どもの様子に合わせてお箸をスタートできるとよいですね。発達が追いついていないのにお箸を始めても、間違った持ち方を覚えてしまうだけです。ついてしまった癖はなかなか直らないので、急ぐのは禁物です。
早く持てるようになるよりも、正しく持てた方が将来的には子どものためになるでしょう。
「早く箸を使えるようにしてあげなきゃ」と焦る必要はありません。準備が整った段階で、わが子のペースで進めていきましょう。
最初はどんなお箸を選べばよい?
お箸には長さや素材など、さまざまな種類があります。子どもが初めて使うお箸だからこそ、使いやすいものを選びたいですね。ここからは、お箸を選ぶポイントについて解説します。
使いやすいお箸のポイント
お箸の素材は、どちらかというと
プラスチック製より木製の方が滑りづらく、食材が掴みやすいです。滑り止め加工があると、なお使いやすいでしょう。プラスチック製のお箸は手入れが簡単ですが、木製より滑りやすいので、使い始めのお箸としては難しいかもしれません。上手に使えるようになったら取り入れてもよいでしょう。
お箸の大きさは、手の大きさに合わせて選びます。目安は
「親指と人差し指を直角に開いたときの1.5倍の長さ」です。
4〜5歳児だったら、14〜15cmくらいになります。
子どもは、成功体験が多いほどモチベーションが上がります。子どものモチベーションを下げないようにするためにも、掴みやすく使いやすいお箸選びがポイントになります。
子どもと一緒に選ぼう
初めて使うお箸は、ぜひ子どもと一緒に選びましょう。自分で選んだお箸だと「使いたい」という意欲も高まります。ただし、選ぶと言っても子どもは使いやすさよりも見た目に引かれる子が大半です。
ママパパがあらかじめ3つくらい候補を挙げておき、そこから選んでもらうとよいでしょう。
トレーニング箸は使った方がよいの?
指通しが付いているようなトレーニング箸を使わなくても、適切な時期からお箸を使い始めれば、子どもはきちんと持てるようになります。
とはいえ、2歳くらいからお箸を使いたがる子もいます。親が「まだ早いから」と言ってもこの時期の子どもの好奇心を抑えることはできません。そのような場合は、普通のお箸を持たせて悪い癖がつくよりは、トレーニング箸を使って子どもの気持ちを満たしつつ、正しい持ち方を身につけさせてあげるとよいかもしれませんね。
子どもが興味を持つお箸の始め方
中にはスプーンやフォークで満足していたり、箸に興味が向かない子もいます。もしかしたら、他の人がお箸を使っていることに意識が届いてないのかもしれません。子どもの興味を引きつけ、お箸の使用に繋げていきたいですね。ここからは、子どもがお箸を使いたくなる方法をご紹介します。
憧れの気持ちを持たせる
子どもが新しいことを始めるときは「憧れ」から始まります。
できないことを「できるようになりたい」と憧れ、真似ていくことで子どもは成長していくものです。
ママパパや年上のきょうだいがお箸を使って食べている姿を、積極的に見せましょう。お箸で食べ物をつまんだり、切ったり、混ぜたりする姿は、子どもにとっては魅力的に映ります。
しかし食事中にテレビなど他に興味があるものが存在していると、子どもの興味が食卓に向かなくなってしまいます。食事中は、家族で会話を楽しむようにしてみましょう。興味のアンテナが自然とママパパの手元へいき、「自分もお箸を使ってみたい」という憧れの気持ちを引き出してくれるはずです。
遊びの中でお箸を使ってみる
食事でお箸を使う前に、遊びの中で取り入れてみるのもおすすめです。お箸トレーニング用のおもちゃも、さまざまな種類が販売されています。おもちゃを購入しなくても、豆やマカロニ、ティッシュなどを用いて、皿から別の皿へ移し替える遊びをするのもよいですね。
遊ぶときのポイントは、楽しく行うことです。失敗しても、笑ってまた次の挑戦へつなげていきましょう。これが本当の食事だったら、落として汚れたり、食べられなくなってしまったりするので、食卓に緊張感が生まれてしまいます。失敗が続けば、食事自体が嫌になってしまう可能性もあります。
食事でお箸を使う前に、遊びでお箸に慣れましょう。楽しい雰囲気の中で、子どもも意欲的に挑戦できるはずです。
慣れるまではスプーンとフォークも併用でOK
お箸の使い始めは、最後までお箸を使うことにこだわらないようにしましょう。疲れたり飽きたりしたらスプーンやフォークに切り替えられるよう、お箸と一緒に並べておきます。大人は当たり前のようにお箸を使って食事ができます。しかし使い慣れていない子どもにとっては難しいものです。
まずは食事を楽しむことを第一に考え、子どもが自らの意志でお箸に挑戦できるようテーブルに並べておきましょう。
子どもがお箸を嫌がったときの会話例
スプーンやフォークを使い慣れた子どもにとって、複雑な手指の動きが必要なお箸は扱いづらいものです。そのため当然、嫌がる子もいます。親が「もうお姉ちゃんでしょ!お箸を使いなさい」と叱ってしまっては、子どものモチベーションも下がってしまいます。では、どのような言葉かけがよいのでしょうか。
お箸の使い始めの会話例
使い始めは子どもの
自己肯定感を高める言葉をかけましょう。お箸が使えるのは大きくなった証だということを伝えると、子どもの意欲が高まります。
【会話例】
子「お箸、使わない」
親「そっか。お箸もってるAちゃん、お姉さんみたいで素敵なんだけどなぁ」
子「お姉さん?」
親「そう、お姉さんになるとお箸使ってるでしょ?」
子「〇〇組(年長)のお姉さん、お箸使ってるよ」
親「そうだよね。お箸使ってるとAちゃんも〇〇組のお姉さんと同じだね」
子「じゃあ、使ってみる」
親「かっこいいね!お姉さんみたい!」
お箸に疲れてきたときの会話例
お箸の練習に疲れてきたときは、子どもの気持ちを受けとめましょう。そして、次回に期待をもたせる言葉で励ませば「また頑張ろう」という気持ちが湧いてきます。
【会話例】
子「もうお箸やめた」
親「疲れちゃった?」
子「だって上手にできないんだもん」
親「なめこはツルツルしてるから難しいよね」
子「もうやめた」
親「スプーン使って食べる?」
子「うん。もう今日はお箸おしまい」
親「そうだね。今日は頑張ったからおしまいにしようか。明日、また使ってみようね」
マナーを伝えるときの会話例
お箸を使い始めるとマナーも気になり始めますよね。楽しい食卓で口うるさく注意するのは禁物です。親が見本を見せつつ、少しずつお箸のマナーを伝えていきましょう。
【会話例】
子(お箸でご飯をかきこんでいる)
親「Aちゃん、ご飯、おいしい?」
子「うん!」
親「よかった〜。ねぇ、これできる?」
(箸先を開いたり閉じたりしてみせる)
子「えー、できない」
親「そっかぁ。できるようになったら見せてね」
子「本当はできるよ!見て!」
お箸は焦らず!悩んだら保育のプロの手も借りて
周りの同年齢の子がお箸を使い始めていると、親は「うちの子も……」と焦ってしまうものです。しかしお箸を使い始めるには、土台となる手指の発達が必要です。発達には個人差があるので、子どもに応じたペースで進めましょう。
「持ち方が違うとつい怒ってしまう」「食事の時間が楽しくなくなってしまう」などお悩みの方は、保育のプロである
ベビーシッターに一度頼ってみてはいかがでしょうか。ベビーシッターに
保育中の遊びの中で正しいお箸の持ち方を教えてもらうように頼んでおけば、子どももストレスなくお箸をマスターすることができますよ。
忙しい毎日の中で、食事の時間は家族とゆったり向き合えるひとときです。お箸の教育に悩むことなく、家族全員が笑顔で過ごせる時間を確保したいですね。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
キッズラインのベビーシッターに、お箸の悩みを相談してみよう
キッズラインには、お箸の練習を遊びの中で取り入れてくれるベビーシッターも在籍しています。お箸の持ち方を教えることに悩んでいると依頼時に伝えてみましょう。子どもがお箸を持てるだけの力が身についているかを確認してくれたり、子どもがお箸に興味を持つような工夫を考えてくれるはずです。
食事時が重苦しい雰囲気になっているなら、お箸のことは一旦プロに任せて、ゆったりと家族で食事を楽しむことに重きを置いてみてはいかがでしょうか。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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