夏に保育園でプール遊びが実施されることも多いですよね。水に触れるのは楽しい体験ですが、近年は気温上昇が著しく、保育園のプール遊びが見送られるケースも。
本記事では、現役保育士が、保育園におけるプールの実施基準や安全対策、水が苦手な子への配慮、家庭での水遊びの工夫などについてご紹介します。
*この記事のポイント*
⚫︎水に親しむのが目的
⚫︎十分な安全管理でプール遊びを実施している
⚫︎気温上昇のためプール遊びを中止することも
保育園でプール遊びをする目的とは?

保育園のプール遊びについては、幼稚園や小学校のように
決められたカリキュラムはありません。プール遊びの実施については園で決定します。では、プール遊びをしている保育園では、どのような目的で行うのでしょうか。主な目的を3つご紹介します。
【目的1】水に親しむ
保育園でのプール遊びの目的は、学校や水泳教室のように、泳げるようになることではありません。その前段階として、
水への恐怖心を和らげたり、自ら水に関わろうとする意欲を育むことを重視しています。
保育園では、子どもの発達や水への慣れ具合に応じて、無理なく水遊びができる工夫をしています。また、子どもが興味を持ちそうな遊具をとり入れることで、遊びを通じて楽しみながら水に親しめる工夫をしています。
【目的2】水の動きや感触を味わう
タライなどを使った水遊びでも水に触れることはできますが、
プールでは水の浮力や流れなど、プールならではの体験を全身で味わえます。日々の入浴でも同様の体験はできますが、浴槽よりも広々とした空間で友だちと一緒に遊ぶ時間は、自宅のお風呂とは異なる学びにつながります。
例えば、水中では走りづらかったり、水の流れによってはバランスを崩しやすかったりすることにも気づきます。このような体験を通じて、子どもは水の性質を理解し、安全な水遊びをするための感覚を身につけていきます。保育園では、「水とはどういうものなのか」を理屈ではなく、体験を通じて学ぶ機会を大切にしています。
【目的3】水の楽しさや気持ち良さを味わう
暑い夏に冷たい水の中で遊ぶことで、子どもたちは水の気持ち良さを全身で味わうことができます。また、友だちと一緒に水しぶきを上げたり、波を作ったりすることで、普段の遊びとは異なる楽しさを共有することもできます。
プールは夏ならではの遊びなので、昨年の記憶を思い出しながら、心待ちにしている子どもも少なくありません。プールの季節になると、「今日は入るの?」と何度も聞いてくる子どももいます。プールは暑い夏にぴったりの遊びで、 子どもたちの「楽しい!」「気持ちいい!」という気持ちを自然に引き出してくれます。
保育園のプールの有無はどう決まる?実施基準と判断ポイント

「今日はプールを実施できるか」の判断には全国統一のルールはなく、園や自治体が独自の基準を設けています。園によって異なりますが、一般的にはどのような実施基準や判断ポイントがあるのか見ていきましょう。
暑さ指数
熱中症のリスクは、気温だけでは測れません。近年では、気温・湿度・輻射熱などを考慮して算出された
暑さ指数(WBGT)を元に安全管理を行うことが一般的になりつつあります。
暑さ指数が28を超えると熱中症のリスクが高まると言われています。31を超えると「原則運動は中止」となっているため、プール遊びを中止にする目安としている園も多いでしょう。
暑さ指数は環境省の「熱中症予防サイト」で確認している園もあれば、WBGT測定器を購入し、設置している園もあります。園の周辺環境やプールの設置場所によっても暑さ指数は異なるため、情報を元に現地の状況からプール実施の判断を行います。
参考:環境省「熱中症予防情報サイト」
職員の配置
プール遊びを行う時は、監視を行う職員が不可欠です。そのため、十分な人員を確保できない場合は、プール遊びを中止する判断を下します。
人は溺れる際、騒いだりすることなく、静かに沈んでしまうことが多いと言われています。子ども一人ひとりの動きに注視し、危険を素早く察知するためにも、監視の役割を担った職員はその役割に専念します。
子どもの遊びをリードしたり、トラブルの対応をしたりしながら監視はできません。役割分担を明確にし、保育士の配置を決めたうえでプール実施の可否を判断しています。
設備の安全性
プール遊びの前後には、プールやその周辺の清掃と安全チェックを行っています。設備に不具合がある場合は、子どもの安全面を考慮してプールを中止にします。プール本体や排水口、プール周辺の滑り止めなど、破損があれば大きな事故に繋がりかねません。目視での確認の他に、注水後も保育士が事前にプールへ入り、異変がないか確認を行います。
また、水質の管理も行っています。
塩素の濃度をこまめにチェックし、必要に応じて塩素の調整を行います。もし塩素が足りなくなってしまった場合は、プールを中止せざるを得ません。このような事態を避けるためにも、事前の準備をしっかりと行う場合がほとんどです。
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猛暑や感染症の影響で見送るケースも増えている

プール遊びは一般的には7〜9月頃に行われますが、近年では6月から暑い日も増えてきているため、プール開きを早める園もあります。
しかし、気温が高すぎたり、感染症が流行している場合は、プール遊びを中止にすることもあります。プール遊びを行わない判断はどのようなケースがあるのか、見ていきましょう。
猛暑の場合
近年の日本では、気温が35℃を超える猛暑日が増える傾向にあります。
こうした暑さの中ではプールに入ったほうが熱中症を防げるように思えるかもしれませんが、
実はプールの中でも子どもは汗をかいています。
ただ、水に濡れているため汗に気づきにくく、水分補給をせずに過ごしてしまうことがあります。その結果、水分が不足して体温調節がうまくできなくなり、熱中症の危険性が高まってしまいます。
また、気温が高いと水温も上がります。水温が33℃以上になると体の熱が放出されづらくなり、熱中症になるリスクが高まってしまうのです。こうした理由から、気温や水温、暑さ指数によっては、プールを中止することがあります。
感染症の場合
子どもは免疫がまだ十分に発達していないこともあり、保育園のように集団で過ごす場では感染症が広がりやすくなります。プール熱(咽頭結膜熱)や流行り目(流行性角膜炎)、水いぼ、とびひなどプールの水を介して流行する病気もあり、状況によってはプール遊びを中止にすることがあります。
実際には、感染経路が保育園のプールと断定はできません。しかし、同じような症状の子どもが増えてきている場合は、感染拡大を防ぐため、プール遊びを止めて別の活動に変更することはあります。
安全にプール遊びを行うため保育園で行っている工夫

子どもたちに人気のプール遊びですが、一方で事故やけがのリスクもあるため、十分な安全対策が欠かせません。実際に保育園で実施している内容を見ていきましょう。
朝の天候チェック
プール遊びの実施を決定する際は、気温や湿度、水温、暑さ指数などを確認します。
数値が高い場合には、熱中症を予防するためにプールは中止にします。時間帯によって、天気や気温が変化することもあるため、プール遊びの最中も継続的に天候などの状況の確認を行っています。
プールの準備
プール遊びの前には専用の道具を用いて水質検査を行い、残留塩素濃度が0.4~1.0mg/Lに保たれるよう調整します。また、設備やプール内に異常がないかを確認します。
プール遊びの後にも清掃や消毒を行い、清潔を保ちます。毎日もしくは定期的に水の入れ替えも行っています。
参考:厚生労働省「遊泳用プールの衛生基準について」
園児の体調確認
プール遊びは健康な園児のみ行います。そのため、体調が良くない時はプールに入れない旨を保護者から伝えてもらうようにします。
登園後に体調を崩す子もいるため、保育士はプールに入る前に子どもたちの様子を確認し、いつもと異なる様子が見られる場合は、別の遊びに誘うようにします。保育士は常に子どもの様子に気を配り、健康な状態でプール遊びを行えるよう配慮しています。
職員配置
プール遊びを行う際には、監視を行う職員を必ず配置します。
人員を確保できない場合は、プール遊びを中止します。子どもたちと一緒にプールに入る職員や、プールに入れない子どもたちを保育する職員など、役割分担を明確にしたうえで、プール活動を行うことで安全管理を行っています。
プール周辺の環境整備
プールサイドは水に濡れて滑りやすくなるため、滑り止めのマットを設置します。水がかからない場所にタオルを置き、遊び終わってシャワーを浴びたら、すぐに身体を拭けるよう事前に準備をしています。着替えスペースは、清潔に保ち、身体が冷えすぎないよう室温にも配慮します。また、着替えの際に他の人から見えないよう、プライバシーに配慮した環境づくりも行っています。
緊急時の体制整備
万が一、怪我をしたり、溺れたりした際に備えて、
保育園では緊急時に対応できる体制 を整えています。救急セットだけでなく、園によってはAED(自動体外式除細動器)を設置しています。また、多くの保育士は、心肺蘇生や応急手当の研修を受けています。緊急時の対応がマニュアル化されているなど、迅速かつ適切に対応できるよう備えています。
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水が苦手な子や体調不安のある子への保育園の配慮

人気の高いプール遊びですが、中には水が苦手な子や体調に不安のある子もいます。保育士が実際に行っている対応についてご紹介します。
水が苦手な子への配慮
水が苦手な子は、顔に突然水しぶきがかかることに対して苦手意識を持っている場合が多いので、なるべくそのような状況が起こらない環境を作ります。
プールから少し離れたところに水を溜めたタライを置き、水遊びから始めることもあります。子どもが「プールに入ってみたい」という気持ちになるのを待ちます。
また、水が苦手な子と、得意な子のグループに分けてプールに入る場合もあります。水が苦手なグループでは、水しぶきを立てず、静かに遊ぶことを事前に約束します。少しずつ水に慣れることができるよう、無理をさせず、子どもに合わせた参加方法をとっている園が多いのではないでしょうか。
体調に不安がある子への配慮
「熱はないけれど、たまに鼻水が出ている」「今朝はなんだか食欲がなかった」など、朝の体調に少し不安を感じて、プール遊びの可否を決めかねてしまう場合もあるでしょう。そのようなときには、無理せずプールはお休みするのが望ましいでしょう。
判断に迷う場合は、子どもの様子も含めて保育士に相談してみましょう。「直前の検温で37.0℃あったら控えてほしい」といった希望にも、柔軟に対応してもらえることがあります。
保育園のプール遊びで必要な持ち物リスト

プール遊びに必要な物を忘れてしまうと、プールに入れなくなってしまいます。子どもが悲しい思いをしないよう、確認しながら子どもと一緒に荷物の準備を行いたいですね。準備する物は園によって多少異なりますが、一般的には次のようなものが必要とされています。
| 持ち物 |
注意点 |
| 水着 |
子どもが自分で脱ぎ着しやすいものが良い。 |
| タオル |
巻きタオルがおすすめ。 |
| プール用帽子 |
色の指定があるか確認。 名前を大きく書く。 |
| ラッシュガード |
日焼けが心配な場合は用意。 |
| 濡れた水着を入れる袋 |
水着が入る大きさの袋を用意する。 |
| 着替え一式 |
下着や服を入れておく。 |
| プールバッグ |
荷物を出し入れしやすい形状を選ぶ。 |
家庭からプール遊びの可否を園に伝える方法は、園ごとに異なります。保育室に設置されたチェック表に記入する場合や、連絡帳を通じて伝えるケースなど、さまざまな方法があります。
プールカード(当日の体調やプールへの参加可否を保護者が記入するための園指定の連絡用紙)が配布されている園では、当日の記入を忘れずに行い、必ず持って行きましょう。
また、髪の長い子どもにはヘアゴムの用意も必要です。保育士が複数の子の髪を結ぶとなると、プールで遊べる時間が短くなってしまうことがあります。朝のうちに髪を結んで登園するなど、ご家庭でのご協力をお願いしています。
水遊びが大変なときは?ベビーシッターという選択肢も

プールが実施されていない園に通っている場合や、猛暑や感染症の影響で中止が続いている場合でも、家庭で夏らしい水遊びを楽しむことはできます。
自宅の庭にビニールプールを出したり、水風船で遊んだりするのも人気の方法です。お風呂場で水鉄砲を使えば片付けも簡単ですし、リビングでは洗面器に氷を入れて感触遊びを楽しむのもおすすめです。冷たさに驚いたり喜んだりする子どもの姿が見られるでしょう。
「水遊びのさせ方がわからない」「忙しくて見守る余裕がない」と感じる場合は、保育経験のあるベビーシッターに依頼するのも一つの方法です。遊び方や声のかけ方を知ることで、今後の参考にもなります。
水遊びは、夏ならではの大切な体験です。安全面に十分配慮しながら、子どもにとって楽しい思い出をつくる機会として、無理のない範囲でとり入れてみてはいかがでしょうか。
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ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインは全国47都道府県にベビーシッターがおり、スマホから24時間いつでも検索・依頼をすることができます。ベビーシッターは、保育士資格など8つの資格または研修修了者のみが登録可能で、保育のプロが揃っています。
キッズラインには保育士経験を持つベビーシッターもいます。
水鉄砲や氷遊びなど、年齢に合わせた水遊びのアイデアが豊富で、家庭でも実践しやすい工夫を提案してもらえることもあります。実際の遊び方や声かけのコツを間近で見ることで、今後の参考にもなり、自信を持って子どもと水遊びを楽しめるようになるはずです。
キッズラインでベビーシッターを依頼するには、事前に顔合わせまたは事前面談が必要です。急に依頼する必要がある場合に備えて、まずは一度お試しで頼んでみるとよいでしょう。子育ての疲れを一人で抱え込まず、ときにはサポートを得ながら子どもと向き合っていきたいですね。
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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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