小学4年生は10歳になる年ですね。身体が大きくなると同時に心も成長し、子どもと親の関係性も少しずつ変化を感じる頃です。今回は、既に小4を過ぎた2人の息子を持つ保育士の著者が体験を基に「小4の壁」について解説。子どもの発達を理解し、成長に伴う変化を優しくサポートしましょう。

「小4の壁」って何?小4ってどんな状況?


小4の壁
「小4の壁」とは、小学4年生の時に多くの親と子どもが直面する悩みのことをいいます。どのような課題があるのでしょうか。まずは子どもの発達過程から確認していきましょう。

小4の発達過程


小学4年生頃になると、子どもは友人との関係性がより重要になってきます。それと同時に自分を客観的に捉えることができるようになり、同時に相手と比較するようにもなります。
そのため、親と距離が近いことに急に恥ずかしさを覚え、距離をとろうとする子もいます。子ども自身が自分の感情や思いを話す機会が減ってくるため、親も子どもの状態を把握しにくくなります。著者の息子も小4で反抗期が始まり、親との関係性が大きく変わり始めました。

「小4の壁」とは


「小4の壁」とは、10歳頃の子どもとその親が直面する課題で、以下のようなことが挙げられます。

●放課後の居場所がない
●勉強が難しくなってくる
●友人関係が複雑になってくる


上記のような状況の中で、子どもは心が揺れ動いたり、葛藤を繰り返したりします。著書もそのような状態の息子とどう向き合ったらいいのか、難しさを感じていました。「小4の壁」について1つずつ確認していきましょう。

【小4の壁】①放課後の居場所がない


放課後
1つ目の壁は、子どもの放課後の居場所についてです。小学4年生からは居場所が変わるために、フルタイムで働く親にとっては悩みの種となります。

小4の子どもが放課後に過ごす場所


小学4年生の子どもが放課後に過ごす場所は、さまざまなパターンがあります。それぞれの場合で、どんな負担が出てくるのか、見ていきましょう。

・民間の学童で過ごす

小学校へ入学してからは学童へ預けていた家庭も、4年生になると状況が変わってきます。都市部では「公立の学童は小3まで」というところもあり、4年生になったら通えなくなることも多いようです。
4年生以降も学童を利用したい場合は、民間の学童を探さなくてはなりません。新しい環境に変わるのは、子どもにとっても大人にとっても大きな負担です。


・塾や習い事に行かせる

公立学童の終了と共に、放課後新たに塾や習い事に通わせるご家庭もあるでしょう。学校や自宅から近ければ一人で行かせることもできますが、離れた場所に塾や教室がある場合は、送迎が必要となります。塾の場合は長時間になるので、夕食や塾用のお弁当の準備なども必要になります。
子どもにとっては、学校で集団生活を終えた後に、さらに勉強や習い事を週5日で行うことは大きな負担となるでしょう。もちろん習い事や塾にはお金がかかるため、家計にも大きな負担が生じます。


・家で待っていてもらう

公立の学童を利用できる場合でも、小4くらいになると「家にいたい」と言う子も増えてきます。長時間の集団生活は、子どもも疲れを感じるものです。また、大人が管理してくれることは、親にとっては安心材料ですが、子どもにとっては煩わしさを感じるのも事実です。
「家でのんびりと自分の好きなことをして過ごしたい」と子どもは家にいることを望みますが、親の方は「ダラダラしていないか」「施錠はちゃんとしているか」「危なくないか」など心配の種は尽きません。
ちなみにフルタイムで働く著者の息子たちは、子どもだけで家で待つ方式をとっていました。何かあったときには連絡できるよう、携帯電話の番号と職場の電話を壁に貼っていました。


【解決法】親の働き方を見直すか、サービスに頼ろう


子どもの放課後の居場所がないという問題を解決する方法としては、以下のことが挙げられます。

・時短やテレワークなど、親の働き方を見直す

フルタイムを辞めて時短勤務にしたり、パートタイムに切り替えて早く帰れる働き方を選べば、子どもが1人で過ごす時間を無くしたり、減らしたりすることができます。
リモートワークが可能な職種なら、転職して職場環境を変えるのも一案です。中学受験をする家庭なら今後「子どもと向き合う時間」が重要になってくるので、数年スパンで働き方を考えてみることも必要かもしれませんね。
ちなみに著者の場合、家で留守番させつつ、時短で働きました。正職員からパートになって収入は減りましたが「子どもと過ごせる時間は今だけ」と割り切ることにしました。


・スマートフォンなど通信機器を取り入れる

習い事や塾に自分で行く場合や、自宅で留守番をする場合も、小4だとまだ親としては不安が残ります。外へ遊びに行く時には鍵を閉める、知らない人が訪問してきたら出ない、などルールを決めることは必要ですが、必ず守っているかを確認したいですね。
そのためにはGPSで常に居場所を確認できるスマートフォンを持たせたり、見守りカメラを導入して家の様子を外出先から親が確認するのがおすすめです。スマートフォンは利用時間や利用可能アプリの制限を親の方で設定できるので、使いすぎを防ぎつつ、上手に使っていきたいですね。


・送迎が必要ならシッターに依頼する

子どもの習い事の教室が遠方の場合は、ベビーシッターに送迎を頼むこともできます。また留守番をさせるときも親の帰宅が深夜になるなら、一人で待たせるのではなく、ベビーシッターに来てもらった方がよいでしょう。
ベビーシッターというと赤ちゃんのお世話をする人のように感じますが、利用可能年齢は0〜15歳までとなっています。小4はまだ見かけは完全に子どもです。「うちの子はしっかりしているから」と過信せず、子どもの安全を優先しましょう。


ベビーシッターを依頼してみる

【小4の壁】②勉強が難しくなって、差が出てくる


手を上げる子
2つ目の壁は、小学4年生頃になると勉強が難しくなってくることです。テストの点数を友だちと比較して、落ち込む様子も見られるようになってきます。

勉強が難しくなる理由


小学4年生になると、授業の内容が難しくなります。具体的にどのようなところが難しくなってくるのかを、紹介します。

・算数

低学年の算数とは違い、抽象的思考が必要な単元に入ります。例えば小数や分数は指で数えられないので、イメージが難しくなります。
面積を求めたり、表やグラフを読みとったり、回答までの道筋が見えないと解けない問題が増えてくるのもこの頃です。一度つまずくと、その後の単元も理解できず、苦手意識が増していきやすい教科なので、親も注意が必要です。


・国語

小学校4年生になると、日常的に使っている言葉を客観的に捉える力が必要になります。修飾と被修飾など文法に関する問題が出てきたり、ローマ字での表記を覚える必要もでてきます。
新しく覚える漢字は3年生の時とほぼ同じ数(小3は200文字、小4は202文字)ですが、画数が多くて覚えづらい漢字が増えてくるので、難易度が上がってきます。
コンスタントにドリルを進められているかなど、親が確認しておくと安心です。

参考:学習指導要領における各教科等の目標及び内容の例 文部科学省

加えて、小学4年生からは中学受験に向けて塾へ通う子も増えてくるので、クラス内で理解度の幅が広がってきます。「自分は勉強ができない」と感じると、自己肯定感や勉強に対する意欲が低下してしまいます。

【解決法】完璧を求めず、頑張っている姿を認めよう


勉強でつまずいている子に対しては、親が積極的に頑張っている姿を認める言葉をかけてあげるとよいかと思います。教科によって得意、不得意があるのは当たり前です。小4になってくるとテストで毎回100点をとるのは、かなり難しいことです。
間違えたところは放っておいて、テストでできたところや宿題を頑張っている姿を認めるよう、著者は意識しました。褒められたら嬉しくて「もう少し頑張ろうかな」という気持ちになるようです。
勉強する時間が増えれば、少しずつ成績も伴ってくるはずです。できていないところではなく、できているところを褒めて、子どもの意欲に繋げていきたいですね。

【小4の壁】③友人関係が複雑になってくる


3つ目の壁は、友人関係が複雑になってくることです。小4になってくると特別に仲のよい友だちができる時期ですが、同時に人間関係の在り方に悩む時期でもあります。

仲間ができることで生じる問題


小学4年生くらいになると、自分と気の合う仲間がハッキリするようになり、小さな集団の一員でいることに安心感を覚えるようになります。友だちと過ごすことで、社会性やコミュニケーション能力が育ちます。
一方で、グループ内に順序や役割が発生し、仲間独自のルールができてくることもあります。ルールに従わなければ排除されたり、過剰になるといじめたり、いじめられたりする可能性がでてきます。学校で仲間関係がうまく築けなくても、子どもが話してくれないと、親は気付くことができません。

【解決法】子どもが相談できる関係性を作ろう


子どもが本当に困った時や辛い時、親に打ち明けられる関係性を作っておくことが解決につながると著者は感じています。小学4年生は反抗期の始まりで、コミュニケーションが難しくなる時期ですが、反抗を成長と捉え、あたたかく見守るよう心がけていました。子どもから話しかけてきた時には、「チャンス!」とばかりにできるだけ耳と心を傾けました。反抗や無視を怖がらず、適度に話しかけることも心がけました。
日頃から、言葉と態度で「困った時はいつでも助けるからね」と伝え続けることが大切だと感じています。

小4の壁を感じた時に、親がやってはいけないこと


親と子
親自身も小学4年生の時代があったので、悩んだり葛藤したりした時期があったはずです。しかし大人になると共に、子どもの複雑な心の内を忘れてしまいがちですよね。改めて小学4年生の発達段階を捉えながら、親としてやってはいけないことを確認していきましょう。

【NG行動①】子ども扱いする


子どもを子ども扱いせず、1人の人間として対等に接しましょう。頭ごなしに叱ったり、命令や監視を続けたりすれば、子どもは親に心を閉ざしてしまいます。子どもの気持ちや行動を受け入れた上で、親として伝えたいことがあれば「私は〇〇だと思うよ」「〇〇してほしいなぁって思ってる」と自分の考えを述べます。子どもが親の意に沿えなくても仕方ありません。親には親の考えがあるように、子どもには子どもの意思があるので、ある程度諦めも肝心です。

【NG行動②】突き放す


「子ども扱いしない」というのは、突き放すことではありません。自分の意思で行動するようになっても、まだ生まれて10年足らずの子どもであることに変わりないのです。
反抗は甘えの裏返しです。信頼と甘えがなければ反抗はできません。「そんなに無視するなら、もう知らないよ」と突き放すのではなく、「親に反抗するなんて、立派に成長しているな」とこっそり喜びましょう。そして必要な時にはいつでも助けにいけるよう、心は寄り添い続けることが大切です。

【NG行動③】感情的に話す


この時期の子どもの言動には、親の方もイラッとさせられます。しかし感情的に返してはいけません。この時期に必要なのは、対話です。小学4年生くらいになると自分の意思で行動する機会が増える分、「困ったなぁ…どうしよう…」と悩む機会も多いものです。「親に話したら怒られるんだろうな」と思えば、相談してこないですよね。「困ったら、親に相談すれば守ってもらえる」と思える関係性を普段から築いておかなくてはいけません。
そのために必要なのが、対話から生まれる信頼関係です。言葉を交わす機会が少ないからこそ、その1回1回を大切にしましょう。

小4の壁は、親の「見守っているよ」という姿勢が大切


小学4年生くらいになると反抗期が始まり、そろそろ親の手から離れる頃かと思いがちです。しかし、まだ甘えたい気持ちをもった子どもであることに変わりありません。
親は子どもの心の様子を読みとりながら、サポートしていきたいですね。
放課後の過ごし方や学習の進み具合が心配なら、週1〜2回、リモートワークができる部署や会社に移ることも一案です。在宅が難しい場合は、他の人に預かってもらったり、通信機器を整備して留守番をさせたりすることになるでしょう。
共働きの場合は一緒に過ごせる時間が少ないからこそ、平日の帰宅後は子どもとゆっくり過ごしたいですよね。勉強を見たり、雑談をする時間が子どもの育ちを知る上で大切になってきます。
「家事に追われて子どもとの時間がなかなかとれない」という方は、夕食づくりを家事代行サービスに依頼するのも1つの手です。平日のちょっとした時間でも「あなたのことをいつも見守っている」という親の姿勢を示すことが、小4の壁を超える大きなヒントになります。

子どもに向き合う時間を確保するために、家事代行サービスを試してみよう


作り置き
キッズラインの家事サポーターは、ベビーシッターと兼業するなど子育て家庭の状況に詳しい人が多いのが特徴です。「家事に追われて子どもと向き合う時間がない」「平日は夕食づくりで子どもの宿題を見る時間がない」といった方は、無理せずに家事代行サービスを頼んでみてはいかがでしょうか。週末にまとめて行っていた掃除や洗濯、平日の夕食づくりを家事代行サポーターに頼むことで、子どもの話にしっかりと耳を傾ける時間を取ることができます。本格的な反抗期を迎える前に、「何でも話せる親子の関係」を築く時間を作っておきたいですね。

家事代行サービスを依頼してみる

■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


▼あわせて読みたい
「#学童落ちた」仕事はどうする?新学期前に保護者ができる対策とは?
「小1の壁」ってどういうこと?原因と対策を徹底解説! 【FP監修】
家事代行サービスとは?みんなはどんなことを頼んでいる?


▼記事一覧に戻る
KIDSLINE編集記事一覧
▼TOPページに戻る
KIDSLINE TOPページ


今すぐベビーシッターを頼む
今すぐ家事代行を頼む