赤ちゃんや小さな子どもはちょっとしたことで体調を崩しやすいもの。そのため、頻繁に小児科に通っているというご家庭も多いでしょう。しかし、小児科は一般的に混み合うことが多く、待ち時間も長いのが現状です。待ち時間が長いと子どももぐずり出してしまうことも少なくないでしょう。そこで、小児科の待ち時間が長い理由と、待ち時間の過ごし方について医師が詳しく解説します。


小児科での待ち時間はどうして長いの?

まずは小児科での待ち時間の現状について詳しくみていきましょう。



■なぜ病院は待ち時間が長い?


厚生労働省によると、全ての診療科で外来診療の待ち時間は15分以上30分未満が最も多く、30分未満で診療を終えることができるケースが半数を占めているとされています。待ち時間は来院患者数や一人あたりの治療に要する時間によって異なり、小児科でも場合によってはごく短い時間で済むこともあります。


しかし、様々な医療機関から公表されている各診療科の待ち時間のデータによると、中でも小児科の待ち時間が長い傾向にあります。特に、人気のクリニックや総合病院の小児科では、待ち時間が長いことが多く、一時間以上待ってようやく診察できるというケースも少なくありません。



平成 29 年受療行動調査(概数)の概況 - 厚生労働省

■小児科は一人にかかる時間が長い


上述したように、待ち時間は患者数や治療内容によって異なります。来院患者が少ない場合は早く診療を終えることができます。また、来院患者が多くても診療や治療の時間が短ければ待ち時間はそれほど長くなりません。小児科は一般的に診療に必要な時間が長くなりがちです。その理由は、赤ちゃんや小さな子どもは自分の症状を伝えることができないため、ご家族から話を聞かなければならないからです。


また、聴診や触診なども泣き出してしまうと、大人のようにスムーズに行うことができない場合があります。医師はスムーズに進まない中でも子どもをあやしながら診察を行いますが、大人よりも長い時間を要してしまいます。また、心配するご家族への説明や質問に答えることから、結果一人にかかる時間が長くなってしまうのです。


現在は少子化の影響もあり、小児科は近年20年ほどで7割ほどに減少しています。そのため、一つの医療機関に患者が集まることで、さらに待ち時間が長くなっているという背景もあります。

「待ち時間に子どもがぐずる」どう対処すれば良い?

小児科診察

ただでさえ具合が悪くて機嫌が悪いのに、長い待ち時間にかんしゃくを起こしてしまう子どもも珍しくありません。そこで、そんな時のおすすめの対処法をご紹介します。




■気分を紛らわすものを持参しよう!


小児科の待ち時間を快適に過ごすためには、普段から遊んでいる好きなおもちゃや絵本を持参するのがおすすめです。待合室では具合が悪い子どもが抱っこされながら寝ていることも多く、大きな音が鳴ったり光ったりするおもちゃなどは控えるべきですが、普段から遊んでいて集中できるようなものがあると気を紛らわすことができます。


普段はスマホのアプリは使用しないご家庭でも、子どもが夢中になれるのであればルールの範囲内で使用するのも1つです。静かに遊んでいてくれると、ご家族も気持ちに余裕を持って待ち時間を過ごすことができます



■「乾燥」には注意しよう!


広い小児科の待合室は季節によって空気が乾燥していることもしばしば。空気が乾燥すると小さな子どもは喉が渇き、機嫌が悪くなることもあるでしょう。また、のどや鼻の症状がある場合に、空気の乾燥によって症状がひどくなることもあります。乾燥には十分注意して、小まめな水分補給をするようにしましょう。


なお、冬場だからといって厚着をしていくと、暖房がしっかりきいた待合室の場合、体温調節が難しくなります。気温に合わせて脱ぎ着できるような服装を心がけることも大切です。



■泣きやまないときは外へ出てみるのもOK!


子どもをあやしても泣き止まずに機嫌が悪い状態が続くときは、一旦外に出て気分転換するのもおすすめです。さらには、車で通院した場合には感染症のリスクを減らすためにも、車内で待機するのも良いでしょう。ただし、順番が思いがけず早まることもあるので、外に出る際には、必ず受付に一言伝えておきましょう。



小児科の待合室でのマナーとは?

小児科は風邪をひいた子ども、アレルギーの治療で定期的に通院している子ども、予防接種を受けに来た子どもなど、様々なケースの患者さんがいます。待合室は「密」になりやすい場でもあり、そのため感染症が拡がりやすいと考えても良いでしょう。


そのため、高熱・咳・発疹など感染症が疑われる症状があるときは、事前に電話で相談することをおすすめします。また、感染症拡大に伴い、現在は感染症が疑われる場合には一般診療とは別のルートから入室したり、個室に通されたりするなど、各医療機関でも対策を行っているケースもありますので、それに従いましょう。さらには、咳エチケットなども忘れずに。マスク着用が可能な年齢であれば小さな子どもでも通院時にはマスクを着用するようにしましょう。



少しの工夫で待ち時間を快適に!


小児科の待ち時間が長い理由や、待ち時間の過ごし方について詳しく解説していきました。子どもが長い待ち時間を過ごす1番のポイントは「気を紛らわす」こと!人気のクリニックなどでは待ち時間が一時間を超えることもあります。コンディションが優れないことから機嫌が悪い子どもや、それを心配するママパパにとっては少しでも早く診察を受けたいと思うでしょう。


順番のチケットを取得し、待ち時間が長い場合は、外で待機する他、待合室ではお気に入りのおもちゃを持参したり、小まめな水分補給や体温調節のしやすい服装に心がけ、できるだけ子どもの過ごしやすい環境にしましょう。マスク着用など感染症対策も忘れずに!





■監修ライター:成田亜希子


2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。





▼あわせて読みたい
保育園の夜間保育、親と子どもの目線から見たデメリットとは?
子どもが登園拒否!「保育園に行きたくない」の理由と対処法
【連載】育児&夫婦の悩み、全力で受け止めます! バブリーたまみ&だいしパパの子育て応援団



▼記事一覧に戻る
KIDSLINE編集記事一覧



image