連載「お受験母さんレポート」第6回目。子どもの小学校受験体験をブログで発信している「お受験母さん」に、小学校受験での偏差値について教えていただきます。

「『小学校受験に偏差値なんてあるの?!』受験準備を始めたばかりの頃、思わず口にした言葉です。しかし準備を進めるうちに、偏差値は志望校選びの一つの目安に過ぎないと感じるようになりました。本記事では小学校受験の偏差値の意味と子どもに合った志望校の選び方に焦点を当ててお話しします」(fromお受験母さん)


小学校受験の偏差値とは?


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小学校受験における学校の偏差値は、中学・高校・大学受験とは異なる性質を持っていると考えるのがよいと思います。塾で定期的に行われる模試結果で偏差値が出ることがありますが、 あくまで子どもの現在の学力を示す一つの指標と捉えておきましょう。


小学校受験においては、偏差値で判断しにくい事が多いと感じました。理由は、試験形態にあります。ペーパー試験以外にも面接、お絵描き、製作、運動、行動観察、口頭試問など多様な試験が実施されます。これらの試験で測られるのは、偏差値ではわからない子どもの能力なのです。

そのため、 学校の偏差値を過度に重視せず、あくまでも参考程度に捉えることが大切だと思います。子どもの総合的な能力や性格、学校の教育方針との相性などを総合的に判断して志望校を選ぶのが無難ではないでしょうか。


小学校受験の難易度を判断する4つのポイント


先にお伝えしたように、小学校の難易度は偏差値だけでは測れません。では、何をもって判断すれば良いのでしょうか。小学校受験の難易度を判断する際には、以下の4つのポイントを考慮することが重要だと思います。

【難易度の判断ポイント1】ペーパー試験


基礎的な問題解決能力に加え、応用力や瞬発力が求められます。ペーパー試験の難易度は小学校によって様々です。そのため、 なかなか解けそうにない問題に直面した際には、次の設問へ進むために頭を切り替える力も必要ですよね。しかし、5~6歳の子どもにとっては、決して簡単なことではなく、慣れるまで相当なトレーニングを要します。

【難易度の判断ポイント2】点数化が不明な試験の存在


お絵描きや製作、運動、行動観察、口頭試問などは、どのように点数化されるかは不明確なことがほとんどです。 試験の評価基準や配点比率は、学校によって異なり、詳細が公開されていないのが実情です。私の体験から言いますと、長男の受験校では口頭試問が重視されていることを塾経由で知ることができましたが、長女の受験校の配点比率は全くわかりませんでした。

【難易度の判断ポイント3】面接の評価方法や配点


小学校受験において、面接は避けて通れません。また、小学校受験は「親の受験」とも言われるように、面接においては子どもだけでなく保護者の受け答えや言動も重視されます。面接を通じて、学校側は保護者の子どもへの接し方や家庭での教育方針などを知ろうとするわけです。実際、先生方は、私たち親のことをとてもよく見ています。面接の評価方法や配点は明確でないことが多く、難易度の判断をいっそう難しくしています。

【難易度の判断ポイント4】実質の倍率


倍率は、難易度を知る際のわかりやすい指標です。でも、倍率が低いから試験に受かりやすいと言い切ることはできません。たとえば、受験する子どものレベルが高いと、低倍率でも合格が難しくなります。逆に言えば、高倍率でも「記念受験者」がたくさんいる場合、受かりやすいこともあるのです。記念受験とは、「受かる見込みはないけど、とりあえず受験してみよう」と思って試験を受けることです。そのため、第一志望校として受験している受験者のみでの倍率を意味する「実質倍率」を考慮することが重要です。

志望校を選ぶ際の4つの基準


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小学校受験の志望校を選ぶ際には、以下の4つの基準を考慮することをおすすめします。

【志望校選びの基準1】国立か私立か


国立小学校は授業料がかからず、独自の教育を受けられる魅力があります。しかし、国立小学校には通学区域の制限があり、住んでいる場所によっては、そもそも受験ができないこともあります。一方で、私立小学校は独自の教育方針を持ち、質の高い教育を受けられるものの、年間で数十万円から100万円程度の学費が必要です。通学区域が設けられていないケースはありますが、子どもの安全や体力を考え、1時間程度の通学時間を良しとする私立小学校が多いイメージです。

【志望校選びの基準2】共学が別学か


家庭の教育方針に基づいて選択します。 共学か別学かの希望が特にない場合は、学校見学会などで実際の雰囲気を確認することをおすすめします。

【志望校選びの基準3】教育方針


国立小学校の運営主体は国であるため、どの小学校も教育方針には大きな違いはありません。対して私立小学校は独自の教育方針を持っており、学校によってカリキュラムはまちまちです。普段からのリサーチに加え、学校説明会や見学会に参加して、各校の教育方針の理解に努めましょう。その上で、ご家庭の希望に合う学校を選ぶのが賢明です。

【志望校選びの基準4】入試の特徴


ペーパー試験の難易度が高い、行動観察を重視している、口頭試問など、小学校によって入試形態が異なります。子どもの性格や得意分野に合わせて、適切な入試形態の学校を選ぶことが大切です。ただし、試験の形式は変更される可能性もあるので注意しておきましょう。

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志望校を決めるときに重視したこと


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実際に筆者自身が志望校を決める際に重視した4つのポイントをご紹介します。

【志望校決定の重視点1】「学校までの所要時間」


国立小学校ほど通学区域は厳しくないとはいえ、 多くの私立小学校が「通学時間1時間以内」を推奨しています。実際に、筆者の長男と長女の通学時間は約1時間です。加えて気をつけたいのが通いやすさです。同じ1時間でも、電車やバスの乗り換えが多いために距離の割に時間がかかる、学校の最寄り駅から学校までが離れていてトータルの移動時間がかかるなど、お住まいの場所や交通機関によって様々です。 ネットで調べるだけでなく、親が通学経路を利用して一度学校に行ってみて、通学に大きな負担がかからないかをチェックしましょう。そうすることで、通学に無理がないかどうか、判断しやすくなります。


【志望校決定の重視点2】「教育方針」


小学校は、子どもが心身ともに大きく成長する6年間を過ごす場所です。それだけにわが家の場合は、どのような教育方針を採用しているか、どのような環境で過ごせるのかをしっかりとチェックしました。また、小学校の教育方針が、子どもの性格や好みとマッチするかも重視しました。

【志望校決定の重視点3】「共働き家庭について」


PTAに参加する必要があるかや学校行事への参加頻度など、共働きとしては入学後に果たしてやっていけるかについて不安を感じやすいポイントです。しかし、 近年は時代の変化に合わせて共働き家庭に配慮する学校が増えてきています。長男が小学校へ入学後に私が感じたことは、「共働き家庭も少数ながらいる」ということです。学校で他の保護者と会話をすると、わが家のようにフルタイム共働きの人もいれば、少しだけ働いているママ、専業主婦のご家庭もあります。 長男の小学校で一つ言えることは、「今のところ、共働き家庭でも特に問題はない」ということです。

【志望校決定の重視点4】「中学校受験の有無」


附属中学への進学を前提とするか、別の中学校受験を視野に入れるかなど、将来の教育プランを考慮することが大切です。小学校入学後の進路について、ご家庭で方針を決めておきましょう。わが家の小学校受験の目的の一つは、一貫校に入ることで中学校受験がないことでした。もちろん、本人がいずれ受験をしたいと言えば、挑戦してもよいとは思っています。

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志望校を絞り込むときに気を付けたい点


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最後に、志望校を絞り込む際に重要な4つの点をまとめます。
基本的には、「志望校を決める基準と同じ」と考えていただければよいと思います。


●教育方針への賛同できるかどうか


何よりも重要なのが、学校の教育方針にご家庭が賛同できるかどうかです。わざわざ小学校受験をするわけですから、ご家庭が目指す教育方針に合う学校を選択したいもの。国立・私立に関わらず、気になる学校があれば説明会に積極的に参加してみましょう。

教育方針に賛同ができたら、次の3点を考慮して志望校を少しずつ絞っていきます。

●通学距離と所要時間


教育方針に賛同できる学校でも、自宅から学校まで距離があり、通学時間がかかると、子どもたちにとっても毎日の通学は負担です。通学時間は「1時間程度」を推奨している学校が多いので、目安にしてみましょう。

●共学か別学か


共学か別学かは、その学校の教育方針にも直接関係している場合が多いです。 中学校受験では別学は珍しくありませんが、小学校受験では別学であることを気にするご家庭が一定数はいらっしゃるイメージです。

どうしても共学がよいのか、もしくはどちらでもよいのか、ご家庭の方針を今一度確認してみましょう。

●小学校受験以降の教育プラン


小学校受験後の教育プランを考える際は、附属中学への進学や別の中学校の受験、さらには高校や大学までの長期的な視点が必要です。

ご家庭で十分に話し合い、子どもの個性と家庭の希望に合った学校選びをすることが大切です。ただし、子どもの人生なので、親が思い描くように計画が進まないこともあるでしょう。志望校を絞る際の目安として、小学校受験以降の受験についてもご家庭で話し合っておくとよいでしょう。

小学校受験に合格した学校が中学・高校もある場合は、小中高の12年間、大学附属であれば、小中高大の16年間通うことになります。小学校受験はそれだけ、子どもの将来に大きな影響を与える選択です。ご家庭で十分に話し合い、子どもの個性と家庭の希望に合った学校を選ぶことが大切です。偏差値や倍率だけにとらわれず、総合的な視点で志望校を決められるとよいと思います。

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小学校受験対応のベビーシッターも在籍


ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインでは、小学校受験をサポートするベビーシッターも在籍しています。幼児教室への送迎の他、小学校受験の指導経験があるシッターなら、お絵描きや工作などの学習サポート、面接の練習を依頼できることも。「共働きで実家も遠いから、小学校受験は難しい」という方は、キッズラインで小学校受験をサポートしてくれるベビーシッターを探してみてはいかがでしょうか。

また親が在宅の場合にサポート可能な「家庭教師」も活動しています。小学校受験のサポートができる家庭教師は、下記URLから検索してみてください。
家庭教師を探す▶ https://kidsline.me/tutor

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■監修ライター:「お受験母さん」
小学二年生の心優しきマイペース息子と、保育園年長の正義感あふれるおてんば娘の母。夫婦でフルタイムの共働き家庭。息子は小学校受験を経て、私立小学校へ入学。現在、娘の小学校受験に向けて奮闘中。
●ブログ「さくら咲く~お受験に合格いたしました~」
https://ojuken-goukaku-sakurasaku.com
●X(旧Twitter)「お受験母さん」@ojuken_kasan



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