子どもの教育資金、どのように貯めるのがよいか悩んでいませんか?この記事では、教育資金の目安額や効果的な貯め方をファイナンシャルプランナーがわかりやすく解説します。貯蓄のコツや助成制度の活用法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
教育資金としていくら貯める必要がある?
子どもの将来に必要な教育資金をどのくらい貯めるべきか、不安に感じている人は多いのではないでしょうか。幼稚園から大学までの教育費は、公立・私立や通学方法で大きく異なります。それぞれの学齢期ごとに、毎年の目安金額を見ていきましょう。
●保育園・幼稚園で必要な教育資金
保育園や幼稚園などの利用料は
3歳から5歳児クラスは令和元年より無償化されており、0〜2歳児クラスについては住民税非課税世帯が無償化の対象(※1)です。また、子どもが2人以上いる多子世帯の負担軽減策として、第2子の保育料は半額、第3子以降は無料となります。
さらに自治体によっては、追加の補助を受けられる場合もありますので、お住まいの地域の制度を確認しましょう。
この時期の利用料に関しては費用負担が大きくありませんが、園で使用する私物や習い事などの費用は別途発生してきます。また進学先として私立小学校を選択する場合は、入学までの受験対策費用もかさむため、早めの資金計画を立てましょう。
(※1)認可外保育施設の場合は、指導監督基準を満たす旨の証明書を取得している場合に限り幼保無償化の対象となるため、自治体のHP等で確認しましょう。
参考:
「幼児教育・保育の無償化」について|こども家庭庁
●小学校で必要な教育資金
文部科学省の調査によると、小学校時代に1年間で必要な教育費は以下のとおりとなっています。(学校外活動費含む)
・公立小学校 約35.3万円
・私立小学校 約166.7万円
出典:
令和3年度子供の学習費調査の結果について(文部科学省)
公立小学校は年間約35万円、私立では約167万円。公立は比較的費用が少ないですが、習い事や塾代の出費は家庭の方針によって大きく異なってくるため、この額より費用がかさむ場合もあります。進学先として私立中学を目指す家庭は通塾代も含め、計画的な貯蓄が必要です。
●中学校で必要な教育資金
文部科学省が出した中学校時代に1年間で必要な教育費は以下のとおりとなっています。(学校外活動費含む)
・公立中学校 約53.9万円
・私立中学校 約143.6万円
出典:
令和3年度子供の学習費調査の結果について(文部科学省)
中学校の教育費は、
公立で約54万円、私立で約144万円。ただし公立中学に通う場合でも、部活動や塾費用などでこの額よりも多くかかることがあります。私立中学では、海外研修といった特別プログラム参加などで、授業料以外の出費の可能性もあります。
●高等学校で必要な教育資金
文部科学省によると、高校時代に1年間で必要な教育費は以下のとおりです。(学校外活動費含む)
・公立高等学校(全日制) 約51.3万円
・私立高等学校(全日制) 約105.4万円
出典:
令和3年度子供の学習費調査の結果について(文部科学省)
高校の教育費は、
公立で約51万円、私立で約105万円です。高校無償化制度により、所得の範囲内であれば公立・私立とも授業料の負担が軽減されます。ただし、個人使用のパソコンや修学旅行代など無償化制度の適用外のものもあるため、出費に備えておくことが必要です。
●大学で必要な教育資金
大学進学にかかる1年間あたりの費用は、
国立で約82万円、私立で約148万円。学部や通学方法により大きく変動するため、この額は目安にすぎません。大きな資金を計画的に作る必要がありますが、難しい場合は奨学金制度の活用が有効です。
・国公立 約81.8万円
・公立大 約92.8万円
・私立大 約147.7万円(施設設備費等含む)
出典:
国公私立大学の授業料等の推移(文部科学省)
私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(文部科学省)
大学でも無償化制度が始まりましたが、現状では対象となる家庭は限られています。また、奨学金を利用することも可能ですが、後に返済の必要があることを念頭に置いておきましょう。奨学金も所得制限があるものや選考があるものなどがあり、全ての家庭が対象になるわけではありません。
教育資金の総額は、教育方針によって異なる
教育費としていくら用意すべきかは、家庭の教育方針によって異なります。たとえば、
小学校から大学まで全て公立に通った場合、学校外活動費を含めて約900万円かかります。高校まで公立で大学から私立に通うと、約1120万円です。さらに、小学校や中学校受験を考える場合、教育費の総額はさらに上がります。
塾や習い事をしたり、大学進学のタイミングで一人暮らしをすれば、住居費と生活費がプラスでかかります。利用する交通機関や居住地によって運賃と家賃に差があるので、こうした費用を考慮すると、教育費以上に準備が必要です。できるだけ早く計画的に貯めておくことが大切です。
教育資金はどのような貯め方が多い?
それでは子どもの教育資金は、どうやって貯めるのが一般的なのでしょうか?今回のアンケートでは、
1016名のママパパが選んだ貯め方として、「普通預金」「学資保険」「NISA」が特に多く挙がりました。ここでは、それぞれの特徴とメリット・デメリットを詳しく解説します。
【1】普通預金で貯めるメリット・デメリット
普通預金は最も多く利用されている教育資金の貯め方です。貯蓄方法が簡単で必要なときにすぐ引き出しやすいというメリットがあります。また、元本割れのリスクがないため、多くの家庭で安心して使われています。
ただし、いつでも引き出せると生活費に流用してしまう可能性が高いことや、インフレに対応できない点がデメリットです。教育資金を確実に貯めるのであれば、
自動積立などで先に貯蓄を確保し、残りの金額で生活費をやりくりする方法がおすすめです。
【2】学資保険を活用するメリット・デメリット
学資保険は、保険料を払い込むことで満期時に学費としてまとまった金額を受け取れる保険商品です。子どもの出生時から加入することで、大学入学時に必要な資金を計画的に準備できるのが大きな魅力です。保険なので、万が一親が亡くなった場合でも決まった額の教育資金を用意できる点は、大きな安心材料です。
ただし、
支払い額を途中で調整できないことや、契約時の利率で運用が固定されるためインフレに弱い点には注意が必要です。学資保険の利率や条件をしっかり確認した上で、家庭の資金計画に合った商品を選ぶことが大切です。
【3】NISAを利用するメリット・デメリット
NISAは、非課税で投資ができる点が大きなメリットです。ジュニアNISAやつみたてNISAを活用し、毎月一定額を積み立てて運用する家庭も増えています。特に、銀行預金や学資保険の低金利に不安を抱く家庭にとって、NISAは教育資金を効率よく増やす方法として人気です。
2024年時点ではジュニアNISAは新規受付が終了し、つみたてNISAも新NISAに移行しています。新NISAは年間の非課税投資枠が広がり、非課税期間も無期限となるなど、運用しやすい制度へと改善されました。ただし、
NISAは元本の保証はなく、制度の変更や廃止など制度が変更されるリスクがあるので、最新情報を確認しつつ適切に運用しましょう。教育資金の全額をNISAに依存するのではなく、一部を投資に回すなどバランスよく資産を分散させることが大切です。
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教育資金の貯め方に関しての悩みとは?
教育資金の貯め方に関する悩みは多く、アンケートでも多くのママパパから声が寄せられています。お悩みの一部をご紹介します。
〈教育資金の悩み1〉いつまでにいくら貯めればいいかわからない
教育資金を貯める際、「具体的にどのくらいの金額をいつまでに貯めればいいのかがわからない」という悩みは多くの家庭に共通しています。アンケートでは「いくら貯めても足りるか不安」「進学先で必要な金額が変わるため、目標が立てにくい」という声が多く寄せられました。
たとえば、
公立と私立では費用に大きな差があり、習い事や塾の費用も含めると、さらに金額が変わってきます。このような不確定要素が多いため、計画的に貯めるのが難しいと感じる方が多いようです。
〈教育資金の悩み2〉収入が少なく、教育資金を貯める余裕がない
「教育資金を貯められるほどの余裕がない」といった悩みを抱えるパパママも多いです。「現状の収入で精一杯」「生活費や習い事に回せるお金がない」という切実な声が挙がりました。最近の物価上昇や税金負担の増加により、家計が圧迫され、教育資金の貯蓄が難しくなっている家庭が多いのも現状です。
このような状況では、
少しでも収入を増やす工夫や家計の見直しが求められますが、それも簡単なことではなく、多くの家庭で悩みの種となっています。
〈教育資金の悩み3〉子どもが複数人いる場合、教育費に負担を感じている
子どもが複数いる家庭では、教育費の負担がさらに大きくなります。「双子なので同時に費用がかかる」「子どもが4人いて莫大な費用が必要」といった声があり、特に多子世帯では教育資金のやりくりが難しいと感じるケースが多いです。
国も多子世帯を支援するために、児童手当の増額や保育料の減免、給食費の助成などの制度を設けていますが、十分な支援には至っていません。奨学金制度や助成制度を最大限に利用しつつ、早めの資金計画が不可欠です。
教育資金の貯め方のコツをFPが解説
教育費の貯め方に悩むのは、どの家庭にも共通する問題です。どのようにすれば効果的に教育資金を貯めることができるかについて、ファイナンシャルプランナーが解説します。
「いつまでにいくら貯めればいいか?」の解決策
教育資金をいつまでにどれだけ貯めればよいか悩んでいる方には、ライフプランの作成がおすすめです。
ライフプランを作成することで、子どもの進学時期や進路に合わせた具体的な必要額を見積もり、逆算して資金計画を立てることが可能になります。
ライフプランはファイナンシャルプランナーに相談する方法だけでなく、エクセルなどで自作することもできます。また、金融広報中央委員会の「知るぽると」では、教育資金のシミュレーションツールを利用できるので、手軽に必要な積立金額を確認できます。不安を解消するために、早めに資金計画を立ててみましょう。
参考:
金融広報中央委員会「知るぽると」資金プランシミュレーション
「収入が少なく、教育資金を貯める余裕がない」の解決策
収入が少なく、教育資金を貯める余裕がないと感じる場合、
まず家計の見直しを行い、無駄な支出を削減しましょう。ただし、節約だけでは限界があるため、収入を増やすことも重要な対策です。副業や資格取得によるキャリアアップを検討することで、収入の向上を目指しましょう。
収入が増えた際には、その全額を生活費に使うのではなく、一部をNISAなどの投資に回してみるのも効果的です。資産運用を取り入れることで、効率的に教育資金を増やし、目標額に近づけることができます。
「子どもが複数人いる」場合の解決策
子どもが複数いる家庭では、教育費の負担が特に大きく感じられることが多いです。そのようなときには、
多子世帯向けの助成制度を最大限に活用しましょう。児童手当の増額や保育料の減免制度など、複数の支援策が用意されています。
たとえば、児童手当は2024年10月から第3子以降の支給額が増額され、所得制限も撤廃されました。これにより、3歳以上高校生年代までの手当が第3子以降は30,000円となります。また2025年度からは3人以上の多子世帯を対象に、大学無償化制度が拡充される予定です。こうした助成制度を積極的に活用し、教育費の負担を軽減しましょう。
参考:
児童手当制度のご案内|こども家庭庁
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教育資金計画を支えてくれる助成制度
子育て世帯の負担軽減のため、最近では育児支援の助成制度が充実してきています。ここでは、教育資金の準備をサポートしてくれる助成制度をいくつかご紹介します。
参考:
高等教育の修学支援新制度|文部科学省
このように、各学齢別にセーフティネットが設けられているため、親の収入が少ない場合でも、努力次第で大学まで進学することも不可能ではなくなっています。ただ、現状では所得制限があることが多く、所得制限以上の収入がある家庭にとっては、教育資金が重くのしかかっていることに変わりはありません。
そのため、
教育資金を貯めるためには、親の収入アップや維持が重要となってきます。
収入アップのためには、時間給をあげるか働く時間を増やすことのいずれか、または両方が必要となってきます。また、夫婦共働きで、ダブルインカムを維持することも大事な要素です。とはいえ、仕事をしながら子育てもするのは、簡単なことではありません。
ベビーシッターの助成制度を活用しよう
仕事と育児の両立が難しい場合には、
ベビーシッターの助成制度を活用することも一つの手です。これは
「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」と呼ばれ、こども家庭庁が仕事と育児の両立支援のために行っている制度です。
同制度の承認事業主となっている企業の従業員がベビーシッターを利用した場合、1回あたり対象児童1名につき4400円の割引を受けることができます。
夕方以降の子どもの世話が必要だったり、実家が遠方で手助けを求めることができない場合でも、この制度を利用すれば、大きな経済負担なく共働きを維持することができます。これら育児支援の助成制度を上手に利用して、収入アップを目指していきましょう。
参考:
【2024年度最新版】企業型ベビーシッター割引券とは?
【企業型ベビーシッター割引券】依頼前に知りたい!利用ルールとNG事例
教育資金確保には収入を減らさないことが大事
教育資金を確保するには、節約や支援制度の活用だけでは不十分なこともあります。
そのため、家計収入を増やしたり維持したりすることが、教育資金を貯める上で最も重要です。
しかし、子育てと仕事を両立するのは簡単ではありません。「保活」や「小1の壁」「小4の壁」など、育児と仕事の両立に立ちはだかる障壁が多く存在します。これらのハードルを超えられず、
一度でもキャリアを中断してしまうと再就職が難しく、結果として元の収入水準に戻すのが難しくなります。
収入を維持するためにも柔軟な働き方や育児サポートを最大限活用し、働き続けられる環境を整えることが大切です。収入を途絶えさせないことが、教育費を無理なく準備するためのカギとなります。制度をフル活用して、仕事を辞めずに働き続けられる環境を整えていきましょう。
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フルタイムで働き続けるために、ベビーシッターの活用を
ベビーシッター・家事代行サービスを運営する「キッズライン」なら、パソコンやお手元のスマホで
ベビーシッターを見つけることが可能です。
「キッズライン」は、保育士などの資格を保有するシッターが多く在籍しているのが特徴です。
急に仕事が入ったときや子どもが病気にかかったときに依頼でき、子どもに合わせた個別のケアを受けることが可能です。仕事と育児の両立を図ることで夫婦が共に仕事を継続でき、教育資金の積み立てがしやすくなります。
初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要です。まずはよさそうだなと思った人に連絡を取ってみて、お互いの相性を確かめてみましょう。
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■監修:ファイナンシャルプランナー 坂口 恭子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。webライターとしてマネー記事や子育てに関する記事を執筆するかたわら、ブログやSNSを通じて難しいお金の話をできるだけわかりやすく発信しています。
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