ベビーシッターにかかる費用の一部を国が助成してくれる「企業型ベビーシッター割引券」。共働き子育て家庭にとってはとても助かる制度ですが、利用にはルールがあります。そこで依頼する前に知っておきたい利用ルールとNG事例を紹介します!

「企業型ベビーシッター割引券」は、税金で賄われている


税金
企業型ベビーシッター割引券は、親が仕事をしていて子どもの面倒を見られない時のベビーシッター費用を国が助成してくれる制度です。子ども・子育て支援法に規定された事業として、税金(子ども・子育て拠出金)が使われています。

【事業の目的】(内閣府|ベビーシッター派遣事業実施要綱より)

ベビーシッター派遣事業は、子ども・子育て支援法(平成 24 年法律第 65号)第 59 条の2第1項に規定する仕事・子育て両立支援事業として、多様な働き方をしている労働者がベビーシッター派遣サービスを利用した場合に、その利用料金の一部又は全部を助成することにより、仕事と子育てとの両立に資する子ども・子育て支援の提供体制の充実を図ることを目的とする。


※令和5年度より企業主導型ベビーシッター利用者支援事業は、内閣府よりこども家庭庁に移管されました。

税金を使って行われている国の制度であるため、割引を受けるには一定のルールが定められています。利用の際にはルールをきちんと守ることが求められていることを、事前に認識しておきましょう。

<参考資料>
企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における「ベビーシッター派遣事業」の令和4年度の取扱いについて|内閣府
企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の実施について(実施要綱)|内閣府子ども・子育て本部

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知っておきたい!「企業型ベビーシッター割引券」基本ルール


それでは、具体的にはどのようなルールがあるのでしょうか?基本的なルールを、1つずつ紹介していきます。

【基本ルール1】親が仕事で育児ができない場合に限って使える


「企業型ベビーシッター割引券」は、父親母親いずれの保護者も仕事で子どもの面倒が見られないときに利用できます(シングルの場合は保護者1人)。
そのため親が休日(産休・育休も含む)の場合には、使えません。


【基本ルール2】「自宅での保育」及び「保育施設への送迎」のみが対象


「企業型ベビーシッター割引券」を利用する際は、仕事を理由に育児ができないことが前提のため、シッティング内容が限定されています。
対象になるのは「自宅での保育」と「保育施設への送迎」のみです。
習い事への送迎や、自宅外での保育は対象外となりますのでご注意ください。


【基本ルール3】親が厚生年金を納付する企業の従業員で、小学3年生までの子が対象


「企業型ベビーシッター割引券」の対象者は、企業の従業員(経営者・役員も含む)です。勤務先から支給されたコードを使って、割引を受ける仕組みです。
また利用できる子どもの年齢は、小学3年生までです(障害などにより介護・お世話が必要な場合は小学6年生まで可)。
※勤務先担当者へ利用可能かどうか確認してください。


【基本ルール4】利用は子ども1人につき1日2枚まで。1家庭で月24枚まで


「企業型ベビーシッター割引券」は、1枚2200円分の割引券です。子ども1人につき1日2枚まで、金額にすると4400円まで利用できます。
また、1家庭で利用できるのは月24枚(52800円分)、年280枚までです。
※サポーターの交通費は割引券の対象外です。申請時には使える割引券の枚数をご確認ください。


なお、キッズラインで「企業型ベビーシッター割引券」を利用できるのは、「割引券の補助対象」のベビーシッターのみになります。割引券を使いたいと思っている場合は、「割引券の補助対象」のシッターの中から、選ぶようにしましょう。

この他にも細かいルールがあるので、詳しく知りたい方は以下をご確認ください。
企業型ベビーシッター割引券のご利用条件

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使えるのはこんな時!特に多い活用シーン5


ベビーシッター
利用に一定の条件がある「企業型ベビーシッター割引券」ですが、具体的にはどのような活用が多いのでしょうか?5つのシーンを紹介します。

①保育園と自宅の間の送迎
残業などで保育園のお迎えに間に合わない時、ベビーシッターにお迎えに行ってもらい、親が帰宅するまで自宅で保育を行うのが、最も多い利用パターンです。毎週決まった曜日に依頼しておけば、その日は残業を引き受けられるなど、フレキシブルな働き方ができます。

②休日出勤
保育園は日曜祝日が休園の場合が多いですが、保育園の休園日に仕事があることもあります。そんなとき「企業型ベビーシッター割引券」を使ってベビーシッターを依頼すれば、費用負担が少なくて済みます。
※休日出勤の利用については念のためご勤務先に確認ください。

③病児保育・病後児保育
親が仕事に行かなければならないときに病児保育・病後児保育が可能なシッターに依頼する際も、「企業型ベビーシッター割引券」を利用できます。

④リモートワーク
リモートワークでも子どもがそばにいると、オンライン会議ができなかったり、業務に支障が出てしまいます。割引券の補助対象のベビーシッターに依頼して、別の部屋で保育をしてもらえば、安心して仕事ができます。

⑤休校・休園時
感染症の流行などで突然休園や休校になった場合、親が仕事を休めないときも「企業型ベビーシッター割引券」は使えます。

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間違った使い方をするとどうなる?


先述したように、「企業型ベビーシッター割引券」は税金で賄われているため、間違った使い方をすると、割引券は使えません。
該当する保育が「企業型ベビーシッター割引券」の対象外である場合には、サポート利用後の申請時に入力した割引券コードが返却されます。
割引券が返却になるとその分のキャッシュバックが受けられなくなるため、実質的に自費でのご利用となります。
この他にも、以下のようなデメリットがあるので、確認しておきましょう。

■不正利用を勤務先に知られる可能性も


「企業型ベビーシッター割引券」は、最終的に勤め先の承認を得て、国の助成を受けられる仕組みです。勤務先は利用時間が勤務時間だったかどうかを確認しているので、時間外の使用をすると勤務先から指摘を受けてしまう可能性もあります。

■依頼したシッターが「割引券の補助対象」から外れることも


ルールに従った利用でないにもかかわらず、依頼したシッターへルールに沿った利用だったように装うように頼むなど、万が一不正行為を行うと、ユーザー様だけでなくシッター側も「ルール違反」になってしまいます。違反が判明すると、そのシッターは「割引券の補助対象」から外れることになり、シッターの仕事範囲や収入面に大きな影響を与えてしまう可能性もあります。

■返却対象になる場合は、手数料が発生


「企業型ベビーシッター割引券」の返却が生じた際には、手数料としてひと月あたり200円が発生します。割引が受けられない上に手数料もかかってしまうと、家計には負担になってしまいます。

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こんな使い方はNG!返却対象になるパターンとは?


OKNG
基本ルールに当てはまらない利用をすると、さまざまなデメリットがあることが分かりました。では、具体的にどのような使い方がNGなのでしょうか?返却理由として多くみかける事例を紹介します。

【NG例1】利用料金が割引券よりも少なかった


「企業型ベビーシッター割引券」は、1枚2200円。1回の利用で2枚まで使えます。
キッズラインでは「基本料金+保育に関連するオプション料金+手数料」が補助対象金額となり、シッターの交通費は対象外です。
補助対象金額が4,000円の場合は、利用できる券は1枚になり、残りの1,800円は自己負担となります。このような事例で間違って2枚で申請してしまい、1枚が返却対象になってしまうのが最も多いパターンです。


【NG例2】サポート中に催し物に連れて行ってもらった


「企業型ベビーシッター割引券」は、「自宅での保育」及び「保育施設への送迎」が前提のため、サポート中に子どもを催し物などを見に外へ連れて行ってもらうと、割引対象外になります。
例えば、「家の近くでイベントがあるので、保育中に見せに行ってください」「テーマパークに連れて行ってください」という依頼の場合は、割引券が使えません。


【NG例3】サポート中のほとんどを外遊びに費やした


保育サポート中、子どもの気分転換のために近所の公園へ外遊びや散歩で立ち寄る程度は問題ありませんが、それ自体が目的となる長時間の外出は対象外になります。
例えば「長い滑り台がある公園に午前中からお弁当を持って行って、丸一日ピクニックをしてきてください」「引き渡し後すぐに外遊びに連れ出して、親が帰る時間まで外で遊ばせてください」といった依頼で割引券を利用すると、返却対象になります。


【NG例4】習い事の送迎を頼んだ


子どもの年齢が上がってくると、保育園の後に習い事をさせたいと思うかもしれません。ただ「企業型ベビーシッター割引券」は「保育施設への送迎」のみOKなので、習い事の送迎を含めると対象外になります。
例えば「保育園からピアノ教室に連れて行って、終わったら自宅に連れて帰ってください」といった依頼がNGです。


【NG例5】小学校から民間学童までの送迎を頼んだ


「企業型ベビーシッター割引券」は、保育施設間の送迎を対象外としています。
「小学校が終わる時間帯に校門まで迎えに行き、子どもを民間学童まで送り届けてほしい」といった依頼では、割引券は使えません。


【NG例6】サポートの間に家事をしてもらった


保育中の家事は子どもの安全が疎かになるため、「企業型ベビーシッター割引券(旧内閣府割引券)」の利用の有無に関わらず、キッズラインではNGです。その際「企業型ベビーシッター割引券」を使っていた場合は、返却対象になります。
例えばシッターさんが家にいるからといって、保育中に「朝食で使ったお皿を洗っておいてほしい」「暗くなる前に洗濯物を入れてほしい」「子どもの睡眠中に洗濯物を畳んでほしい」などと頼むのはNGです。
子どもが食事をした後の食器を流し台に下げておくだけであれば、保育の範囲内として認められます。
※家事も依頼したい場合は、ベビーシッターと家事代行の両方を行っているサポーターを選び、保育時間の前後などに別途家事サポートの予約を入れましょう。


【NG例7】出張先のホテルや祖父母宅など自宅外で保育を頼んだ


出張は仕事の一環ではありますが、割引券の利用は「自宅での保育」が原則となります。自宅外での依頼は、全て割引対象外となるので注意しましょう。
例えば「出張先に子どもを連れて行って、仕事の間だけホテルの部屋でベビーシッターに面倒を見てもらった」「夫の単身赴任先の家で自分がリモートワークをするために依頼した」「祖父母宅に滞在しているときに来てもらった」という場合などがNGです。


【NG例8】仕事からの帰り道、駅で子どもを引き渡してもらった


「企業型ベビーシッター割引券」は「自宅での保育」が原則なので、親への引き渡しが自宅である必要があります。
例えば「19時に駅に着くので、子どもを改札まで連れてきて引き渡してほしい」「帰宅途中に買い物をするので、スーパーで待ち合わせしたい」という場合は、対象外となります。


【NG例9】保育ではなくレッスンのみが目的だった


保育ではなく、ピアノや英会話などのレッスンを目的にしたサポートは、割引券の対象外です。
例えば、親が近くにいてシッターには保育責任が発生しない状況で、ピアノのレッスンだけを行ってもらったという場合などが該当します。


この他にも、産後ドゥーラを依頼した場合は、母体の回復がメインとなるため、割引券の対象外です。また、事前面談の予約も対象外なので、注意しましょう。

利用前に基本ルールを頭に入れておけば、「割引のキャッシュバックがもらえると思っていたのに、自費になって出費がかさんだ」という想定外の事態を防ぐことができます。子育て中の共働き家庭を支えてくれる制度を、適切に活用しましょう!

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育児支援制度を活用して仕事と育児の両立を


ベビーシッターに預ける
「企業型ベビーシッター割引券」は、仕事と育児を両立したい親を支援してくれる心強い制度です。
NG例を見ると「利用条件が厳しそう」と感じるかもしれませんが、「自宅での保育」と「保育施設への送迎」など利用ルールを守っていれば大丈夫です。保育の家計負担を軽減するすばらしい制度なので、積極的に活用していきましょう。
時短勤務をしている人の場合は、「企業型ベビーシッター割引券」を活用して保育園のお迎えをベビーシッターに頼めば、フルタイムに復帰することも可能です。子どものために長期間にわたって仕事をセーブすることにはメリットもある反面、デメリットも伴います。「企業型ベビーシッター割引券」の利用を念頭において、仕事と育児のバランスを考えてみてはいかがでしょうか?

▼「企業型ベビーシッター割引券」についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
企業型ベビーシッター割引券のご利用条件
企業型ベビーシッター割引券 完全解説マニュアル

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