現在育休中のママパパや、これから産休に入る妊娠後期のママにとって、気になるのが育休明けの収入です。育休明けの収入は、収入そのものだけでなく、社会保険料の計算方法が絡んでくるため、少しわかりにくいのが実情です。そこで、育休後の社会保険料について、FPが詳しく解説します。



育休期間の社会保険料について


お金
会社員のママパパの場合、社会保険料は通常給料から天引きされています。それでは、育休期間中の社会保険料はどうなっているのでしょうか?
まずは、社会保険料の前提や育休中のルールについて、順番にお話しします。

社会保険とは?


ひとくくりに「社会保険」と言いますが、これは各種保険の総称になります。社会保険とは、具体的には「健康保険」、「介護保険(40歳以上)」、「年金保険」、「雇用保険」、「労災保険」のことです。
基本的には国や地方自治体によって、加入が義務付けられています。会社員の場合は、社会保険に関する手続きをほとんど会社が行ってくれているため、通常時はあまり気にすることがないかもしれません。

 

社会保険はどうやって決まるの?


社会保険料は、各人の給与金額を、一定の報酬の幅の「標準報酬月額」に当てはめ、これに各保険料率をかけて算出します。
報酬月額に応じて健康保険は1等級から50等級、厚生年金保険は1等級から32等級の区分に分かれています。
原則として4月・5月・6月に支払われた給料の平均額をもとに計算していきます。
育休で基本給などの固定的な賃金が大幅に変動したような場合には、変動した月から3カ月間の給料の平均額を計算し、4カ月目から標準報酬月額を変更する「随時改定」という制度があります。

育休期間中は社会保険料が免除されている


育休期間中の健康保険と厚生年金は、保険料納付免除の制度を利用することができます。
とはいえ、社会保険料を支払わない場合、将来受け取ることができる年金額が減ってしまうのではないか、健康保険はきちんと給付してもらえるのかなど、将来への影響が気になりますよね。
しかし、その点では心配はいりません。免除期間も納付期間としてカウントされる(免除された期間も保険料を納めたのと同じ取り扱いとなる)ため、未納期間にはならないためです。将来受給できる年金額が減ることはないので安心してください。
雇用保険料は給与にかかる保険料なので、育休期間中に給与が支払われていないのであれば、無給となり、こちらも納付は不要です。

育休期間中の社会保険料、免除を受けるには申請が必要


育休期間中の社会保険料は申請によって免除されます。よって申請がない場合には、育休期間中でも、社会保険料を支払うことになってしまうので注意が必要です。ただし免除の手続きは会社を通して行うため、会社員本人がすることは、会社に育休を申請することのみです。
この育休期間中の社会保険料免除の申請は通常、産前産後休業前に行いますが、産前産後休業中や産休中であっても手続きは可能です。
免除申請をして免除された場合には、社員負担分だけでなく会社負担分も免除されるため、双方にメリットがある制度となっています。

参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業を取得・延長したときの手続き|日本年金機構

育休明け、社会保険料はいつから引かれる?


育休中、申請をして免除されていた社会保険料ですが、育休明けにはいつから天引きが再開されるのでしょうか。具体的にみていきましょう。

社会保険料は初回の給与から引かれる


社会保険料が免除されるのは「育休の終了予定日の翌日が属する月の前月まで」です。つまり、社会保険料は育休復帰後の初回の給与から引かれます。ちなみに社会保険料は日割り計算がないので月ごとの計算になります。

初回の社会保険料ってどのくらいの金額?


育休明けで職場復帰する際、時短勤務を選択するママパパも多いと思います。産休育休前にフルタイムで働いていたとしたら、社会保険料は産休育休前の給料を基に計算されます。
そのために、給料は時短勤務で減ったのに、社会保険料は産休育休前のフルタイムの金額と同じ額が引かれてしまいます。時短勤務で復帰すると手取り金額がグッと減ってしまうのは、このような計算がされているためです。

育休明けの社会保険料は、4ヶ月目で再計算してくれる!


家計
育休が明けて時短勤務で復帰したママパパの中には、育休後初めての給料明細を見て、「思っていた額より手取りが少ない」と慌ててしまう方も多いようです。
そうならないように社会保険料の基本的なことを理解しておきましょう。

育休明けの社会保険料の負担を、軽くしてくれる制度がある


時短勤務になると出産前より給料が少なくなることが多いでしょう。
給料が減っても、社会保険料は産休前の標準報酬月額をもとに計算されるため、給料に占める社会保険料の割合が高くなります。
育休明けの保険料負担が大きいと、家計に影響を及ぼすため、育休や時短勤務を選択しづらくなってしまいます。
それを防ぐため、「育休等終了時改定」という制度があります。これは、育休明けの保険料負担を少しでも軽減するため、「標準報酬月額」改定の適用を受けやすくした制度です。
具体的には、育休復帰以後3ヶ月間の平均給料をもとに、4ヶ月目から社会保険料を改定するというものです。

参考:育児休業等終了時報酬月額変更届の提出|日本年金機構

4ヶ月目以降の手取りはどうなる?


この制度が適用されれば、育休復帰後に3ヶ月だけ高い社会保険料を支払えば、4ヶ月目からは適正な社会保険料に改定されます。育休前の給与と比較して時短などで育休後の給与が減額されている人は、4ヶ月を過ぎると手取りの額が少しだけ増えるということになります。

育休明けに社会保険料の支払い額が減っても、年金は減らない!


「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すると、社会保険料を減らせることがわかりました。しかし厚生年金保険料の支払額が減ると、もしかしたら将来もらう年金額も減ってしまうのでは?と不安になりますよね。
しかし、その心配もいりません。ここでは、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という優遇制度についてご紹介します。

「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」とは?


「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」とは、「養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出すると、子どもが3歳になるまでに社会保険料の支払いが減っても、将来の年金額が変わらないという制度です。
こちらの制度が適用されると、産休育休を取得した人も、ずっと働いていた場合と同じ年金の額を受け取ることができます。

育児休業終了時改定と「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」は併用できる


育児休業終了時改定と「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」の制度は、併用することができます。そうすることで時短勤務の給料に応じた社会保険料の支払額になり、将来受け取れる年金は、産休育休前の給料に応じた額のままになります。

育休明けの社会保険料は各種申請が必要!また産休に入るなら注意点も


妊婦
育休明けの社会保険料負担を軽くする制度は各種申請が必要です。申請に必要な書類は、所属する会社の総務へ問い合わせてみて下さい。
総務からもらえない場合は、年金事務所に行って入手するか日本年金機構のHPからダウンロードしましょう。
必要書類に記載の後、事業所から国へ申請してもらってください。

参考:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

育休後すぐに産休に入る際は制度の利用を検討


育休から復帰後、すぐにまた産休に入る予定のママは「育児休業等終了時改定」制度を利用するかどうか、検討する必要があります。
なぜなら出産時に支給される出産手当金は、標準報酬月額を基に算出されるので、標準報酬月額が高いほど支給される金額も増えるからです。
そのために、育休復帰後すぐに再び産休に入るママは制度を利用すると損になってしまうケースがあります。
再び妊娠出産する可能性がある場合は、育児休業等終了時改定を利用するかどうか、よく検討して決めましょう。

育休明けは子育てを支えてもらう体制も整えて


育休明けは金銭面も気になりますが、年金など長期的に見るとそれほど心配はいりません。むしろ重要なのは、育休明けの育児を支えてもらえる人手を考えておくことです。
育児と仕事の両立に悩まないよう、育休中に育児を支えてもらえる人を探しておきましょう。
育児を支えてくれる人は、祖父母など親族に限りません。
同じ保育園に通い始めたママパパと連絡を取れる間柄になって、お迎えが間に合わない際には支え合う体制を取るのも一つの手です。
また、地域のファミリーサポートに登録して、近所で子どもを預かってくれる人を探しておくことも大切です。
ただし、それはいずれも相手の都合が良いときにしか頼むことが出来ません。
仕事や子どもの体調不良などは、いつ起こるかわからないものです。
そんな時にはすぐに依頼できるベビーシッターを探しておくのがオススメです。


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初めてお子様を預ける前には、必ず顔合わせ(オンライン)か事前面談(対面)を行うルールとなっているため、まずは育休中に、シッターとお子様の相性を確かめるために一度お試しで依頼してみると安心です。
育休明けに仕事と育児をうまく両立させていくために、民間のサービスを含めた様々な対策を取っておきましょう。


■監修:ファイナンシャルプランナー 小松香名美
和歌山大学 経済学部卒。旅行会社勤務の後、出産のため退職。2018年に保育士資格を取得し、保育園勤務を経験。2021年にファイナンシャル・プランニング技能検定2級を取得。ファイナンシャルプランナーとして独立し、マネー記事の監修などを行っている。



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