育休中のママパパの中にはこれまでの仕事内容では育休復帰後乗り切れないのではと、転職を考えている方もいるでしょう。家庭のさまざまな事情により、育休中に転職を考えるママパパは少なくありません。育休明けに転職する場合、気を付けておいたほうがよいことはあるのでしょうか。注意点をみていきましょう。
育休明けの転職、問題ない?育児休業給付金はどうなる?

育休前に勤めていた職場に復帰しないで転職をした場合は、既に支給されている育児休業給付金は返さなければならないのか、気になるところですね。
結論から伝えると「基本的には返さなくてよい」です。育休前は復帰を考えていたものの、いざ育児をしてみると思っていたよりも負担が大きく、復職後に仕事と子育て両立することは難しいと考え直し、転職を選択するといったパターンでしたら問題ありません。
育児休業給付金とは
雇用保険に加入しているママパパが、育児休業中に雇用保険から支給される給付金のことをいいます。現職への復職を前提とし、雇用保険に加入している労働者が、育児休業中も一定額の給付を受けられるように国が給付する制度です。
以下が主な支給要件になります。
〇雇用保険に加入している
〇子どもが1歳未満(保育園に入れない等の条件により延長は可能)
〇育休の開始日までの2年間に、月11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
〇育休中に、育休前の賃金の8割以上が支払われていない
〇育休終了後に職場復帰する予定がある
育児休業給付金は基本的には返還の必要ナシ
育休当初は復職を考えていたものの、いざ自身で育児をしてみると想像していた以上に負担が大きくなることは珍しくありません。子育てをしながら前の職場に復職することは難しいと、転職を考えることもあると思われます。育休に入る時点で、初めから転職、退職する予定があったわけではないので、育休後に職場復帰せず転職するような場合であっても、既に受給した育児休業給付金について、返還の必要はありません。
育休明けに転職しても法的に問題はない
育休明けに転職しても法的には何も問題はありません。
転職はあくまでも労働者の権利だからです。今よりも仕事と育児の両立がしやすい職場を探したり、また見つかったら思い切って転職するのも現状を改善する方法の一つです。しかし、初めから復職するつもりがなく育児休業給付金を受給した場合は返金しなければなりませんので注意してください。
万が一、
育休の開始時に退職が決まっているにも関わらず、そのことを隠して育児休業給付金を受給したり受給しようとした場合には、不正受給の処分を受ける可能性があるので絶対にやめましょう。(雇用保険法第61条の5第1項)
育休明けの転職には注意点がある!

育休明けの転職は法的には問題ないものの、お金や待遇面で注意しなければいけないことがあります。やむを得ない事情がないのであれば、一度復帰をしてしばらくしてから転職活動を始めるほうがよい場合もあります。ママパパの置かれている状況から慎重に判断してください。育休明けからすぐに新しい会社で働くために転職活動をする場合の注意点を説明していきます。
【注意点1】時短勤務制度や有給休暇を利用できないかも?!
子どもを育てながら働く人にとっては生命線ともいえる時短勤務制度と有給休暇。転職後すぐには利用できない場合があることを知っていますか?時短勤務とはそもそもどのような制度なのか、有給休暇はなぜ利用できないかもしれないのかを解説していきます。
時短勤務制度
時短勤務とは、正式名称を短時間勤務制度と言って、子育て世代の従業員の労働時間を短縮するための制度です。仕事と育児の両立のために、子どもが3歳になるまで勤務時間を1日6時間に短縮できるよう義務付けられています。
ただ、時短勤務については、入社後1年未満の者を対象から外している企業が多いので、転職してすぐは時短勤務ができない可能性が高いです。転職後すぐに時短勤務制度を利用したい場合は採用面接のときに必ず確認しておきましょう。
有給休暇
有給休暇とは、労働者の休暇のうち雇用主から給与が支払われる休暇日のことを言います。有給休暇が付与される条件は雇入れの日から起算して、
●6ヶ月間継続勤務していること
●その6ヶ月間の労働期間中、8割以上出勤していること
になりますので、転職してすぐは条件を満たしていないため使えません。多くの企業が勤続6ヶ月以上で有給休暇を付与しています。子どもが小さなうちはたびたび急に熱を出しますので、休暇の取りやすさは重要なポイントです。転職先の候補があれば、あらかじめその企業の規定を確認しておくとよいでしょう。
【注意点2】慣れない職場で育児との両立がしづらい?!
育休明けで転職すると今までとは異なった環境、新しい人間関係になります。子どもが生まれる前の自分の仕事ぶりなどをまったく知らない環境に身を置いて、仕事を始めるリスクも検討しましょう。組織や仕事に馴染むのには時間がかかるものです。「こんなはずでは」と悩むことにもなるため、自分のスキルを十分に発揮できる職場かどうかを考えて、慎重に動きましょう。
初めての環境に慣れるストレスを考慮して
育休明けの復職が転職先への入社となると、初めての人間関係、環境で戸惑いが多いかもしれません。以前の職場に戻るのであれば、顔なじみの同僚や上司がいて意思疎通もスムーズですが、新しい職場ではそうはいきません。初めての環境に慣れることが大きなストレスになってしまうかもしれません。
特に
産後のママは、ホルモンバランスが崩れやすくなっています。不安定になったりイライラしたり、体調不良を引き起こすこともあります。
その上、保育園の呼び出しなどで本領を発揮できないと、「こんなことになるなら転職しなければよかった」と後悔することにもなりかねません。転職をする際は自分のスキルを十分に発揮できる職場かどうかをじっくり考えてから行動しましょう。勢いやその時の感情に任せて転職することは避けましょう。
【注意点3】保育園の内定に影響が出る恐れがある?!
育休中に転職する際、保育園の入園が決まった後に転職した場合の保育園の内定はどうなるのでしょうか?自治体のなかには育休中に転職が決まって転職先の就労予定証明書を出した場合は「就労内定」で選考するので、育休中に在籍し続ける「勤務中」より優先順位を下げるところもあります。注意する点について解説していきます。
自治体に確認しよう
子どもを認可園に入れる際は自治体へ保育園入所の申し込みをします。認可園の申し込みには勤めている会社の就労証明書が必要です。自治体によっては、雇用されている状態であることが保育園の内定基準になっている場合があるので、
転職活動をする前に保育園の入所基準を確認しておきましょう。ママパパが住んでいる自治体がどんな基準になっているかを確認しておかないと、転職が決まっても内定が取り消され保育園に入園できないという事態になりかねません。
育休明けに転職するなら必ずやっておきたいこと

とはいえ、育休明けにより働きやすい環境を求めて転職することは可能です。
ただし転職活動をする際は、幼い子どもを抱えての転職は予想外のことが起こるということを頭に入れておいた方がよいでしょう。育休明けの転職について、「これだけはやっておいたほうがいい」というリストを挙げますので、自身の状況を踏まえて慎重に判断してくださいね。
【やること①】育休明けに転職が必要か家族と話し合う
育休明けの育児は家族の協力が必要不可欠です。育休明けに職場を変えたいと思う理由を書き出してみた上で、家族の協力で対応できないかを相談してみましょう。
子どもの体調不良のときの対応は事前によく話し合う必要があります。家事や保育園の送り迎えの分担など、タスクを細かく書き出してみましょう。今の職場だとどんなことが厳しいか、転職すると解決できるのかなど、客観的になって考えてみてください。
【やること②】保育園の入園規則を確認する
住んでいる自治体に
保育園の入園規則の確認をしておきましょう。転職活動をする前にしておくのがベストです。転職活動の面接の際に「保育園が決まっていないのでいつから働けるかわからない」となると、採用側も困ってしまいます。
【やること③】転職活動中の預け先を探しておく
育休中は基本的に子どもを保育園に預けることはできません。転職する方向性で考えているなら、応募した企業への面接へ行く際などの
転職活動中に、子どもを預ける方法を確保する必要があります。保育園の一時保育やファミリーサポートは、空きがないと預けられないため、急な面接に対応できないこともあります。その場合は、
ベビーシッターへの依頼がおすすめです。転職活動をする前に、ベビーシッターサービスを調べて早めに登録しておきましょう。
転職が決まったら、職場への伝え方にも注意を
あなたが育休明けに職場に戻ってくると考えていた会社の同僚にとっては、転職は残念な話です。なぜなら育休は復職を前提とした制度だからです。
転職する場合は
気持ちよく送り出してもらえることを期待せず、自身の育休中にフォローしてくれていた同僚や上司など相手の気持ちになって伝えましょう。
会社は職場復帰することを前提としているため、伝える時期が遅くなればなるほど、仕事のスケジュール調整や人員確保に影響が出てしまいます。転職の意思は、少なくとも復職の1ヶ月前までには必ず連絡をしてください。「家庭の事情」などやむを得ない理由を伝えると引き止められにくく、比較的スムーズに退職できるかもしれません。
育休明けの転職は可能。踏み切るなら準備を万全に

育休明けの転職は可能です。転職をしたいと思ったら、後悔しないように、転職後の自身の姿をシミュレーションしてみましょう。またさまざまな角度から考えて自身にとって必要な転職なのかどうかを家族で話し合い、客観的に判断してください。転職に踏み切ることが決まったらママのこと、パパのこと、子どものこと、家族全員の準備を万端にし、転職をして本当に良かった!といえる転職をしましょう。
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転職するしないに関わらず育休から復帰すれば、仕事と育児を両立する忙しい毎日がやってきます。子どもの送迎や食事のつくり置きなど、サポートしてくれる人を探しておくと安心です。もちろん、転職活動をする際に急な面接のスケジュールが入った場合も、ベビーシッターを依頼すれば、子どものことを心配せずに、面接に挑むことができます。
初めて子どもを預ける前には、必ず顔合わせか事前面談を行うルールとなっているため、まずは育休中に、一度お試しで依頼してみてはいかがでしょうか?
■監修:ファイナンシャルプランナー 小松香名美
和歌山大学 経済学部卒。旅行会社勤務の後、出産のため退職。2018年に保育士資格を取得し、保育園勤務を経験。2021年にファイナンシャル・プランニング技能検定2級を取得。ファイナンシャルプランナーとして独立し、マネー記事の監修などを行っている。
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