経沢 :今日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。現役保育士でありながら、Twitterフォロワー44万人!保育業界の唯一無二の存在となっているてぃ先生に是非いろいろお話伺いたいと思っています。よろしくお願いいたします。ちなみに今日もお仕事でいらっしゃったんですよね?
てぃ先生:今日はよろしくお願いします。はい、今日も普通に保育園で保育士としてお仕事をしてきました。
経沢 :現役保育士を続けながら、SNSでの発信や講演活動も精力的にされていらっしゃいますよね。現役保育士を続けながらだと、かなりお忙しいかと思うのですが、今後も園でのご勤務は続けていかれる予定ですか?
てぃ先生:そうですね。やっぱり現役じゃないと「現役でもない人がなに偉そうなこといってるんだ」ってなると思いますし、説得力をもたせるためにも現役保育士にはこだわっています。
ーてぃ先生のこれまでのキャリアは?
経沢 :そうなんですね。ちなみにこれまでの保育士としてのキャリアを伺えますか?
てぃ先生:保育士歴は10年になります。現在の園が4園目となります。初めての転園は、労働環境が大きな要因でした。なかなか帰れない日もあり・・・。
経沢 :帰れない日も!!そんなこともあったんですか・・・。
てぃ先生:書類作業なども含めやることが多く、また人員不足も影響した結果そんな時もありました。これはまずいと思い、転園にいたりました。2園目で数年働いた頃に、自分の中で「保育」というものが少しづつわかってきて。それとともに、「自分が実現したい保育」みたいなものも見えてきたので、よりそこに近いところへ、と思い転園しました。もうだいぶ保育士としての勤務も慣れてきて、3園目の途中から普通の保育士としての活動以外にも、SNSでの発信なども新しい取り組みにチャレンジしたい、と思うようになり、そのようなソーシャルでの活動が可能な園を探し、現在の園での勤務につながっています。
ーてぃ先生にとっての「やりたい保育」とは?
経沢 :なるほど。ちなみにてぃ先生の「やりたい保育」とはどのようなものなのでしょうか?
てぃ先生:例えば「子供の主体性を大事にする」ことでしょうか。どこの園も「子供の主体性を」と口揃えていうんですよね。でも、転職活動の時などに、「そのために、どのようなことをやっていらっしゃるんですか?」と聞くと、あやふやで明確な答えがない園もあるのが現実でした。
細かいお話をすると、園で給食の時間って、大人が配膳しているところが多いです。大人が勝手に配膳したにもかかわらず、子供が食べられなかったら、怒られる。みたいなことがあって。すごく違和感があるなと。子供の年齢によってはそのような対応も必要ですが、一定の年齢が過ぎたら、もちろん栄養士との相談のもとではありますが、子供自身に配膳させるほうが良いと僕は思っています。もちろん最初はてんこもりについで食べられない、なんてこともあるんですけど「ほら食べられないじゃん」といわずに、静かに見守っていると、次の日は子供自身が少し減らして配膳していたりするんですね。
子供自身の意思を尊重して、少しずつ学んでいかせるというような、やり方が主体性を重んじるということだと考えているので、小さなことかもしれないですが、今の園ではそのような工夫を日々取り入れています。
ー保育士と検索すると出てくるのは「やめたい」
経沢 :今、保育士と検索すると「保育士 やめたい」「保育士 給与 低い」など出てくるのですが•••そんな現状をてぃ先生はどう見ていますか?
てぃ先生:Twitterで保育士さんから連絡いただくこともあるのですが、やはり保育園や保育士としての勤務への不安や不満に思っていることをご相談されることが多いです。保育園は星の数ほどあるから素直に「やめるのも1つの選択肢では?」と伝えます。でも辞めないんです。今の保育士さんたちは洗脳されているような気がしています。
経沢 :洗脳!?というのは?
てぃ先生:保育士になる前の学校の時ですね。学生の時、学校から「年度途中でやめるな!」「3年は絶対やめるな!」みたいなことばかり言われ続けるんですよ。もちろんそれは正しいことなんですけど、正直学校は保育士一人一人のことはそこまで考えていないと思う部分もあります。「この学校の卒業生が」という学校の見栄えを気にされているのが現状だと思います。だから保育士さんは「いやなら辞める」という選択肢を持っているはずなのに、思考が停止してしまっていると思います。
経沢 :保育士さんは引く手あまただと思うので、ご自身にとって一番良い形での働き方、働き先を選択されるといいなあと私も思います。
ー「保育士はだれでもできる?!」てぃ先生も納得?
経沢 :最近堀江さんの「保育士はだれでもできる」発言がTwitterで炎上しましたよね。てぃ先生はどう思いますか?
てぃ先生:究極「だれでもできる」ともいうことも言えると思います。実際学校に通えば、保育士資格をとれるのは事実です。20〜30年前までは保育士は専門的な情報を持っていて、簡単な仕事ではなかったと思うんです。でも今はインターネットが台頭して、だれでも専門性に触れる事ができる。その中で今後の保育士に求められることって「一人一人にあった保育を提供できる力」だと思っています。
いくら知識をインプットしたとしても、一人一人それぞれを見つめて、それぞれにあった保育を提供することは簡単なことではないです。だからこそ、そこが保育士としての価値だと思っています。僕自身も、僕なりに「この子はこういうタイプだからこう声かけしよう」「この子は逆にこういう声かけがよいな」と考えて保育しています。
経沢 :やはり個々に対応を考え保育されていらっしゃるんですね。
てぃ先生:やはり「この子はこうしていったほうがよい、この子はこう」とちゃんと見れる人はどこの園にいっても通用と思います。今は保育士不足、保育士不足と騒がれていますが、正直今後少子化が進むにつれて保育士は生き残れなくなっていくと、僕は考えています。だからこそ、保育士は「一人一人にあった保育を提供できる力」をより身につけていく必要があると思います。
経沢 :幼少期にどんな声かけがあるかってとても大事ですよね。
てぃ先生:はい、まさに初期教育は本当に大事だと思います。大げさかもしれないんですが、保育士って社会を作っていると思っています。究極的なことを言えば、世の中がいい状態なのは、保育士の功績だし、世の中がくだらないのであれば、それは保育士がだめだったのかなあと。どこかの教授さんが「犯罪者を見ると悲しくなる」とお話ししていて、僕自身共感できる部分があります。保育士自身がそこまで考えられるかどうかなんだと思うんです。子供というより、1人の人間を育てているんですよね。
経沢 :保育士さんが社会を作っていると言っても過言ではないと思います。ちなみに、先ほどの「一人一人にあった保育を提供できる力」以外に、今後保育士に必要だと思うことはありますか?
ー今後の保育士に必要なことは「アピール力」
てぃ先生:「アピール力」が必要になってくると思っています。保育士は「人に見られる仕事」です。だからこそ自分の保育観や自分の価値を、理解、把握しアピールしていくことは必要だと思っています。そういった意味では、キッズラインのシッターさんのように自分自身の強みを理解しアピールしていっている人はとても強いと思います。
経沢 :私たちもキッズラインのシッターさんには自分が目指す保育、求める働き方を選んでいただきたいと思っています。皆さんそれぞれの強みを生かし取り組まれている方が多いですね。例えば「日本のパパに保育の楽しさを」をテーマにしているパパ保育士さんや、「モンテッソーリ」のプロ、「大阪生まれの肝っ玉母ちゃん」と自分を表現している人頼もしい保育士シッターさんもいます。ベビーシッターを本業とする人、副業でおこなう人いろんな方がいますが、自分の強みをアピールしながら、イキイキ輝いている人たちをみているのはとても楽しいです!
ー「保育業界のメジャーリーグ」を作りたい
経沢 :今後保育業界をこうしていきたい、みたいな想いはありますか?
てぃ先生:「保育業界のメジャーリーグ」を作りたい、と思っています。
経沢 :メジャーリーグ!?
てぃ先生:野球している人って、「あの球団に入りたい!」「あんなプロ野球選手、メジャーリーガーになりたい!」って目指していくと思うんです。保育業界でもそんな状態を目指したくて。今ってどうしても画一的で差別化できていない状態になっていると思います。親御さんにとっては「あの園にいきたい!」もっと言うと「あの保育士さんにみてもらいたい!」という状態になることが理想ですよね。保育士の中にもどんどんスタープレーヤーが出てきて、「あの保育士さんみたいになりたい!」と子供たちが憧れるようなそんな世界観を目指していきたいですね。
ー保育士として活動する方へ
てぃ先生:今時代背景が後押しして、保育士はすごく大変だ、大変だ、とクローズアップされているんですけど、大変じゃない仕事ってないと思うんですよね。しかも保育士って「好きなことを仕事にできている」人たちなんです。自分のやりたいことを職業にできる人って、ほんの一握りじゃないですか。その中で、「子供が好き」を仕事にできていることって、とても幸せですよね。だからこそ、そんな人たちが保育業界から離れていったりする現状はとても寂しいです。今までは保育士って、幼稚園や保育園しか職業選択肢がなかった中で、今例えばキッズラインのベビーシッターのような新しい働き方もあります。「子供が好き」の気持ちを大事に、今後も保育業界で一緒に頑張っていきたいなあと思います。
経沢 :本当にそうですね。キッズラインにも保育士資格をもった人が全国で約500名働いています。保育士の皆さんにとってご自身の人生が輝くように、私たちも引き続き働き方の選択肢を提供していければと思います!今日は本当に貴重なお話しありがとうございました!