4月に入り、保育園生活をスタートした子どもたちは、慣らし保育を終え、少しずつ長い時間を園で過ごすようになります。親としては、スムーズに職場復帰したいところですが、多くの家庭が直面するのが、子どもの体調不良です。園生活をきっかけに起こることが多いため、「保育園の洗礼」とも呼ばれています。この記事では、保育園の洗礼に備えるために家庭でできることをご紹介します。
記事のポイント
⚫︎入園から数ヶ月間は、子どもが体調を崩しやすい
⚫︎看病と仕事の両立にハードルを感じる
⚫︎困ったときにはベビーシッターを頼る選択肢もある
保育園の洗礼とは何か
慣らし保育後の「最初の壁」
「保育園の洗礼」とは、
入園から数ヶ月の間に子どもが体調を崩し、頻繁に保育園を休む状況を指します。慣らし保育を終え、本格的に園生活が始まる頃に体調を崩すケースが多く、復職を控えた親にとっては大きな壁です。
仕事復帰に向けて生活リズムを整えている中で、看病が続くと復職プランを変更せざるを得ないこともあり、心身ともに大きな負担を感じる家庭も少なくありません。こうした状況は多くの家庭に共通して見られるため、保育園生活のスタート時点でよくある難関であることから、「保育園の洗礼」と呼ばれるようになりました。
頻繁な呼び出しで、両立にハードルを感じる
入園直後の体調不良が「保育園の洗礼」と呼ばれるのは、それだけ多くの家庭が、保育園生活のスタートで同じような壁に直面してきた証とも言えます。体調を崩しがちな子どもの看病をしながら、仕事や家事をするのは簡単なことではありません。
復職を振り返ってママパパからは、このように振り返る声が挙がっています。
「想像以上に大変だった」
「子どもを預けて出勤し、職場に着くと保育園からの着信があり、急いでお迎えに向かった」
「着信があるたび、保育園からではないかと不安を感じた」
このような日々が続くと、着信があるたびに「また保育園からかもしれない」と不安になることもあります。
呼び出しが頻繁に起こると、仕事との両立が難しいと感じるかもしれません。
筆者も同様に悩んだ経験があります。上の子が保育園に入園した春、慣らし保育が終わって「いよいよこれから」というタイミングで、はやり目(流行性結膜炎)に感染。入園後初のゴールデンウィークは、看病で終わりました。
「入園後3ヶ月の間に、月に5日以上フルタイムで勤務できなかった」との調査結果も
「保育園の洗礼」が多くの家庭に共通する現象であることは、調査結果からも明らかです。
人材紹介やキャリア支援を行うXTalent株式会社が2024年に実施した「ワーキングペアレンツの両立実態調査」は、次のように報告しています。
・保育園入園後3ヶ月〜半年の間に「月に5日以上、フルで勤務できなかった」と回答した保護者は、46.4%。
・保育園からの呼び出しへの対応を「母親がすべて担っている」と答えた家庭は32.2%。
調査では、お迎えや看病といった対応が母親に偏りがちな実態も浮き彫りになっており、
仕事との両立やキャリアの継続において、特に女性に大きな負担がかかっている現状が見て取れます。
参考:「保育園の洗礼」についての調査結果
保育園入園後に体調を崩しやすい理由とその対策
入園1年目は、特に体調を崩しやすい
保育園に入園したばかりの子どもが体調を崩しやすいのは、
免疫力が発達段階にあることと、集団生活が関係しています。それまで家庭中心の生活をしていた子どもにとって、保育園は初めて多くの人と長い時間過ごす場所です。そこでは、さまざまなウイルスや細菌に、一気にさらされます。特に0歳から預ける場合、免疫がまだ十分に発達していないため、どうしても体調を崩しやすくなります。
保育園でかかりやすい感染症とは?
保育園では、集団生活の中でさまざまな感染症が流行しやすくなります。代表的なものには、RSウイルス感染症、アデノウイルス感染症、手足口病、ヘルパンギーナ、ノロウイルスなどがあります。これらの感染症は、季節ごとに流行する傾向があります。たとえば、春から初夏(4〜5月)にかけては、RSウイルスやアデノウイルス、はやり目(流行性結膜炎)などが増える時期です。保育園では一年を通じてさまざまな感染症が広がる可能性があるため、日頃から予防を意識し、手洗いや消毒、体調管理などを心がけることが大切です。
感染症によっては、登園に条件が付くこともある
発熱や鼻水、咳といった症状は、保育園に通い始めた子どもによく見られるものですが、初めての経験では親も戸惑いや不安を感じやすいものです。とくに感染症の種類によっては、学校保健安全法に基づき、
一定期間の登園停止が義務づけられているケースがあります。たとえば、インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルス感染症、手足口病などは、症状が治まったあとも一定期間は登園できないことがあります。対応は園によって異なるため、入園前に感染症時の登園ルールを確認しておくと安心です。また、
急な体調不良に備えて、日頃からかかりつけ医や病児保育施設を見つけておくこともおすすめです。
参考:保育所における感染症対策ガイドライン
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体調不良だけじゃない。仕事復帰後に経験する心の葛藤
登園しぶりへの向き合い方
保育園生活の始まりに、保護者が直面するのは感染症だけではありません。それまで自宅で家族と一緒に過ごしていた時間を、急に保育園で長く過ごすようになるわけですから、子どもがストレスを感じるのは当然です。
登園時に「行きたくない」と泣いてしまう、いわゆる
「登園しぶり」は、多くの家庭で見られます。毎朝泣きながら離れようとしないわが子に、胸を痛める保護者も少なくありません。大切なのは、無理に引き離そうとせず、「泣くのはダメ」と決めつけないこと。時間はかかっても、子どもは少しずつ新しい環境に慣れていきます。焦らず、親子でゆっくりと慣れていく気持ちを大切にしましょう。
参考記事:子どもが登園拒否!「保育園に行きたくない」登園しぶりの理由と対処法
仕事と育児、両立のプレッシャー
職場復帰直後は子どもが体調を崩すたびに看病や呼び出し対応が必要になり、親にも大きなストレスがかかります。仕事中心の生活に慣れていない中での突発的な呼び出し、夜間の看病、そして寝不足が重なり、心身の余裕がなくなりがちです。加えて、「また休まなければいけない」「職場に迷惑をかけているかもしれない」といった罪悪感や、「子どもに十分なケアができていないのでは」という不安が、プレッシャーを大きくしてしまいます。
一人で抱え込まず、保育士や地域の支援窓口に相談しよう
保育園生活が始まると、保護者は不安や悩みをひとりで抱え込んでしまうことがあります。SNSを見ていると、育児と仕事をうまく両立しているように見える投稿に気持ちが揺れ、「どうして自分だけできないんだろう」と落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
そのようなときには、誰かに話してみるだけでも、気持ちが少し軽くなることがあります。まず
相談しやすい相手として頼れるのが、保育園の保育士です。子どもの様子を日々見てくれているため、登園しぶりや体調面についても具体的にアドバイスをもらえることが多いでしょう。また、
自治体が運営する子育て支援センターやファミリーサポートなど、地域の支援窓口を活用するのもおすすめです。同じような経験をしている保護者と出会える場でもあり、孤独感がやわらぎます。
入園・復職前に家庭でできる準備
生活リズムを整える
保育園生活が始まる前から、子どもと家庭全体の生活リズムを整えておくことは、「保育園の洗礼」に備えるうえでとても効果的です。保育園はたくさんの子どもが集まる場所。どうしても感染症をもらいやすい環境のため、体調を崩すことは避けられません。
完全に病気を防ぐことはできませんが、あらかじめ生活習慣を整えておくことで、回復が早まったり、症状が軽くなったりする場合があります。毎朝決まった時間に起きて、朝食・昼寝・就寝のリズムを整えておくと、子どもも保育園の生活にスムーズに移行できます。また、定時の食事習慣や十分な睡眠、手洗いは、健康維持に役立ちます。
子どもが発熱した際の対応をシミュレーションをしておく
保育園に通い始めると、子どもの急な発熱は避けて通れないものです。
いざというときに慌てないよう、シミュレーションしておくと安心です。たとえば、自宅の近くに病児保育施設があるか、利用には事前登録が必要か、定員に余裕があるかなどを調べておきましょう。あわせて、実際に利用した人の口コミもチェックしておくと判断の参考になります。また、
民間のベビーシッターサービスに登録しておくのもよいでしょう。利用頻度は少なくても「いざというときに頼れる先がある」と思えるだけで、気持ちに余裕が生まれます。さらに、夫婦でお迎えや看病をどう分担するか、祖父母や親族に協力をお願いできるかなど、家族であらかじめ話し合っておくのも手です。
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「保育園の洗礼」を受けたときの現実的な対応策
テレワーク・看護休暇を活用する
2025年4月に施行された改正育児・介護休業法により、
3歳未満の子どもを育てる従業員がテレワークを選べるよう、企業には対応を行う努力義務が課されました。また
子の看護等休暇も小学3年生まで取得できるようになりました。これにより、育児と仕事の両立に向けた柔軟な働き方を選びやすくなっています。保育園入園から1〜2年目は、子どもの体調不良による急な呼び出しが多くなる時期。勤務時間や働く場所に柔軟性があるだけでも、親の精神的な余裕につながります。
参考記事:看護休暇は無給!? 2025年4月の法改正で対象年齢や取得条件はどう変わる?
育児短時間勤務やテレワーク制度が整っている職場であれば、復職時には積極的に活用したいと申し出ましょう。また、
急な欠勤や早退に備え、復職前の面談などで現実的な働き方や希望を上司・同僚に共有しておくことも大切です。あらかじめ理解を得ておくことで、いざというときもスムーズに対応しやすくなります。
さらに、2025年10月からは、3歳以上小学校就学前の子どもを育てる従業員に対しても、柔軟な働き方を実現するための制度整備が企業に義務付けられます。年齢が上がれば体調を崩す頻度は減る傾向にありますが、感染症などのリスクはゼロではありません。子育て世帯がより安心して働ける環境が整いつつあることは、前向きな変化です。
参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
パートナーとの家庭内の分担を見直す
仕事復帰後は、親も子どもも新しい生活リズムに適応しなければならず、さまざまな変化に直面します。そのため、
夫婦間で家事や育児の役割分担を見直すことがとても大切です。
朝の準備や保育園の送迎、夕食作り、寝かしつけなど、育児は一日を通してやることがたくさんあります。どちらか一方に負担が偏ってしまうと、心身ともに疲弊しやすくなります。入園前の段階で、誰が何を担当するかを話し合っておくことで、復職後もスムーズに新生活に馴染むことができます。
東京都が2023年に実施した調査では、家事や育児の分担について「満足している」と答えた男性が約8割にのぼる一方で、女性の半数以上が「不満を感じている」と回答しています。このことからも、夫婦間で感じ方にギャップがあることがうかがえます。
仕事と育児を無理なく両立させるためには、夫婦がお互いの状況や気持ちを共有し、必要に応じて役割を調整し続ける姿勢が大切です。
参考:男性の家事・育児実態調査 結果を発表 パパ・ママのホンネと男性育業について5000名に聞きました
「保育園の洗礼」はひとりで抱え込まず、人に頼る
仕事と育児を両立するためには、
「何かあったときに頼れる先」をあらかじめ確保しておくことがとても大切です。実家が近ければ、祖父母に協力をお願いできるか事前に話し合っておきましょう。ただし、頼りすぎて相手に負担をかけないよう、無理のない範囲でお願いすることも大事です。また、「身内だからこそ遠慮して頼みにくい」と感じるケースも少なくありません。このような際には、第三者に頼るのがよいでしょう。自治体が運営するファミリーサポート制度や子育て支援センター、地域のママ・パパ向けの交流会などを積極的に活用していきましょう。
ベビーシッターは「保育園の洗礼」を乗り越える強い味方
急な呼び出しでも安心。頼れるベビーシッター
保育園に通い始めると、「仕事中に突然保育園から呼び出されて、どう対応すればいいのか困ってしまった…」という経験をする保護者は多いです。そんなときに心強い存在となるのが、
ベビーシッターです。
短時間から利用できるサービスや、病児保育に対応しているベビーシッターサービスもあり、子どもが体調を崩したときにとても頼りになります。
信頼できるベビーシッターの選び方と利用のコツ
ベビーシッターを安心して利用するためには、信頼できるサービスを選ぶことが何より大切です。実績があり、口コミで高評価を得ているサービスを選ぶと、安心感があります。
初めて利用する場合は、「事前面談」ができるサービスを選ぶとよいでしょう。また、いざというときにスムーズにお願いできるよう、普段から何度か利用して子どもを慣らしておくのもおすすめです。最近では、アプリで簡単に予約できるサービスも増えており、急な依頼にも柔軟に対応しやすくなっています。
家庭の負担軽減と、子どもの安心感を両立するために
ベビーシッターを活用する大きなメリットは、親の負担を減らせることです。仕事が忙しい日や、子どもが微熱で保育園に行けないときなど、
家族の誰かがすべて対応しようとせず、外部の力を借りることで、家庭全体のストレスを軽くすることができます。
また、同じシッターに継続してお願いすることで、子どもは徐々に慣れていきます。保護者以外の大人と関わる経験を通して、安心感や社会性を育むことにもつながります。「保育園の洗礼」は、どの家庭にも起こりうるものです。そんなときに備えて、
ベビーシッターという外部のサポートを上手に取り入れておくことで、親も子どもも無理をせずに、保育園生活を乗り越えていける体制を整えておくことが大切です。
キッズラインならスマホからシッターを探せる
ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインは全国47都道府県にベビーシッターがおり、スマホから24時間いつでも検索・依頼をすることができます。ベビーシッターは、保育士資格など8つの資格または研修修了者のみが登録可能で、保育のプロが揃っています。
保育園入園後は、「急な発熱」や「突然のお迎え要請」が続くこともあり、仕事との両立に限界を感じてしまうことがあります。そんなとき、身近に頼れる存在がいるだけで、気持ちに余裕が生まれます。保育園の送迎を頼んだり、発熱時の病児保育をお願いしたりと、ベビーシッターは育児と復職の両方を支えてくれる心強い存在です。「保育園の洗礼」は、どの家庭にも起こりうること。だからこそ、あらかじめ準備をしておくことで、落ち着いて乗り切ることができます。
キッズラインでベビーシッターを依頼するには、事前に顔合わせや面談が必要です。いざという時に備えて、一度お試しで依頼してみるのもおすすめ。子育てのすべてをひとりで抱え込まず、ときには周囲の力を借りながら、無理のない育児を目指していきましょう。
*病児保育の依頼について*
キッズラインでは、プロフィールに「病児保育」対応可能と記載があるサポーターへのみ、病児保育のご依頼が可能です。詳しくは下記をご参照ください。
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