インフルエンザなどの感染症が流行する時期になると、学校から「学級閉鎖のお知らせ」が届くことがあります。共働きの家庭にとって困るのは、子ども本人が熱を出しているわけではない、という点です。
本人は元気で、学校で発熱したわけでもありません。それでも学級閉鎖の間は登校できず、多くの地域で学童も利用できなくなります。病気ではないので病児保育の対象にもならず、元気な子どもが家にいるのに、預け先が見つからない。学級閉鎖は、そんな制度のすき間に落ちる日になりがちです。
この記事では、学級閉鎖がどのように決まるのか、閉鎖中に何ができなくなるのか、そして共働き家庭がその数日をどう乗り切ればいいのかを整理します。幼稚園・保育園の場合についても、あわせてまとめました。
この記事のポイント
⚫︎ 学級閉鎖中は子どもが元気でも、学童や習い事を利用できないことが多い
⚫︎ 2025年4月から、子の看護等休暇を学級閉鎖のときにも使えるようになった(小学校3年生修了まで)
⚫︎ 学級閉鎖は急に決まるので、流行期に入る前に預け先を2つ以上決めておくのが確実な備えになる
学級閉鎖とは? 誰が、どんな基準で決めるのか

決めるのは学校の設置者
学級閉鎖は、学校保健安全法にもとづく「臨時休業」の一つです。感染症の予防のために必要がある場合、学校の設置者は、学校の全部または一部を臨時に休業にできると定められています。公立小学校の場合、設置者は市区町村なので、実際には教育委員会と学校が、学校医の意見も聞きながら判断します。
基準は自治体によって違う
「何人休んだら学級閉鎖」という全国一律の基準はありません。基準は自治体ごとに決められていて、たとえば、
学級の欠席率が20%前後に達したときに学校医と相談して判断する、といった目安を設けている自治体があります。欠席者の人数だけでなく、増え方のスピードや、発熱などの症状がある子の数も見て判断されます。
期間は数日が多く、欠席扱いにはならない
学級閉鎖の期間は、2日から数日程度のことが多く、週末をはさんで設定されることもあります。期間中は学校の判断による休業なので、
子どもが休んでも欠席扱いにはなりません。
学年閉鎖・学校閉鎖との違い
感染が1つのクラスにとどまらず学年全体に広がっている場合は学年閉鎖、学校全体に広がっている場合は学校閉鎖(休校)になります。仕組みは同じで、休業の範囲が違うだけです。きょうだいがいる場合、上の子のクラスは閉鎖、下の子のクラスは通常どおり、ということも起こります。
学級閉鎖中にできないこと

学級閉鎖の目的は、感染の広がりを止めることです。そのため、閉鎖の間は学校だけでなく、ほかの子どもと集まる場所も避けるよう求められます。
学童・放課後子ども教室
多くの自治体で、学級閉鎖中の子どもは学童保育を利用できません。たとえば東京都目黒区は、学級閉鎖中の学童利用について、症状がなくても利用できないとし、その理由を「うつらない、うつさない」という学級閉鎖の趣旨に沿うためと説明しています。放課後子ども教室なども同様です。
一部の自治体では、保護者がどうしても仕事を休めない場合に限って利用を認めるなど、条件つきで受け入れていることもあります。自分の地域の扱いは、学童や自治体に確認しておくと安心です。
習い事や外出
学級閉鎖のお知らせでは、習い事や外出もできるだけ控えるよう書かれていることがほとんどです。家にいてもらうことが前提になるので、「近くの児童館で遊んでいて」という過ごし方もできません。
こうして、
子どもは元気なのに、家の外に預ける場所がなくなります。共働き家庭にとっての学級閉鎖の大変さは、ここにあります。
学級閉鎖は急に決まる
学級閉鎖は、その日の欠席者の状況を見て決まるため、何日も前から予定に組み込むことができません。連絡のタイミングは学校によって違いますが、前日の午後や夕方、場合によっては当日に知らされることもあります。
翌日からの数日間の予定を、その日の夕方に組み直さなければならない。この急さが、仕事との調整をいっそう難しくします。だからこそ、
流行期に入る前に「学級閉鎖になったらどうするか」を決めておくことが大切です。具体的な準備は、記事の最後にまとめています。
親が使える制度
子の看護等休暇
2025年4月の法改正で、子の看護休暇は「子の看護等休暇」に名称が変わり、
学級閉鎖のときにも取れるようになりました。対象となる子どもの範囲も、小学校入学前から小学校3年生の修了までに広がっています。
取れる日数は、対象の子どもが1人なら年5日、2人以上なら年10日です。1日単位だけでなく、時間単位で取ることもできます。ただし、休暇中の給与を有給にするか無給にするかは会社によって異なるので、就業規則を確認しておきましょう。
なお、小学4年生以上の子どもは対象外です。高学年の子どもの学級閉鎖では、年次有給休暇を使うか、ほかの方法を考える必要があります。
テレワークや時間単位の休暇
職場にテレワークの制度があれば、学級閉鎖の間だけ在宅勤務に切り替えるという方法もあります。ただ、低学年の子どもが家にいると、仕事に集中できる時間は限られます。会議の多い日は休暇を取る、作業中心の日は在宅勤務にするなど、日によって組み合わせると無理が少なくなります。
職場への伝え方
学級閉鎖は急に決まるので、職場への連絡も直前になりがちです。伝えるときは、閉鎖の期間と、自分がどう対応するかをセットで伝えると、職場も段取りを組みやすくなります。
子どものクラスが学級閉鎖になり、〇日から〇日まで登校できなくなりました。〇日は子の看護等休暇を取り、〇日と〇日は在宅で対応します。急ぎの件は〇〇さんに引き継いでおきます。
流行期に入る前に、「学級閉鎖になったらこう対応する」と上司やチームに一度話しておくと、実際に起きたときの連絡がずっと楽になります。
学級閉鎖の日の預け先の選択肢

学級閉鎖の数日間をどう乗り切るかは、子どもの年齢や家庭の事情によって変わります。主な選択肢を整理しました。
| 選択肢 | 向いている場合 | 注意点 |
|---|
| 祖父母 | 近くに住んでいて、急な依頼にも対応してもらえる | 祖父母自身が感染するおそれがある。持病がある場合はとくに慎重に |
| 在宅勤務と留守番の組み合わせ | 子どもがある程度の時間を一人で過ごせる学年で、在宅勤務ができる | 低学年のうちは長時間の留守番は難しい。在宅勤務中も仕事に集中しにくい |
| ファミリー・サポート・センター | 事前に会員登録と顔合わせを済ませている | 急な依頼には対応できないことがある。地域によって受けられる内容が違う |
| ベビーシッター | 仕事を休めない日に、自宅で子どもを見てもらいたい | 流行期は依頼が集中しやすいので、早めの予約や事前の登録が必要 |
ベビーシッターを頼むときに伝えておくこと
ベビーシッターは自宅に来てもらう形なので、
子どもが外に出ずに過ごせるという点で、学級閉鎖の日と相性のいい預け方です。依頼するときは、次のことを事前に伝えておくと、当日がスムーズになります。
・学級閉鎖中であること(閉鎖の理由になっている感染症も)
・子どもの今の体調と、当日の朝の体温
・学校から出ている課題の有無と、どこまで進めてほしいか
・体調が変わったときの連絡先と、病院を受診する場合の判断
学級閉鎖中であることを伝えずに依頼すると、サポーターの側も準備ができません。事前に共有したうえで、対応できるかどうかを相談してください。
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学級閉鎖中、元気な子どもとどう過ごすか

子どもが元気な場合、学級閉鎖の数日間は思いのほか長く感じられます。
学校から出る課題を軸にする
学級閉鎖の間は、学校から課題が出されることがほとんどです。課題を午前中に済ませる、など時間割のように一日の流れを決めておくと、だらだらと過ごすのを防げます。
生活リズムを崩さない
学校がないと、起きる時間や寝る時間がずれやすくなります。閉鎖が明けたあとに登校しにくくならないよう、起床と就寝の時間は普段どおりに保つようにしましょう。
家の中で体を動かす時間をつくる
外出を控えるとなると、子どもはエネルギーを持て余しがちです。動画に合わせたダンスやストレッチ、室内でできる簡単な運動など、家の中で体を動かす時間を一日のどこかに入れておくと、夜も眠りやすくなります。
画面を見る時間のルールを決めておく
数日間家にいると、テレビやゲーム、タブレットの時間がつい長くなります。全部を禁止するのは難しいので、「課題が終わったら30分」など、学級閉鎖の間だけのルールを最初に決めておくと、親も子も楽です。シッターに頼む日は、このルールもあわせて伝えておきましょう。
体調の変化に気をつける
学級閉鎖になるのは、クラスで感染が広がっているからです。今は元気でも、すでに感染していて、閉鎖中に発症することもあります。朝晩の体温を測り、いつもと様子が違わないかを見ておきましょう。
本人が発症したら

学級閉鎖の間に子ども本人が発症した場合は、閉鎖とは別に、感染症ごとに決められた「出席停止」の期間が適用されます。
たとえばインフルエンザの場合、出席停止の期間は
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」と、学校保健安全法施行規則で定められています(幼稚園児は解熱後3日)。発症した日は数えず、その翌日を1日目として数えます。
注意したいのは、
学級閉鎖が明けても、出席停止の期間が終わっていなければ登校できないことです。閉鎖中に発症すると、閉鎖の日数よりも長く休むことになる場合があります。登校を再開する際には、学校によって医師の証明書や保護者が記入する書類の提出が必要になるので、学校の案内を確認してください。
発症後は、子どもは本当に体調が悪い状態です。ここからは病児保育の出番になります。病児保育室は事前登録が必要なところが多く、流行期には定員がすぐに埋まるので、元気なうちに準備しておくと安心です。
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幼稚園・保育園の場合
幼稚園は小学校と同じく学級閉鎖がある
幼稚園は法律上「学校」にあたるため、小学校と同じように学級閉鎖や学年閉鎖が行われます。共働きで幼稚園に通わせている場合、気をつけたいのは預かり保育です。
学級閉鎖の間は、預かり保育も利用できなくなる可能性が高いと考えておきましょう。扱いは園によって違うので、流行期に入る前に一度確認しておくと安心です。
保育園には学級閉鎖の仕組みがない
保育園は児童福祉施設で、学校ではないため、学級閉鎖という仕組みはありません。ただし、クラスで感染が広がると、保護者に「登園自粛」をお願いすることがあります。たとえば、1つのクラスで一定数以上の発症があった場合に、可能な範囲で登園を控えるよう依頼している自治体もあります。
登園自粛はあくまでお願いなので、仕事の都合でどうしても預けたい場合は、園と相談することになります。休園の判断については、台風や警報のときと同じく、園や自治体ごとにルールが異なります(
台風・警報で保育園は休園になる? 判断基準と、前日までにできる備え)。
流行期の前に準備しておくこと

学級閉鎖は、決まってから動いたのでは間に合わないことがほとんどです。インフルエンザなどが流行し始める前に、次のことを済ませておきましょう。
✅ 流行期の前にやっておくこと
・学級閉鎖のときに頼れる預け先を、2つ以上決めておく
・子の看護等休暇が使えるか、有給か無給か、時間単位で取れるかを職場に確認しておく
・テレワークに切り替えられる条件を、職場と確認しておく
・夫婦のどちらが休むかの順番を、先に決めておく
・学童が学級閉鎖のときにどう扱われるかを確認しておく
・ベビーシッターやファミサポに登録し、事前の顔合わせを済ませておく
・病児保育室の事前登録を済ませておく
・学校からの連絡がどの手段で届くかを確認し、すぐ気づけるようにしておく
まとめ
学級閉鎖は、子どもが元気なのに学校にも学童にも行けない、共働き家庭にとって預け先を探しにくい日です。決まるのは急で、期間は数日ですが、流行期には何度も起こることがあります。
2025年4月からは、子の看護等休暇を学級閉鎖のときにも使えるようになりました。休暇やテレワークで対応できる日と、どうしても休めない日を分けて考え、
休めない日のための預け先を前もって用意しておく。それが、学級閉鎖の数日を慌てずに乗り切るためのいちばんの備えです。
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