出産前は、産後に向けてさまざまな準備が必要です。準備の内容は大まかに「手続き関係」、「物品の購入」、「出産前後の生活準備」の3つに分けて考えるとスムーズ。そこで今回は、それぞれの準備について、ポイントや注意点を紹介します。見落としがちで実は大切な準備についてもお伝えします。



出産前の準備、何をいつから始める?


出産準備は、ママの体調が落ち着く5〜7ヶ月頃に始めるのがオススメです。赤ちゃんの性別がわかってからでも十分間に合います。


ただし臨月が近づくと、体調もメンタルもデリケートになってくるので、できれば長時間の買い物やお出かけは避けたいもの。体調と相談しながら、少しずつ進めていけるとよいですね。


それでは出産前の準備について、「手続き」、「物品の購入」、「出産前後の生活準備」の3つの観点で押さえていきましょう。



【出産前の準備①】「手続き」は何が必要か事前にチェック


赤ちゃんを抱く

出産に関連する手続きについては、それぞれ「何をするか」「どこで書類をもらうか」「いつどこへ申請するか」について、理解しておくと安心です。


申請の際のポイントは、以下の通りです。



・手続き書類は事前に揃えておく
・締め切りに注意する
・同時に提出できるものは、まとめて提出


例えば会社員の方は「出産手当金」などの申請書は早めにもらい、書けるところまで書いておくのがおすすめです。また、「児童手当」は締め切りを過ぎると遡っての申請ができないので、締め切りに注意が必要です。「出生届」と「児童手当申請書」は、ひとまとめで役所に出すと手間が省けます。


以下の①〜⑤は、全員行う必要がある手続きです。⑥・⑦は会社員として勤務している方、⑧は未熟児を出産した方、⑨は医療費が高額になった方、⑩は医療費が年間10万円を超えた場合が対象となります。
自分にはどの手続きが必要か、チェックしておきましょう。



【全員が行う必要のある手続き】



①出生届の届け出 
 ・提出期限は、出産日を含め14日以内
 ・子の出生地、本籍地または届出人(父または母)の所在地の市区町村に提出
 ・提出場所は、各自治体の担当窓口

②児童手当の申請
・提出期限は、出生日の翌日から15日以内
・0歳から中学校卒業までの児童を養育している人に支給される手当
・提出場所は、各自治体の担当窓口(公務員は勤務先で申請)
・子どもの養育人数ごとに所得制限があるため、詳細は各自治体窓口に確認

③子どもの健康保険証の申請
 ・提出期限は、出生後すみやかに
 ・親が国民健康保険の加入者なら、出生届と同時に各自治体の窓口で手続き
 ・親が健康保険組合加入者の場合は、扶養する親の勤務先の担当窓口へ

④子ども医療費助成の申請(子どもの健康保険への加入後)
 ・提出期限は、子どもの健康保険証が届いたらすみやかに
 ・提出場所は、各自治体の担当窓口
 ・扶養する親の所得制限がある自治体もあるため、詳細は各自治体窓口に確認

⑤出産育児一時金の申請
 ・出産費用の助成として、赤ちゃん1人につき42万円(2022年7月現在)
 ・病院、または各健康保険組合の担当窓口へ提出
 ・提出期限は、入院まで、または出産した翌日から2年間
 ・提出先は、健康保険組合の担当窓口、または産院(受取り方法により異なる)

【会社員として勤務する親が行う手続き】



⑥出産手当金の申請
 ・産休中、加入している健康保険から支給される
 ・支給対象期間は、出産前42日間+出産後56日間=98日分
 ・提出期限は、産後57日目以降、2年の間
 ・提出先は、勤務先の担当窓口

⑦育児休業給付金の申請
 ・育児休業を取得した親に支給される(父親・母親とも可)
 ・支給開始期間は、産休期間の終了翌日以降、育休開始日から(2022年7月現在)
 ・提出期限は、育児休業開始から4ヵ月以内(勤務先に要確認)
 ・提出先は、勤務先の担当窓口

【必要に応じて行う手続き】



⑧高額療養費制度の申請
 ・医療費が高額になったとき、自己負担限度額を超えた分が戻ってくる制度
 ・帝王切開など、保険の対象となる医療行為が施された場合に適用される
 ・提出期限は、診察日の翌月~2年の間
 ・提出先は、加入する健康保険組合の担当窓口

⑨未熟児養育医療給付金の申請
 ・指定養育医療機関において入院治療を受ける場合に、医療費を負担してくれる制度
 ・提出期限は、出生後14日以内(自治体により異なる)
 ・提出先は、加入する健康保険組合の担当窓口

⑩医療費控除の申請(確定申告)
 ・医療費が年間10万円を超えた人が対象
 ・提出期限は、出産した翌年から、5年後まで(出産に関連する医療費の場合)
 ・提出先は、税務署(確定申告)

【出産前の準備②】「物品の購入」は最低限必要なものだけでOK


出産準備

出産準備の中でも楽しいのが、アイテム選びです。ただ、先々のことを考えて早めに購入してしまうと、思わぬ失敗もあります。

例えば、おむつは生まれた赤ちゃんのサイズによって使えないこともあるので、同じサイズを大量に購入せず、生まれてから買い足すのがベター。またベビー用の家具やチェア、ベビーカーなどは、レンタルで使用感を確かめるのがおすすめです。高額な商品を買ったけれど、意外と使いにくいということもあるためです。


そのため最低限の準備として、産後すぐに必要になるアイテムを揃えておけばOKです。


そこで、産後にすぐ必要になるアイテムだけをまとめました。



【出産後すぐに必要になるアイテム】



①授乳口付きパジャマ・授乳ブラ

服をめくることなく授乳ができる授乳口付きタイプや全開するタイプのパジャマは、産後の授乳に便利です。帝王切開の術後の診察には、ワンピースタイプのパジャマが対応しやすいでしょう。



②産褥ショーツ

クロッチ(股部分)が開くので、診察やお産用パッドの交換でショーツを脱ぐ必要がありません。生理用ショーツでも代用できますが、産じょくショーツの方が便利です。



③産褥パッド・お産用パッド

ショーツの内側にナプキンのように付けて使用します。産院で用意してくれる場合もあるので、確認しておきましょう。退院後もしばらくは悪露があることがあるので、自宅にもあると安心です。



④母乳パッド

産後すぐは、授乳が終わったあと、母乳が止まらないことがあります。母乳パッドがあると、母乳が衣類に染みるのを防げます。染みると洗濯が大変になるので、バッドがあると重宝します。



⑤授乳クッション

授乳時の腕の負担が軽減されるクッションです。普通のクッションでも代用できますが、授乳専用のクッションは高さや硬さが工夫されています。産院にあれば利用してみて、購入を検討しましょう。



⑥円座クッション

会陰の傷に接触することなく座れるクッションです。退院後もしばらくは痛みがあることがあるので、あらかじめ購入して自宅に置いておくと、帰宅後にすぐに使えて楽です。



⑦赤ちゃんの肌着・産着

生まれてから1ヶ月くらいの間に着せる赤ちゃんの肌着や産着は、複数枚用意しておくとよいでしょう。退院時に着せる服も用意しておきましょう。



⑧哺乳瓶・粉ミルク・消毒グッズ

粉ミルクは、産院の指定があったり、赤ちゃんの状態によって飲ませるものが変わることもあるので、まずは1缶買っておきます。哺乳瓶の口は、赤ちゃんの口の大きさによって合わないこともあるので、最低限準備しておけばOKです。サイズが合わなければ、ドラッグストアやネットショップですぐに購入できます。



⑨赤ちゃんの寝るスペース

赤ちゃんを寝かせる場所は、必ずしもベビーベッドでなくても構いません。ただし、布団が柔らかいと窒息の恐れもあることから、安全な寝床を確保しておくことは大事です。ペットや上の子がいるなら、手の届かない場所に赤ちゃんを寝かせるようにしましょう。



入院時に必要なものチェックリスト

出産のための入院準備だけは、臨月を迎える前に行っておくのがベターです。突然の破水や陣痛で慌てないためにも、事前にチェックしておきましょう。

□母子手帳
□健康保険証
□診察券
□現金またはクレジットカードなど
□バスタオル、ハンドタオル
□スリッパ
□ティッシュペーパー、ウェットティッシュ、清浄綿
□洗面用具
□化粧品・化粧道具
□眼鏡、コンタクトレンズ
□携帯電話
□携帯電話充電器
□イヤホン
□時計
□筆記用具
□退院時の服、靴
□赤ちゃん用のおくるみ、退院時に着せる服
□出産の時に口にしたい食べ物、飲み物


これだけでは不十分!「出産前にやっておけばよかった…」産後の生活に必要な準備4つ


ベビーシッター

出産の準備で手続きや買い物はすぐに思いつきますが、実はもっと大切なのが産後の生活への備えです。産後の生活はリアルに想像がつきにくいため、多くの方が「出産前にもっとしっかり備えておけばよかった…」と後悔しがちです。


産後は子どもの一ヶ月検診までは外出を控えるように言われることもあります。生まれたばかりの子どもは免疫が未熟で、感染症のリスクも高いと考えられるためです。その間、自宅などで子どもと過ごすためには、事前の準備が必要になります。産後は思うように動けず、ママ自身が日常生活や家事をこなすことができないので、産後の助けを考えておきましょう。


そこで、具体的にやっておいた方がよいことをまとめました。



①食材宅配のサービスを試しに利用しておく


産後は、ママの体調が万全ではないうえ、赤ちゃんのお世話で大変な時期。料理や食事などアウトソーシングできるものは、どんどん利用しましょう。出産前に生協や食材宅配のサービスに登録してお試し利用しておくのが◎。最近は冷凍食品のサブスクリプションなど、バリエーションが増えているので、いろいろ食べてみて、好みのものを探しておくのがオススメです。



②便利家電をレンタルして試しておく


赤ちゃんが生まれると、家事ができる時間が確実に減ります。その上、衛生上の観点から今まで以上に清潔を保つ必要もあります。短時間で家事を済ませるには、ロボット掃除機、ハンドブレンダー、ドラム式洗濯乾燥機など便利家電をうまく使うのがオススメ。ただし高額な商品なので、まずはレンタルで使い勝手を試すのが賢い技です。人気の家電は、レンタルの順番待ちになることも。出産前の余裕のある時に、お試ししてみてはいかがでしょうか?その上で、「これはあったほうがよい」と思う商品の購入を検討してみましょう。



③産後ドゥーラやベビーシッターと面談しておく


出産前後のママの体は、変化が大きく日常生活をうまく送れないことがあります。そのような時に支えてくれる人を見つけておくことが重要です。


つわりの時期に食べられるものを作ってもらったり、産後の授乳ケアや赤ちゃんのお世話の仕方など、産前産後の母子を支えてくれる存在が「産後ドゥーラ」です。産院から自宅に戻り、パートナー以外の助けが望めないのなら、産後ドゥーラを依頼しておくことが大切です。辛い状況になってから突然依頼するのではなく、産前に面談して意思疎通を図っておきましょう。


また、0ヶ月の新生児を見られる「ベビーシッター」も産前に面談しておくのが大事。産後1ヶ月は赤ちゃんを外に連れ出せないため、その間にママが外出するためには、ベビーシッターが必要です。ママのリフレッシュは、身体だけでなく精神面からも重要。「一ヶ月くらい外出しなくても大丈夫」と軽く考えず、いつでも頼める人を見つけておくようにしましょう。

産後ドゥーラとは?

産前産後の母親に寄り添い、家事や育児をサポートする産後ケアの専門家。 産褥期(さんじょくき)である出産後6週から8週までの期間をはじめ、つわりの時期や産前産後、体がつらい時期の食事作りなどの家事サポート、赤ちゃんの沐浴や上のお子さんのお相手などの育児ヘルパー、産褥シッターとして依頼できます。

今すぐベビーシッターを頼む

④家事代行サービスを試しておく


臨月を迎えるとおなかが重くなり、前かがみなどが出来なくなるため、出産前であっても家事をすることが困難になります。また、出産後もしばらくは家事ができないことを考えると、臨月の前に家事代行サービスを試しておくのも手です。お互いに相性もあるので、何人か依頼してみて、良さそうな方を見つけておくのがポイントです。自宅の食器や調理器具、掃除用具の場所などをわかっておいてもらえば、産後に来てもらった時にわざわざ説明することなく、スムーズに頼むことが出来ます。



今すぐ家事代行を頼む

出産前には産後にヘルプを頼める体制を整えておこう


安心して出産を迎えるためには、「必要な手続きを確認しておくこと」「最低限のアイテムを購入しておくこと」、そして「産後の生活の準備」が必要です。産後に助けてもらえる人を探しておくと、食事の買い出しや準備、赤ちゃんのお世話、上の子どもの世話など、いろいろなことがお願いできます。


キッズラインは、予算に合わせて産後ドゥーラやベビーシッター家事代行サービスを選べるマッチングプラットフォームです。オンラインでサポーターと面談することもできるので、ぜひヘルプを依頼できる人を探しておきましょう。


しっかりと産後の生活に備えておけば、心の負担も減り、子育てをスムーズにスタートできるはずです。



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