4月から保育園に通う場合、入園と同時に育休を終了しなければならないと思っていませんか?実は育休中に慣らし保育をすることは可能です。ただし条件によっては育児休業給付金を受け取れない期間が発生することも。そこで今回は、育児休業給付金をもらえる条件をFPが解説します。
慣らし保育が必要な3つの理由
保育園へ入園するにあたり、慣らし保育が必要な理由は3つあります。
・子どもが新しい生活に慣れるため
・ママパパが慣れるため
・保育士が慣れるため
慣らし保育では子どもが保育園という新しい環境に慣れるだけでなく、ママパパも仕事復帰後を見越した生活パターンに慣れる必要があります。また保育士も子どもとの信頼関係を築き、その子にあわせた保育をしていく上で慣らし保育の期間は欠かせません。
ただし仕事の関係上、慣らし保育の期間を取れない場合もあるでしょう。もちろん慣らし保育をしなくても保育園に預けられないわけではありません。しかし、子どもが保育園の生活にスムーズに適応するため、少しでも慣らし保育の期間を取れるようスケジュールを考えてみてください。
ここで注意してほしいのが、
慣らし保育の期間は通常の保育時間よりも短時間でお迎えに行く必要があるということ。慣らし保育は通常2週間~1ヶ月くらいかかるため、時間に余裕がある育休中に慣らし保育を済ませておくことをおすすめします。
育児休業給付金をもらえる条件と期間
ところで、育児休業給付金はいつまでもらえるのかご存じでしょうか。ここでは育児休業給付金をもらえる対象者や期間、金額などの条件についてご紹介します。仕事に復帰する日を決める際の参考にしてみてくださいね。
育児休業給付金をもらえる対象者
育児休業給付金をもらえる対象者は以下のとおりです。
・1歳未満の子を養育するために育児休業を取得すること
・育休中に休業開始前の賃金の8割以上が支払われていないこと
・育休前に1年以上働いたことがあること
・雇用保険に加入していること
また、保育園に入園できずに育休を延長する場合は、1歳6ヶ月まで(さらに延長する場合は2歳まで)延長することが可能です。もちろん育休を延長したとしても、育児休業給付金を受け取ることはできます。
育児休業給付金をもらえる期間
育児休業給付金をもらえる期間は原則として子どもが1歳の誕生日前日までとなっています。ちなみに保育園に入園できなかった場合は、育児休業を1歳6ヶ月まで(最大で子どもが2歳まで)延長することが可能です。
3歳まで育休を延長できるケースとは?
お勤め先によっては子どもが3歳まで育休を延長できるところもあります。2歳から3歳までの1年間は育児休業給付金を受け取れないものの、社会保険料が免除になるというメリットがあります。
育児休業給付金でもらえる金額
育児休業給付金をもらえるのは最初の6ヶ月かそれ以降かで給付金額が変わります。
休業開始6ヶ月以内の支給額=休業開始時の賃金日額×支給日数×67%
休業開始6ヶ月以降の支給額=休業開始時の賃金日額×支給日数×50%
お給料の50%〜67%しかもらえないなんて、それでは少なすぎると思われるかもしれません。しかし育休中は社会保険料の支払いが免除になりますし、そもそも育児休業給付金には税金がかかりません。そのため
育休中は手取りでいうと約80%がカバーされていると考えてOKです。
パパ・ママ育休プラスを利用する場合
ここまでは育休の原則を解説してきましたが、ここでは「パパ・ママ育休プラス」を利用するとどうなるのか?をご紹介します。
「パパ・ママ育休プラス」は、
ママパパがともに育児休業を取得する場合、原則子が1歳までの休業可能期間が、子が1歳2ヶ月に達するまで(2か月分はパパ(ママ)のプラス分)に延長される制度です。
なお、利用できる条件は以下のとおりです。
・配偶者が、子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
・本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
・本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
この制度を利用することで、育児休業の期間を最大で1歳2ヶ月まで取得できるようになりました。この制度を計画的に利用すれば慣らし保育中のお迎えをパートナーの育休で対応することも可能となるので、ぜひ活用することをおすすめします。
慣らし保育期間中も育児休業給付金はもらえる?
育休中に慣らし保育が始まると、育児休業給付金はもらえなくなるのでは?と思いませんか。
結論からいうと、
慣らし保育期間中でも子どもが1歳未満であれば育児休業給付金はもらえます。というのも国からの通知により、多くの自治体では慣らし保育の期間を考慮した上で復職日を決めていいというルールになっているからです。そのため、入園日=復職日とせずとも育休中に慣らし保育をしてOKなのです。
ちなみに復職日をいつまで延ばせるのか?は自治体によってルールが異なります。復職日を決める前に必ずお住まいの自治体のルールを確認してくださいね。
慣らし保育期間中に1歳を過ぎたらどうなる?
慣らし保育期間中に1歳の誕生日を過ぎると、その日から育児休業給付金はもらえません。というのも育児休業給付金をもらえるのは1歳の誕生日の前日までだからです。しかし、それでは育休復帰するまでの期間、収入がなくなってしまいますよね。そこで考えられる選択肢は次の2つです。
・育休復帰するまでの期間は短期間だと割り切って収入なしで乗り切る
・育休復帰日を早める
慣らし保育期間中に子どもが1歳の誕生日を迎える場合は、復職日をいつにするのがベストか?よく検討してみてください。
慣らし保育という理由では育休延長はできない
保育園に入れない場合、育休は延長することができます。では慣らし保育という理由で延長できるのでしょうか?
残念ながら、現状では
慣らし保育という理由だけでは育休延長はできません。というのも育休を延長できるのは保育園へ入園できなかった場合のみと決められているからです。慣らし保育を行っている時点で保育園への入園はできているので、慣らし保育中の育休延長はできないルールとなっています。
慣らし保育の日程とその月の収入の関係
慣らし保育中に子どもが1歳の誕生日を迎えるかどうかで、実はその月の収入が変わってきます。ここでは、以下の条件をもとに2パターンを比べてみました。
【前提条件】
・休業前の収入は月収30万円
・育児休業給付金は50%支給されている
・4月1日に保育園へ入園し、慣らし保育中
・育休復帰は5月1日
【パターン1】育休復帰後に子どもが1歳になる場合
たとえば子どもの誕生日が5月5日の場合。育休復帰後に子どもの誕生日を迎えるので、4月の育児休業給付金は以下のような計算になります。
30万円×30/30×50%=15万円
パターン1の場合、4月は1ヶ月分育児休業給付金をもらいながら慣らし保育をすることが可能です。収入減を心配する必要もありません。
【パターン2】育休復帰前に子どもが1歳になる場合
子どもの誕生日が4月5日の場合。育休復帰するまでの間に子どもが1歳の誕生日を迎えるので、もらえる育児休業給付金は以下のような計算になります。
30万円×4/30×50%=2万円
パターン2の場合、子どもの誕生日が育休復帰より前となるため、1歳の誕生日までしか育児休業給付金を受け取れません。パターン1と比べて月の収入が減ってしまうので注意しましょう。
収入を減らさないためにどうすればよい?
子どもが慣らし保育中に1歳の誕生日を迎える場合、もらえる育児休業給付金は日割りで計算されるため収入が減ってしまいます。では収入を減らさないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?ここでは3つの対策をご紹介します。
【対策1】慣らし保育をしない・早める
対策の1つ目は、
慣らし保育をしない、もしくは慣らし保育の期間を早めに切り上げるという方法です。子どもが1歳になる前に早めに慣らし保育を終えることで、残りの育児休業給付金をもらいつつ、早めに育休復帰して収入減になる期間を減らすことができます。
ただし、慣らし保育をまったくしないというのは子どもの月齢によっては難しい場合も。新しい生活に慣れるのは大人だって大変です。現実問題、慣らし保育をしないというのはなかなか難しいことを理解しておきましょう。
なお慣らし保育の期間を短めに設定したい場合は、事前に保育園側に相談しておくことをおすすめします。
【対策2】育休復帰をして、自分がお迎えに行く
2つ目は
いったん育休復帰をするものの有給休暇を使い、自分がお迎えに行くという方法です。この方法なら早い時間帯のお迎えも可能ですし、有給休暇を使うので収入が減ってしまう心配もありません。企業によっては半日や時間単位でも取得できるところもあります。
しかし、子どもの急な発熱などに備えて有給はなるべく残しておきたいもの。慣らし保育中に有給を使ってしまうと、その後必要なときに有給を使うことができず欠勤扱いになってしまうので注意してください。
【対策3】育休復帰をして他の人にお迎えを頼む
3つ目の対策は
育休復帰しても自分でお迎えに行かず、他の人にお迎えを頼むという方法です。
まず考えられるのはパートナーですよね。特にパパ・ママ育休プラスを活用すれば、通常1歳までしかとれない育休を子どもが1歳2ヶ月まで取ることができるようになります。パパ・ママ育休を利用するにはママパパどちらもが育休を取得する必要があるものの、この制度を利用すると慣らし保育期間を乗り越えることができるのでおすすめです。
とはいえ、パートナーのスケジュール次第ではこの方法が難しい場合も。その場合は
ファミリーサポートの活用や、ベビーシッターに依頼することも視野に入れておきましょう。
ファミリーサポートは自治体(または委託を受けた法人)が運営する公的なサービスなので利用料金もリーズナブルですが、利用したい日時やそもそも預かってくれる提供会員が見つからず使いづらいというケースも。その点
ベビーシッターなら、利用したい日時や有資格者を選べるだけでなく、習い事といった保育以外のオプションも依頼することができます。
とはいえ、
ベビーシッターを依頼すると気になるのは費用ではないでしょうか。実は勤務先の福利厚生やお住まいの自治体の補助制度を利用することにより、そこまで費用をかけずにベビーシッターを頼むことができます。
もしも勤務先の福利厚生や住んでいる自治体にベビーシッターに関しての補助制度がないという場合でも、諦める必要はありません。実は勤務時間中のベビーシッター利用に適用できる
「ベビーシッター派遣事業割引券(内閣府ベビーシッター割引券)」を使えば、以下の金額まで割引を受けることができます。
対象者1人につき、1回あたり4,400円(2,200円×2枚)
多胎児の場合は2人で9,000円、3人以上の場合は18,000円
ベビーシッター派遣事業割引券(内閣府ベビーシッター割引券)を利用するには、事前にお勤め先がこの制度を導入している必要があります。ベビーシッター派遣事業割引券(内閣府ベビーシッター割引券)の対象かどうかはこちらからわかるので、確認してみてください。
▼割引券承認事業者一覧
http://www.acsa.jp/htm/babysitter/approvai_proprietor_list.htm
※全国保育サービス協会のサイトに遷移します
今すぐベビーシッターを依頼してみる
慣らし保育の期間を考慮して育休復帰日を決めて
保育園の入園日を育休復帰日に指定する必要はありません。保育園に入園しても最初は慣らし保育があるので、早い時間帯でもお迎えに行けるように育休復帰日を決める際には余裕のあるスケジュールを組むことが重要です。
ただし、育児休業給付金をもらえる期間には注意しましょう。
育休中に慣らし保育をすることは可能ですが、慣らし保育期間中に子どもが1歳の誕生日を迎えると育休を延長することができずに育児休業給付金の受給期間も終了してしまいます。その後、育休復帰するまでは無収入となってしまうため、
・早めに仕事に復帰しつつ有給で乗り切る
・パートナーにお迎えを頼む
・ファミリーサポートやベビーシッターに依頼する
どの方法がベストか、慣らし保育が始まる前に考えておきましょう。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
育休復帰前に頼りになるベビーシッターを見つけておこう
保育園に入園後は急な発熱やお迎えなど、育児の手助けが必要な場面は意外と多いもの。さらに子どもが風邪をひけば看病するために何日も休まなければなりません。パートナーと協力して乗り越えられるようなら問題ありませんが、お互い仕事のスケジュールが合わないことだってありますよね。
そういった場合に備えて、
育休復帰前に頼りになるベビーシッターを見つけておくことをおすすめします。子どもも慣れた方だといざというときは安心してお任せすることができるので、育休復帰前に一度お願いしてみてはいかがでしょうか?
「キッズライン」では、保育士や看護師など専門資格を有する
ベビーシッターが多数在籍しています。いざというときに頼りになるベビーシッターを探してみてくださいね。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
■監修:ファイナンシャルプランナー 坂口 恭子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。webライターとしてマネー記事や子育てに関する記事を執筆するかたわら、ブログやSNSを通じて難しいお金の話をできるだけわかりやすく発信しています。
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