■この記事の目次■


冬は空気の乾燥や気温の低下などから免疫力が下がりやすく、風邪などの感染症に比較的かかりやすい時期。少しずつ春の足音も聞こえていますが、引き続き風邪の予防をしていきましょう!そこで風邪予防に効果的な栄養や、おすすめの食材と調理法についてご紹介します。

風邪予防のために摂りたい栄養素とは?

冬野菜

体と基礎体力を作る栄養素:たんぱく質

私たちの体の大部分はたんぱく質でできています。たんぱく質=「筋肉をつけたい人が摂る栄養」というイメージが強いかもしれませんが、実はたんぱく質は筋肉だけではなく皮膚・髪・血液・ホルモンなどあらゆるものを作る原料となっています。


ビタミン類やミネラル類ももちろん大切ですが、風邪予防にはすべての素となるたんぱく質をしっかりと食べましょう。体力や免疫力の低下を予防することができます。



積極的に食べたい冬の時期の栄養のある食材と量&おすすめの調理法~たんぱく質編~


たんぱく質には2つあり、一つは動物性たんぱく質、もう一つが植物性たんぱく質です。動物性たんぱく質は豚肉・牛肉・鶏肉・卵・牛乳やヨーグルトなどの乳製品、植物性たんぱく質は豆腐や豆乳などの大豆製品が含まれます。

【1日の摂取量目安】

たんぱく質の目安量については、ご自身の手のひらに乗る分を1食分と考えましょう。おおよそ肉や魚で70〜100gほどになります。身長が大きいほど手も大きくなるので、ご自分の手を使うとぴったりの目安量がわかります。1日3食であれば手のひら3つ分を1日の目安としましょう。

ただし豆腐の場合は水分が多いため、手のひらからややはみ出す程で山盛りを1食分の目安としましょう。

免疫力に関与する栄養素:ビタミンC

私たちは呼吸をして酸素を取り込んでいます。この酸素を体の中でさらに使いやすい形に変えたものを活性酸素(別名フリーラジカル)と言いますが、偏った食生活やストレス、外的な紫外線や排気ガスなどにより過剰に生まれることがあります。その過剰な活性酸素によって私たちの体が傷ついてしまい抵抗力が落ち、病気にかかりやすくなるといわれています。

ビタミンCは過剰な活性酸素を除去する働き(抗酸化能力)があるため、風邪予防には必要な栄養素です。ビタミンCは予防として摂るのにオススメで、日常的にしっかり摂ることで万が一風邪を引いてしまっても症状を和らげることができます。


厚生労働省|活性酸素と酸化ストレス | e-ヘルスネット

積極的に食べたい冬の時期の栄養のある食材と量・おすすめの調理法とは?~ビタミンC編~


ビタミンCが含まれている野菜類には赤ピーマン・黄ピーマン・ブロッコリー・じゃがいも、果物類にはいちご・キウイフルーツなどがあります。ビタミンCは熱に弱いためサラダなどに入れて生で食べると余さず栄養が摂れます。また水溶性ビタミンのため煮出すと水に溶け出して栄養素が逃げてしまうので、煮汁ごと食べられる調理法が良いでしょう。

ただし、じゃがいもはビタミンCがでんぷんに含まれているため比較的熱に強い食材です。



【1日の摂取量目安】

野菜類では赤ピーマンや黄ピーマンは1個、ブロッコリーは1/3房、じゃがいもは中サイズ5個が1日当たりの目安になります。果物類ではいちごは5粒、キウイフルーツは中サイズ1個が目安です。ビタミンCは水溶性ビタミンで体内に蓄積できないので、一度に大量に食べるのではなくこまめに食べると良いでしょう。

※ビタミンC摂取量は成人女性を目安にしています。


厚生労働省|日本人の食事摂取基準

免疫力に関与する栄養素:ビタミンE

ビタミンEはビタミンCと同様に過剰な活性酸素を除去する働き(抗酸化能力)が期待できるため、風邪予防には必要な栄養素です。また、ビタミンEは血行促進にも効果があります。


積極的に食べたい冬の時期の栄養のある食材と量・おすすめの調理法とは?~ビタミンE編~



ビタミンEが含まれている野菜はかぼちゃ、アボカド、枝豆、モロヘイヤなどがあります。種実類では特にアーモンドに多く含まれます。



【1日の摂取量目安】

野菜類ではかぼちゃで90g、アボカドは1個、枝豆は25房、モロヘイヤは5株が1日当たりの目安になります。種実類ではアーモンド20粒程が目安です。ビタミンEは脂溶性ビタミンなので油料理として食べると吸収が良くなり効率的に栄養を摂れます。ただし、脂溶性ビタミンに値するビタミンEの食材は、食べ過ぎると体に蓄積されて過剰症になることもあるため、一度に大量に摂ることは控えると良いでしょう。

※ビタミンE摂取量は成人女性を目安にしています。

粘膜を強くする栄養:ビタミンA

ビタミンAは別名レチノールやβカロテンとも呼ばれており、喉や口腔内などの粘膜を強くする働きが期待できる栄養素です。喉の粘膜が弱っているとウイルスや細菌が入り込み、風邪を引きやすくなります。またビタミンAの栄養素の中には、鼻腔内でウイルスや細菌を防御する働きをするため、ビタミンCやビタミンEと同様に風邪予防として摂りたい栄養素と言えるでしょう。


積極的に食べたい冬の時期の栄養のある食材と量・おすすめの調理法とは?~ビタミンA編~


ビタミンAは、たんぱく質類では鶏レバーや豚レバー・うなぎなどに含まれ、特に鶏と豚のレバーに多く含まれています。野菜類はにんじんやかぼちゃなどに含まれています。


【1日の摂取量目安】

たんぱく質類では鶏レバー・豚レバーは5g程、うなぎは1/3切が目安となります。野菜類ではにんじん1本、かぼちゃ1/6個(300g)です。ビタミンAはビタミンEと同様に脂溶性ビタミンなので、油と一緒に食べると吸収が良くなり、効率的に栄養を摂ることができます。

また脂溶性ビタミンですので、一度に大量に摂ることは控えましょう。

※ビタミンA摂取量は成人女性を目安にしています。

風邪予防にオススメの薬味や香辛料系

ハーブティー

◇にんにく、ねぎ類

にんにくにはアリインという成分が含まれていて、強い抗酸化能力があります。ねぎの緑色の部分にはβカロテンが含まれており、こちらも強い抗酸化能力があります。どちらも免疫力を高めてくれるので、風邪予防のためにも積極的に食べたい食材です。


◇生姜

生姜にはジンゲロールとショウガオールという成分が含まれています。ジンゲロールは生の生姜に、ショウガオールは乾燥した生姜に多く含まれています。ジンゲロールは発汗作用があり、ショウガオールは体の深部から温める働きが期待できます。体を温めることで風邪予防が期待できるので、食べたり飲んだりと様々な料理に役立ちます。


◇唐辛子

唐辛子にはカプサイシンという成分が含まれます。カプサイシンを食べると「アドレナリン」というホルモンが分泌されます。そのため、発汗作用があり、体を温める働きが期待できます。生姜と同様に唐辛子も風邪予防が期待できるので、料理に使うと良いでしょう。


◇シナモン

シナモンは別名経皮ともいい、漢方としても使われる食材です。シナモンは体を温める働きがあり、生姜や唐辛子と同様に料理や飲み物にプラスするのがオススメです。お菓子類にもよく使われるため、おやつを選ぶときに「シナモン味」を選ぶのも取り入れやすいでしょう。

風邪予防にオススメの飲み物

抗酸化作用のあるポリフェノールの1種にテアフラビンがあります。テアフラビンは紅茶に多く含まれているため風邪予防が期待できます。甘いジュースを飲む代わりに暖かい紅茶を飲むことで、風邪予防が期待できます。甘味が欲しい時は、砂糖ではなく生姜の蜂蜜漬けを入れるのがオススメです。

また緑茶に含まれるカテキンには殺菌作用が含まれるため、紅茶と同様に風邪予防になる飲み物です。


厚生労働省|抗酸化物質 | e-ヘルスネット

風邪予防にオススメの便利なストック食材とは?


◇にんじん


皮に栄養がたっぷり含まれるため、皮つきのまま保存しましょう。細切りまたは薄切りして茹でるか、レンジで加熱してジップロックに入れて冷凍しておきましょう。和え物や、スープ類に入れると彩も良くなるのでオススメです。



◇じゃがいも

皮を剥き茹でるか、レンジで加熱して潰しておくと便利です。ジップロックに入れて冷凍しておくと、ポテトサラダや離乳食にも使えます。


◇生姜

刻んでジップロックに入れて冷凍しておくのも良いですが、薄切りして瓶に入れて蜂蜜に漬けておくのもオススメです。紅茶に入れたり、お好みのドレッシングにあわせて野菜のディップなどに使っても美味しく食べれます。※蜂蜜は1歳未満のお子様には与えないようにしましょう。


◇ねぎ

青ねぎはβカロテンが豊富な上、少し加えるだけでも料理のアクセントになるため、きざんで冷凍しておくのがオススメです。味噌汁やうどんなどに入れると栄養バランスが簡単にアップします。

風邪予防の食材で作る栄養満点レシピ

冬の食材で作るスープ

『豆乳と味噌の野菜たっぷり温活スープ』



【材料】(2人分)

・味噌 大さじ1.5 ・豆乳 大さじ4 ・にんじん 1/2本(50gほど) ・じゃがいも 小さめ1個(100gほど) ・玉ねぎ 1/2個(100gほど) ・青ねぎ お好みで ・生姜チューブ3cm ・薄切り牛肉 100gほど(増やしても良いです) ・出汁パック+水600cc


【作り方】

① 玉ねぎは薄切りにします

② にんじんは皮をむき、いちょう切りにします

③ じゃがいもは皮をむき、薄切りにします

④ 鍋に水600ccを張り出汁パックを入れ加熱します

⑤ ④の鍋へ① ② ③ の野菜類を入れて煮ます

⑥ さらに牛肉を入れて火が通るまで煮ます

⑦ 味噌を溶かします。生姜チューブも入れます

⑧ 豆乳を入れて沸騰しないように温めます

⑨ 青ねぎをちらして完成です。


【栄養学上のポイント】

風邪予防に摂りたいたんぱく質、ビタミンC、ビタミンA (βカロテン)が含まれるレシピです。野菜は1日に必要な350gの1/3の量が摂れます。また、牛肉には鉄の中でも吸収のよいヘム鉄が含まれるため、生理中の女性や授乳中のママには特にオススメです。

発酵食品である味噌や生姜は体を温める働きがあるので毎日でも摂りたい食材です。豆乳を入れることで味噌の味にまろやかさが出るため、味噌の風味が苦手な子どもでもおいしく食べられるスープです。



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まとめ|風邪予防になる栄養素をしっかり知って免疫力を高めよう


風邪をひくと仕事を休まなくてはならなかったり、家族にうつしてしまわないかと心配したり、日常生活に影響が出てしまいますよね。そうならないためにも、普段の食事から風邪予防をしてみてはいかがでしょうか?

今回ご紹介した栄養素などは、風邪だけでなく体力や免疫力の低下を予防するものも多く含まれています。忙しい朝はパンやジュースなど栄養が偏ってしまいがちですが、レシピを参考に栄養が摂れるスープを多めに作っておけば、毎回調理することなくすぐに食べることができます。ぜひ大きなお鍋でたくさん作って、家族みんなで風邪知らずな日々を過ごしてくださいね。





■管理栄養士・高岡 由貴

2011年管理栄養士免許取得。大学卒業後、保育園•病院•食品メーカーに勤務し、献立作成•栄養管理•食育講師などを担当。現在はフリーランスとしてコラム執筆•食事相談•レシピ開発などをしている。プライベートでは一児の母。




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