大学卒業前の2017年にDINETTE株式会社を設立、「まつ毛美容液」のヒットによりブランドローンチ2年で年商17億円にまで会社を急成長させた、CEOの尾﨑美紀さん。女性最年少上場を目指して経営にまい進する中、人気番組にも出演し、ますます注目度が高まっています。今回は、そんな尾﨑さんと弊社(株式会社キッズライン)代表取締役の経沢香保子が対談!経営者としての苦労や女性活躍について、熱く語り合いました。



1人でゼロから学生起業した理由


尾﨑美紀×経沢香保子1

経沢:一度も就職せずに起業されたときいて、驚きました。



尾﨑さん:就職活動はしたのですが、普通に就職することに全然ワクワクしなかったんです。内定をいただいたベンチャー企業の経営者の方が一番輝いて見えて。大手企業からも内定をいただいたんですが、色々迷った結果、自分で好きなことを仕事にする起業がすごく魅力的に見えたんです。



経沢:ベンチャー企業の経営者に出会ってその会社に就職するのではなく、自分が経営者になろうと思ったのは?



尾﨑さん:その当時『#GIRLBOSS(ガールボス)』という本に出会ったのが大きかったです。20代前半の普通の女の子が自分の古着を売って得た資金を元に、アパレルブランドを立ち上げるというサクセスストーリーなんですが、その本を読んで「カッコいい!チャンスがあるなら私もやってみたい」と思ったんです。



経沢:起業しようと思った時にまず何をしましたか?



尾﨑さん:自分のできることと興味のあることを洗い出しました。その中から「何がビジネスになるか」と考えましたね。私は美容が好きでSNS世代でもあるので、最初は美容メディアを作るところからスタートしました。



経沢:なるほど。1人でメディアを立ち上げるってすごいことだと思うんですが、どうやったらできるんでしょうか?



尾﨑さん:ベンチャー企業の方と話した中で、Instagramのマネタイズにチャンスがあると思いました。既存の美容メディアが発信するプロのメイクは素人ではなかなか真似できないので、自分や友人がメイクをするところを見せることで、「一般の女の子が真似しやすい美容メディア」をコンセプトにしました。最初は本当に一人で始めたので、自宅で撮影して手作業でコンテンツを作っていましたね。



ユーザー目線を徹底して、数字もマインドも成長


尾﨑美紀×経沢香保子2

経沢:自宅で撮影されていた時から現在の規模に成長する過程で、最初に「これはいける!」と感じたのはどのタイミングでしたか?



尾﨑さん:1年目でフォロワーが10万人を超えたときですね。母数ができて、加速していった感じです。



経沢:そうなんですね。ゼロから10万人になるまでに、途中でやめたくなったこととかはありませんでしたか?



尾﨑さん:内定先の同期になる予定だったメンバーには絶対に負けたくないという精神でやっていました。起業したことを正解にしたい、そのためにはどうにかしてこの美容メディアを育てるしかないと死に物狂いでしたね。



経沢:たくさんの美容メディアがある中で、成功するって難しいことだと思います。要因はどこにあると思いますか?



尾﨑さん:ユーザーさんの声をアンケートで拾って、一般の女の子が友達には相談できないけれど実は気にしていることを取り上げていきました。プロメイクのように作りこんでいないので、見てくださっている方が自分と距離感が近いと思ってもらったのが、要因としてあると思います。


いずれ化粧品を作って売りたいという目標があったので、まずはコミュニティーを作り、そこで多くの方の声を聞きながら、ベンチャー企業が参入できるニッチなブルーオーシャンを探していきました。



経沢:そこから現在の17億円という会社規模になるわけなんですね。当時は逆算して動いていましたか?



尾﨑さん:そこまではできていなかったですね。最初はそんなに事業を拡大できるとは思っていなかったです。経験もないし、事業も伸びないし、100億なんて到底無理と決め込んでいました。


でも、10億という数字を体験できたことで、「自分でも100億目指せるんだ!」とマインドも数字とともに成長してきた感じです。それで、上場を目指したいと思えるようになりました。



経沢:なるほど。1年で会社が急成長した際って成長痛みたいなことが起こりがちなんですが、経営面では何か変わりましたか?



尾﨑さん:上場を目指すとなると、資金も必要になりますし、商品数も増やさないといけません。それぞれに専任の担当者が必要になり、ベンチャーから組織だった会社に変わってきましたね。事業を伸ばすために、経験を持つ優秀なメンバーを迎え入れて、組織強化を図りました。



発信できる人になるために「数字にこだわる」


尾﨑美紀×経沢香保子3

経沢:女性経営者の方々からは、「数字にこだわる」ことと「顧客満足度」とのバランスが悩ましいという声も聞くんですが、その部分についてはどうですか?



尾﨑さん:基本的にはやはり「お客様に喜んでもらうこと」が第一です。弊社のプロダクトやサービスを使っていただいた後に自分のことを好きになれる、その過程は大切にしています。


ただ「数字を出したい」ということを、経営者として忘れてはいけないと思っています。実績のない人間が何を言っても世の中に響かないと思っていて、女性起業家としてちゃんと数字を出して「この人が言うなら」と思ってもらえるようになりたいです。「発信できる人間になりたい」というために、数字にこだわっています。



経沢:女性起業家として上場したい理由を聞いてもよいですか?



尾﨑さん:女性活躍や女性が起業することが当たり前になって、そこにネガティブな声が生まれない世界を目指したいというのが、大きな理由です。



経沢:私もそのテーマでずっとやってきているんですが、どうしたらそうなると思いますか?



尾﨑さん:女性起業家の母数が少ないので、圧倒的に母数が増えると社会全体のマインドも変わっていくと思います。



女性活躍のボトルネックは、事業を継続できる環境の不足


経沢:ご自身が経営をされて、女性の活躍には何がボトルネックになっていると感じますか?



尾﨑さん:まずは目指したい女性像が少ないのではないかと。参考例がないから、どうやって目指せばよいのかわからないのもあるのではと思っています。それで、学生起業をした私が少しでも参考例になれたらという思いもあります。


それから、女性が起業しても途中で挫折してしまうというケースもあると思います。結婚や出産、育児などライフステージが変化しても事業を続けられる環境の整備や仕組みづくりがまだまだ足りないのかなと感じています。



経沢:確かにそうですね。今まで尾﨑さん自身は挫折しそうになった時にどうしていましたか?



尾﨑さん:尊敬する先輩経営者に相談に乗ってもらうか、自宅で独り耐え忍ぶか(笑)どちらかですね。



経沢:私は周りに男性経営者しかいなくて、自分がプライベートな問題に直面した時にどうにか周囲の助けを借りて乗り越えてきたんですが、女性ならではの悩みはありますか?



尾﨑さん:恋愛とか(笑)



経沢:え~!悩みがあったんですか?



尾﨑さん:仕事に打ち込みたいので、心に波のある恋愛や自分らしくいられない恋愛はしたくないというのはありました。それでいろんな面で「強くいなきゃ」と思うようになって、自分で乗り越えようというマインドになっていました。



経沢:そうなんですね。経営の悩みがあるときは、どなたに相談しますか?



尾﨑さん:やはり先輩や同世代の経営者の友達が多いですね。



経沢:これから起業する人がそういった方に出会うにはどうしたらよいでしょうか?



尾﨑さん:その世界に飛び込みたければ、自分からその環境に身を置きにいくことじゃないでしょうか。あとはSNSで勇気を出してメッセージを送ってみるなど、可能性のあることは全部やっていくのが近道だと思います。



VCは基本男性。「まつ毛美容液」を理解してもらうのに苦心


尾﨑美紀×経沢香保子5

経沢:女性経営者だと周囲の人が規模を拡大するイメージを持っていないからこそ、あえて男性がやっていないニッチな市場を見つけられると事業の軸がはっきりすると思うのですが、そこで「まつ毛」に目を付けたのはすごいなと。どうして「まつ毛」だったんですか?



尾﨑さん:お客様の声で目の悩みが一番多かったんです。プライベートですっぴんのときにかわいくいたいというニーズがあって、すっぴんでかわいくいるって何だろうと考えた時に、まつ毛美容液にたどり着きました。



経沢:8億の資金調達を成功されたそうなんですが、最初からベンチャーキャピタル(VC)の方にこの事業を理解してもらえましたか?



尾﨑さん:最初の1社にこぎつけるまでが本当に大変で、実は今回ものすごく時間がかかっています。ベンチャーキャピタルの担当者は基本男性で、まずは「まつ毛美容液」とは何か?ということを説明することからでした。「まつ毛ってそもそも伸ばすものなの?」「はい、伸ばすものなんです」というやりとりから、「女性はなぜまつ毛を伸ばしたいと思うのか」という潜在需要についてすごく細かく伝えました。


正直とても遠回りに感じることもありましたが、事業の価値を分かっていただくために、コミュニケーションに努めましたね。それでも断られることも多く、何十社も話をしてやっと理解度のあるベンチャーキャピタルに出会えました。



「女性が起業することがリスク」だと言われて返した一言


尾﨑美紀×経沢香保子6

経沢:お金を出してくださる方ってやはりリスクを考えるじゃないですか。私はかつて「あなた自身がリスクです」と言われたことがあって。結婚や出産をどうするのかとか。



尾﨑さん:私も初期の頃に言われたことがあります。学生起業なので「あなたが経営者でそもそも事業を拡大できるのか」とも言われましたし、23歳だったので「これから女性として出産とか結婚とかいろいろあるのに、いつまでやるつもりなのか」とも言われました。


その時は、事業はずっと続けられるはずなのに、女性だから途中でやめると思われていることが悔しかったですね。



経沢:そんな時、どう返答しましたか?



尾﨑さん:「続けます」と言い切りました。そこで私にかけてくださったベンチャーキャピタルがわが社の株主になってくれています。



経沢:資金調達を成功させるコツってありますか?



尾﨑さん:男女問わず「真剣度」だと思います。私の場合は学生起業で経験もなかったので、「私ならやれます」をいかに伝えられるかだと思っていました。事業をやりたい理由やその熱量、プロダクトへのこだわりが伝われば伝わるほど、信じてくれる人は信じてくれますね。なので、結局は自分がどれだけ語れるかですね。



経沢:これは相手に「刺さった!」と思ったキーワードは?



尾﨑さん:「絶対伸ばします!!」ですね(笑)



経沢:性別を問わず、最後まで逃げずに頑張るという責任感は大事ですね。



尾﨑美紀×経沢香保子7

前編では学生起業した理由や女性経営者ならではの苦労話、尾﨑さんが目指す方向性について伺いました。後編では、経営をする中で感じたマインドの変化、プライベートの展望など、尾﨑さんの心の内に迫ります。



後編はこちら



【尾﨑美紀さん プロフィール】
2017年に「DINETTE株式会社」を設立。プライベートブランド「PHOEBE BEAUTY UP」からまつ毛美容液を発売し、年商17億円を達成。経済誌「Forbes」が選ぶ「Forbes 30 Under 30 Asia」に、アジアを代表する若手起業家として選出された。人気番組にも出演するなど、今日本で最も注目されている経営者の1人。


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