6月や7月に、夏のボーナスが支給された方もいるのではないでしょうか。「保育士のボーナスっていくらぐらい?」「公立と私立、経験年数でどう違うの?」と気になる方もいることでしょう。本記事では、そんな保育士のボーナス事情について詳しく解説します。
⚫︎求人の「賞与あり」だけなく支給実績も確認
⚫︎転職やベビーシッターへの転身も選択肢に
保育士のボーナスはいくら?全国平均と実態をチェック

厚生労働省が2025年3月に発表した「令和6年度 賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均賞与額は約74万1700円です。金額だけを見ると決して低くないように思えます。ただし、これは全国の正規保育士を含むすべての保育士の平均であり、勤続年数の長い保育士も対象としていることに注意が必要です。
そのため実際には、「1年目は寸志のみ」「年間10万円台」「初年度は支給なし」といったケースもよくみられます。特に若手保育士や非常勤職員の場合、ボーナスの金額が平均値よりもかなり低くなる傾向があります。
参考:令和6年賃金構造基本統計調査 (e-stat)
公立保育士のボーナス事情。地方公務員ならではの安定感

公立保育園で働く保育士は、地方公務員として採用されており、ボーナスは地方公務員法および人事院勧告に準じて支給されるため、安定性が高いのが特徴です。
2025年時点の調査によれば、勤続10年以上の公立保育士の平均年収は約438万円とされています。主任や園長、施設長などの役職に就くと、年収はさらに上がる傾向にあります。公務員であることから、昇給や安定した賞与支給が見込める点は、公立園で働く大きなメリットです。
なお自治体によって若干の違いがあるものの、ボーナスは年2回(6月・12月)の支給が基本で、年間の支給月数は約4.4ヶ月分とされています。また、退職金制度や福利厚生が充実していることも、公立園で長く安心して働ける魅力の一つです。
参考:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>
私立保育士のボーナスは園によって差がある

賞与が手厚く支給されるケースも
一方、私立保育園で働く保育士のボーナス事情は、園によって大きく異なります。たとえば運営主体が社会福祉法人なのか、株式会社なのかといった違いによっても待遇に差が生じやすく、「賞与ゼロ」「寸志のみ」「初年度は支給なし」といったケースも少なくないようです。
こども家庭庁が公表した「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」によると、私立保育園に勤務する常勤保育士の平均年収は約417万円※(平均勤続年数は11.2年)です。公立保育士よりやや低めではありますが、園によっては賞与が手厚く支給されるケースもあります。
※令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>をもとに算出
「処遇改善加算」の運用方法も要チェック
また、国からの補助金である「処遇改善加算」の運用方法も注意しておきたいポイントです。この加算は、保育士の処遇を改善するために国が園に交付している補助金ですが、実際にどのように支給されるかは園によって異なります。たとえば、ある園では月給に上乗せされる形で支給されている一方、別の園ではボーナスとしてまとめて支給されることもあります。なかには、明確な支給ルールがないまま、加算が反映されていないケースもあるようです。
そのため、求人情報などに「処遇改善加算あり」と書かれていても安心せず、実際にどのように反映されているか(支給方法・実績)を確認することが重要です。
独自の報酬制度を導入する園も
他にも企業主導型保育施設のように新しい形態の保育園では、独自の報酬制度を導入している場合もあります。就職・転職を考える際には、その園の制度設計や実績をしっかりと確認することが、納得できる働き方につながります。参考:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>
経験年数・役職でボーナスはどう変わる?
保育士のボーナス額は一律ではなく、経験年数や役職によって大きく差が出るのが実情です。厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、保育士の年収は経験年数が増えるにつれて着実に上昇しており、以下のような傾向がみられます。
経験年数 | 平均年収(目安) |
---|---|
0年 | 約285万円 |
1~4年 | 約347万円 |
5~9年 | 約379万円 |
10~14年 | 約398万円 |
15年以上 | 約464万円 |
参考:令和6年賃金構造基本統計調査 (e-stat)
これは基本給の昇給だけではなく、ボーナス支給額の増加も影響していると考えられます。また、役職に就くことで年収は大きく上がる傾向があります。こども家庭庁の調査では、主任保育士の平均年収は公立で約677万円、私立で約568万円という結果が出ています。現場での経験を積み、リーダーシップを発揮する立場になることで、待遇面でも評価される仕組みがあることがわかります。
また、評価制度が整っている園では、日頃の業務姿勢や成果が賞与に反映されることもあります。単に勤続年数を重ねるだけでなく、自身の取り組みや貢献度に応じて評価される環境を選ぶことが、将来的な満足度や収入アップにつながるでしょう。
若手保育士のボーナスは実際どのくらい?

厚生労働省の「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均勤続年数は約7.8年です。しかし、現場には勤続1〜3年未満の若手保育士も多く、その場合ボーナス額は、保育士全体の平均より大きく下回ることが一般的です。
たとえば、「1年目は寸志のみ(5〜10万円程度)」「2年目でようやく月給1か月分支給」といったケースも珍しくありません。さらに、「初年度は支給なし」「試用期間中は対象外」などの厳しい条件が設けられている園もあります。
そのため、求人情報の「賞与あり」という記載だけで判断せず、実際の支給実績(月数や条件)、初年度の扱いなどを事前に確認しておくことが大切です。特に若手保育士の場合、就職後に「思っていたより収入が少ない」と感じてモチベーションが下がることも少なくありません。そういった後悔を避けるためにも、説明会や面接時に、必要に応じて待遇について質問することをおすすめします。

処遇改善加算はボーナスに反映されるの?

保育士の処遇改善を目的として導入された「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」は、給与やボーナスなどに活用できる国の補助金制度です。その支給方法は施設ごとに異なり、月給に上乗せするケースもあれば、賞与や一時金としてまとめて支給されることもあります。そのため、「処遇改善加算がある=毎月の収入が増える」とは限らず、実際にどのように支給されているかを確認する必要があります。
なお2025年度から「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」は、「区分1〜3」へと再編・統合されます。これにより申請手続きが簡素化され、加算の配分ルールも全国で統一される見込みです。その結果、園ごとに異なっていた加算の扱い(給与・手当・賞与・一時金の反映方法)における差が縮まり、保育士自身が待遇内容を把握しやすくなることが期待されています。
※参考:こども家庭庁「処遇改善等加算に関するFAQ(令和7年5月1日時点版)」
ボーナスが出ない園…働き続けるべきか?

ボーナスが出ない園は意外と多い?
保育士として勤務する中で、ボーナスが支給されない、あるいは非常に少額しか支給されない園も存在します。特に、個人経営の保育園や小規模な施設では、経営状況や入園児数に応じてボーナスの有無が決まることが多く、支給されないケースも珍しくありません 。こうした状況では、モチベーションの低下や将来への不安につながることもあります。ボーナスだけで「良い職場かどうか」は判断できない
しかし、ボーナスの有無だけで職場の良し悪しを判断するのは早計です。たとえば、月給が高めに設定されていたり、昇給制度が整っていたりする園では、年収ベースで見ると他の園と大きな差がないこともあります。また、福利厚生の充実度や休暇の取りやすさ、残業の少なさといった働きやすさも、職場選びの重要なポイントです。待遇に納得できない場合、転職という選択肢も
一方で、長期的に見て待遇に納得できない場合は、転職も一つの選択肢となります。転職を検討する際には、求人情報だけでなく、園の公式ホームページや自治体の公開資料、口コミサイトなどを活用して情報収集を行いましょう。「賞与あり」と記載されている場合でも、説明会や面接時に実際の支給実績や条件を確認することが重要です。ただし最終的には金銭面だけでなく、職場の人間関係や働きやすさ、将来性など、総合的な観点から自身にとって最適な職場を選択することが大切です。

保育士資格を活かして働くなら、ベビーシッターという道もある

「保育の仕事は好きだけれど、もっと柔軟に働きたい」「収入を上げたい」と感じる保育士にとって、ベビーシッターという働き方も有力な選択肢です。ベビーシッターはボーナスこそないものの、時給が高めに設定されることが多く、短時間でも効率良く収入を得やすいのが魅力です。最近では、ベビーシッターのマッチングサービスが普及したことで、個人で営業しなくても仕事を得やすい環境にあります。これにより、「園以外で働く」という選択肢が広がっています。
また保育園勤務と並行し、副業や複業でベビーシッターとして活動する方も増えており、自分のライフスタイルに合った働き方が可能です。ただし、公立の保育園で働く保育士の副業は原則として禁止されているため、副業をする場合には事前に就業規則を確認することをお勧めします。
参考:保育士はいつまで働ける?保育士のキャリアパス事例とメリット・デメリット
ベビーシッターになるには?
資格がなくても始められますが、保育士や幼稚園教諭、看護師などの資格があると、信頼や依頼につながりやすい傾向があります。なお、公益社団法人全国保育サービス協会の調査によると、ベビーシッターとして活動する方の約35%が保育士資格を保有しているそうです。
また、認定ベビーシッター(全国保育サービス協会による認定制度)などの民間資格を取得することで、保育スキルの可視化や専門性のアピールにもつながります。
ベビーシッターは子どもの年齢や性格に合わせた柔軟な対応力や、事故予防の意識、応急処置の知識も求められます。保育現場や子育ての経験のある方は、そうした経験を活かすことで、親御様との信頼関係を築きやすくなります。最初は1時間程度の短時間依頼から始め、徐々に実績を積んでいくのが一般的な流れです。
ベビーシッターとしての働き方とその選択肢
ベビーシッターの働き方には様々な選択肢があり、自分のライフスタイルや目標に応じて選ぶことができます。ここでは主な4つの選択肢を紹介します。【選択肢1】 マッチングサービスに登録して働く
まず、もっとも一般的なのが、マッチングサービスに登録して働く方法です。依頼の受注やスケジュール管理がしやすく、保険やサポート体制も整っているため、初心者でも安心して始められます。自分で時給を設定できる自由度の高さも大きな魅力です。
【選択肢2】 業務委託型のベビーシッター会社に登録する
ベビーシッター会社に業務委託契約で登録する方法もあります。この場合、会社を通じてすぐに仕事を始めやすく、ある程度安定的に依頼が入りやすいメリットがあります。ただし、仕事内容や勤務時間は会社のルールに従う必要があり、自由度は低めです。
【選択肢3】派遣会社を通じて働く
派遣会社に登録し、家庭や保育園などに派遣されて働くスタイルもあります。契約や給与管理、トラブル対応などを会社が代行してくれるため、働く側の負担は少なめです。一方で、シフトや勤務条件が固定されやすく、柔軟な働き方を求める方には不向きかもしれません。
【選択肢4】個人事業主として働く
個人事業主として、すべてを自分で管理して活動する方法もあります。働く時間や報酬、仕事内容を自由に決められる一方で、集客や契約、報酬管理なども自分で行う必要があり、負担が大きくなることもあります。依頼者との信頼関係を築ければ、長期的な契約につながる可能性もありますが、安定収入を得るには工夫や営業力が求められます。
参考:ベビーシッターになるには?働き方のバリエーションと仕事内容を解説
参考:公益社団法人全国保育サービス協会 「令和5年度実態調査報告書」
参考:ベビーシッター資格認定試験 | 公益社団法人全国保育サービス協会

キッズラインでベビーシッターを始めるメリット

ベビーシッターは個人事業として行うことができるものの、近年はキッズラインのようなマッチングサービスに登録して活動するのが主流になっています。たとえばキッズラインでは、ベビーシッターとして活動するにあたってのサポート体制が充実しており、初めての方でも安心してスタートしやすいのが特徴です。そこでここでは、キッズラインに登録してベビーシッターとして活動するメリットをご紹介します。
【魅力1】自分の都合に合わせて働ける
キッズラインでは、働く曜日や時間を自由に決められるため、自分の都合に合わせた働き方ができます。たとえば、育児中の方は子どもが学校へ行っている間だけ、またダブルワークの方は夜や週末だけ、といった働き方が可能です。【魅力2】時給を自分で決められる
キッズラインでは、時給を自分で設定できます。そのため、実績やレビューが増えるごとに、時給を自分の判断でアップさせる方も多くいます。また、保育士資格や子育て経験、特技(英語・ピアノなど)を活かすことで、より高単価の依頼につながるチャンスも広がります。【魅力3】レビューが蓄積され、転居してもキャリアが持続できる
キッズラインでは、依頼者とベビーシッターの双方がレビューを記載するシステムがあります。ベビーシッターとして得られた評価は「信頼の証」となり、次の依頼へとつながっていきます。また家族の転勤や引越しに伴って、別の地域でベビーシッターとして活動する際にも、これまでに積み上げたレビューが役立ち、スムーズに活動を再開できます。【魅力4】ユーザー数が非常に多い
キッズラインでは、累計依頼件数が230万件を超え、登録ユーザー数も20万人以上。すべてのサポートが最大5億円の賠償責任保険の対象となっており、24時間対応のサポートデスクも用意されています。またキッズラインは、東京都の「ベビーシッター利用支援事業」やこども家庭庁の「企業型ベビーシッター割引券」など、各種助成制度の認定事業者であることもポイントです。これらの制度により依頼者がベビーシッターを頼む際の経済的負担が軽減され、依頼件数の増加にもつながっています。保育士資格や子育て経験を活かして、あなたもベビーシッターとして新たな一歩を踏み出してみませんか?キッズラインでは、未経験の方でも安心して始められるサポート体制を整えています。研修や相談窓口も用意しており、活動開始後も丁寧にフォロー。自分に合った新しい働き方をぜひ見つけてみてください。

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